黄金週間に振り返る黄金期
何年も連続してリーグ優勝していたり、日本一に輝くなど、チームが充実している時期を、俗に「黄金期」と呼ぶ。
今回は、2005年にチームを創設したばかりの楽天を除く、各球団の成績を振り返りつつ、それぞれの球団に黄金期はあったのか、それはいつ頃だったのかを振り返ってみたいと思う。
黄金期だらけの巨人、一方ライバルの阪神は……
1961年からは川上哲治が監督に就任。以降、1974年オフに退くまでの14年間で11度のリーグ優勝、11度の日本一と圧倒的な成績を残している。特に1965年から1973年まで9年連続日本一。いわゆる「V9」に輝いたこの時期が巨人史上最強だったと評するファンも多い。
また、第二次原辰徳監督時代の2006年から2015年までは、10年間で2度の3連覇を成し遂げるなど、リーグ優勝6回、日本一3回、この時期も黄金期と呼べるのではないだろうか。
▼ 巨人
・水原監督:1950-59年(リーグ優勝8回/日本一4回)
・川上監督:1961-74年(リーグ優勝11回/日本一11回)
・原 監督:2006-15年(リーグ優勝6回/日本一3回)
巨人の永遠のライバルといえる阪神だが、1950年代や巨人のV9時代には、毎年のように優勝争いを演じながらもリーグ制覇はなく、日本一に輝いた1985年や、強力なメンバーがそろっていた2003年など、単年で見れば強いシーズンはあるものの、連覇は一度もない。1962年と64年、2003年と05年のように、3年で2度の優勝を経験したことはあるものの、黄金期と呼ぶのは難しいかもしれない。
また、昨シーズンは巨人に次ぐリーグ2位と近年の躍進が目に付くDeNAも連覇は一度もない。それでも、大矢明彦監督、権藤博監督とつないだ1990年代後半は、2位(97年)、1位(98年)、3位(99年、00年、01年)と、5年連続でAクラスに入るなど、ベイスターズにとっての「プチ黄金期」と呼べそうな時期はあったが、こちらも黄金期と呼べるほどではないかもしれない。
現在はBクラスに沈む3チームは……
広島の黄金期は、1970年代半ばから1980年代半ばのかけての古葉竹識監督時代と、リーグ3連覇を成し遂げた緒方孝市監督時代(2015~19年)の2つだろう。特に古葉監督時代は9年間でリーグ優勝4回、日本一にも3回とまさに黄金期といえる成績だった。
ここ数年の成績は物足りないが、中日は常に巨人など強豪と上位争いをしてきたのがだ。その中でも黄金期と呼べそうなのは、落合博満監督が率いた2004年から2011年までの時期だろう。8年間で4度のリーグ優勝に輝いている。また、優勝を逃したシーズンも2位が3度、3位が1度と、Bクラスに落ちたことはなかった。
ヤクルトの黄金期といえば、野村克也監督時代だろう。1990年から1998年までの9年間でリーグ優勝4回、日本一に3回輝いている。それまでなかなか上位進出もできなかったチームを勝てるチームに変えた野村監督の手腕が、改めて高く評価された。
▼ 広島
・古葉監督:1975-85年(リーグ優勝4回/日本一3回)
・緒方監督:2015-19年(リーグ優勝3回)
▼ 中日
・落合監督:2004-11年(リーグ優勝4回/日本一1回)
▼ ヤクルト
・野村監督:1990-1998年(リーグ優勝4回/日本一3回)
「史上最強」と呼ばれた森監督時代の西武
西武の黄金期は、南海と激しく覇を競っていた西鉄時代にもあったが、やはり森祗晶監督が率いた1986年から1994年までが凄かった。9年間でリーグ優勝8回(一度もBクラスはなし)、日本一6回と、まさに常勝軍団と言える成績を残した。前後の広岡達朗監督、東尾修監督の時代を含めると、17年で計13度のリーグ優勝を経験。80年代~90年代はまさに西武の時代だった。現在の辻発彦監督の下でも連覇中、強力打線を武器に新たな時代を築けるか注目だ。
現在3年連続日本一のソフトバンクは、秋山幸二監督とこの10年で5度のリーグ優勝6度の日本一と、まさに今が黄金期と呼べるかもしれない。しかし、鶴岡(山本)一人監督が率いていた1940年代後半から1960年代も優勝争いの常連として黄金期を築いていた。
パ・リーグの中で、西武とソフトバンクに次ぐ優勝回数を誇るのが、1996年以降リーグ優勝から遠ざかっているオリックスだ。阪急時代、西本幸雄監督が率いていた1960年代から1970年代前半にかけては、10年間で3連覇を含む5度のリーグ優勝を経験。次にチームを率いた上田利治監督は、就任5年間でリーグ4連覇を果たし、1975年からは3年連続で日本一に輝いた。オリックスでは、イチローが在籍していた仰木彬監督時代にも1995・1996年にリーグ連覇を果たすなど、Aクラスの常連だった。
日ハムは、他を圧倒するような「目立った黄金期」はないものの、2006年、2007年とリーグ連覇を果たしたトレイ・ヒルマン監督時代や、チーム史上最長就任期間を誇る現在の栗山英樹監督時代も上位争いの常連となるなど、一時代を築いている。
残るロッテは、上述の阪神やDeNAと同じで、スポットライトが当たった時期はあるものの、黄金期となると判断が難しいところ。近年は、安田尚憲(2017)、藤原恭大(2018年)、佐々木朗希(2019年)と、高卒の有望株を獲得しているだけに、黄金期の到来を楽しみに待ちたいところだ。
▼ 西武
・広岡監督:1982-85年(リーグ優勝3回/日本一2回)
・森 監督:1986-94年(リーグ優勝8回/日本一6回)
・東尾監督:1995-01年(リーグ優勝2回)
▼ ソフトバンク
・鶴岡監督:1950-68年(リーグ優勝9回/日本一2回)※南海
・秋山監督:2009-14年(リーグ優勝3回/日本一3回)
・工藤監督:2015-19年(リーグ優勝2回/日本一4回)
▼ オリックス
・西本監督:1963-73年(リーグ優勝5回)※阪急
・上田監督:1974-78年(リーグ優勝4回/日本一3回)※阪急
・仰木監督:1994-01年(リーグ優勝2回/日本一1回)
▼ 日本ハム
・ヒルマン監督:2004-07年(リーグ優勝2回/日本一1回)
・栗山監督:2012-19年(リーグ優勝2回/日本一1回)
ちなみに楽天は、2005年創設でまだ歴史は浅いが、すでにリーグ優勝と日本一を経験。例えばヤクルトはリーグ優勝と日本一まで29年を要したことを考えると、かなり早いタイミングでの達成だ。的確な補強や強化を見せる楽天に黄金期が訪れるのか、それとも連覇を経験したことのない阪神やDeNA、ロッテが先んじるか、その辺りも注目して応援してはどうだろうか。
文=中田ボンベ@dcp
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※訂正とお詫び(2020年5月9日23時55分)
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中日の箇所にリーグ優勝したシーズンにおいて「その全てで日本一になっている」という記述がございましたが、誤りです。訂正してお詫びいたします。誠に申し訳ございませんでした。