7人が「レギュラーの証」に初到達
野手にとってレギュラーの証といえるのが、規定打席数への到達である。チームの「試合数×3.1打席」が必要となるが、これは同時に打撃成績ランキングの対象となる条件でもある。もちろん、その数字に到達した選手はレギュラーとして認められるだろう。昨季(2019年)は、セ・パ合わせて11人の日本人選手が“はじめて”規定打席に到達した。
セ・リーグで該当するのは、西川龍馬(広島)、阿部寿樹(中日)、神里和毅(DeNA)、會澤翼(広島)、近本光司(阪神)、大山悠輔(阪神)、村上宗隆(ヤクルト)の7手だ。
もちろん相手チームに研究され、成績が低迷するケースもあれば、ケガなどにより出場試合数を落としてしまうケースもある。規定打席数に“はじめて”到達し、翌年も好成績を残せている選手はどれだけいるのだろうか――。
2年目のジンクスは!?
検証したのは過去3シーズン(2016年~2018年)において、初めて規定打席数に到達した選手の2年目の成績である。まずは、セ・リーグの選手たちから見ていく。
▼ 2016年に規定初到達(6選手)
・鈴木誠也(広島/22歳4年目)
16年:129試合 打率.335 29本塁打 95打点
17年:115試合 打率.300 26本塁打 90打点
・倉本寿彦(DeNA/26歳2年目)
16年:141試合 打率.294 1本塁打 38打点
17年:143試合 打率.262 2本塁打 50打点
・桑原将志(DeNA/23歳5年目)
16年:133試合 打率.284 11本塁打 49打点
17年:143試合 打率.269 13本塁打 52打点
・高山 俊(阪神/23歳1年目)
16年:134試合 打率.275 8本塁打 65打点
17年:103試合 打率.250 6本塁打 24打点
※翌年は規定打席数未到達
・堂上直倫(中日/28歳10年目)
16年:131試合 打率.254 6本塁打 46打点
17年: 91試合 打率.205 1本塁打 8打点
※翌年は規定打席数未到達
・小林誠司(巨人/27歳3年目)
16年:129試合 打率.204 4本塁打 35打点
17年:138試合 打率.206 2本塁打 27打点
▼ 2017年に規定初到達(4選手)
・宮﨑敏郎(DeNA/28歳4年目)
17年:128試合 打率.323 15本塁打 62打点
18年:142試合 打率.318 28本塁打 71打点
・安部友裕(広島/28歳10年目)
17年:123試合 打率.310 4本塁打 49打点
18年: 72試合 打率.236 4本塁打 24打点
※翌年は規定打席数未到達
・京田陽太(中日/23歳1年目)
17年:141試合 打率.264 4本塁打 36打点
18年:143試合 打率.235 4本塁打 44打点
・中谷将大(阪神/25歳7年目)
17年:133試合 打率.241 20本塁打 61打点
18年: 77試合 打率.230 5本塁打 19打点
※翌年は規定打席数未到達
▼ 2018年に規定初到達(8選手)
・岡本和真(巨人/22歳4年目)
18年:143試合 打率.309 33本塁打 100打点
19年:143試合 打率.265 31本塁打 94打点
・松山竜平(広島/33歳11年目)
18年:124試合 打率.302 12本塁打 74打点
19年:110試合 打率.259 6本塁打 49打点
※翌年は規定打席数未到達
・野間峻祥(広島/26歳4年目)
18年:126試合 打率.286 5本塁打 46打点
19年:123試合 打率.248 2本塁打 16打点
※翌年は規定打席数未到達
・糸原健斗(阪神/26歳2年目)
18年:143試合 打率.286 1本塁打 35打点
19年:143試合 打率.267 2本塁打 45打点
・福田永将(中日/30歳12年目)
18年:133試合 打率.261 13本塁打 63打点
19年:105試合 打率.287 18本塁打 66打点
※翌年は規定打席数未到達
・梅野隆太郎(阪神/27歳5年目)
18年:132試合 打率.259 8本塁打 47打点
19年:129試合 打率.266 9本塁打 59打点
・高橋周平(中日/25歳7年目)
18年:128試合 打率.254 11本塁打 69打点
19年:117試合 打率.293 7本塁打 59打点
・西浦直亨(ヤクルト/27歳5年目)
18年:138試合 打率.242 10本塁打 55打点
19年: 44試合 打率.235 4本塁打 19打点
※翌年は規定打席数未到達
セ・リーグでは、18人中、半数の8人が翌年の規定打席数到達を逃した。ほとんどの選手はマークが厳しくなったことで規定打席数に初到達した年よりも成績を下げていることがわかる。一方でDeNAの宮﨑敏郎は打率こそ数字を落としたものの、本塁打数がほぼ倍増など、さすがの結果を残した。
ちなみに2016年から3年連続で規定打席数に到達している選手は、鈴木誠也、宮﨑敏郎、京田陽太の3人だけ。うちふたりは打撃タイトルを獲得していることを見れば、2019年シーズンに2年連続で規定打席数に到達した、岡本和真、高橋周平らは、さらなる飛躍に期待がかかる。
3年連続で結果を残せば一人前と呼ばれる世界だが、いかに3年連続で結果を残すことが難しいのかがわかるだろう。果たして、今年はじめて規定打席に到達した7選手は、
2020年シーズンにどのような成績を残すのだろうか。
▼ 2019年に規定初到達(7選手)
・西川龍馬(広島/25歳4年目)
19年:138試合 打率.297 16本塁打 64打点
・阿部寿樹(中日/30歳4年目)
19年:129試合 打率.291 8本塁打 59打点
・神里和毅(DeNA/26歳2年目)
19年:123試合 打率.269 11本塁打 35打点
・會澤 翼(広島/31歳13年目)
19年:126試合 打率.277 12本塁打 63打点
・近本光司(阪神/25歳1年目)
19年:142試合 打率.271 9本塁打 42打点
☆盗塁王
・大山悠輔(阪神/25歳3年目)
19年:143試合 打率.258 14本塁打 76打点
・村上宗隆(ヤクルト/20歳2年目)
19年:143試合 打率.231 36本塁打 96打点
☆新人王
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)