2019年は12球団ワースト3位の本塁打数
今シーズンの開幕に向けて練習試合がはじまって以降、阪神が好調だ。ここまで練習試合では6試合を終えて5勝1敗。唯一の敗戦も、相手は3年連続日本一の常勝軍団・ソフトバンクだった。
阪神は今季のオープン戦でも、西武、ソフトバンクに次いで「セ・リーグ首位」となる3位と、好成績を収めていた。2005年以降、長くリーグ優勝から遠ざかっていることもあり、虎党のなかでも例年なら「今年も優勝は難しいだろう」と達観しているようなファンも、「今年はもしかしたら?」と期待しはじめるような勢いだ。
近年の阪神はというと、投手陣の充実ぶりが目立っているチームだ。事実、昨季のチーム防御率3.46は、ソフトバンクの3.63をしのぐ12球団トップの数字である。これには、先発・中継ぎを問わず投手陣に力があることはもちろんだが、広い本拠地・甲子園を武器にしているという一面もあるだろう。
その反面、本塁打が出にくいこともあり、本塁打不足、得点力不足こそ阪神が抱える最大の課題とされている。阪神の昨季のチーム本塁打は94本。これは、中日の90本、日本ハムの93本こそわずかに上回っているものの、12球団ワースト3位の数字である。ちなみにトップは、巨人とソフトバンンクの183本と、倍近い開きがある。
甲子園での練習試合6戦すべてで本塁打をマーク
ところが、現在行われいてる練習試合では、阪神打線にちょっとした異常事態?が起こっているようだ。ここまでの6試合すべてで本塁打を記録しており、合計はすでに10本塁打に達している。6月2日の広島戦で新外国人・ボーアが待望の一発を記録して以降、3戦連発でアーチを描いた他、福留孝介、江越大賀、木浪聖也、糸井嘉男、サンズ、原口文仁、北條史也がそれぞれ1本塁打をマークしている。
しかも、この6試合はすべて甲子園で行われたもの。昨季の阪神はというと、甲子園では62試合で34本塁打。1試合あたり0.55本という数字は、セ6球団本拠地球場における阪神の球場別成績では、ナゴヤドームでの0.42本(5本塁打/12試合)に次ぐワースト2位。ちなみに、最多は神宮球場での1試合あたり1本(11本塁打/11試合)だった。
それが、ここまでの練習試合では甲子園で1試合あたり1.67本(10本/6試合)。もちろん、わずか6試合の成績で「本塁打不足、得点力不足が解消された」と言うつもりはない。また、対戦投手も調整中ということを思えば、本番になれば攻め方が厳しくなり本塁打が出にくくなることも考えられる。
ただ、そうではあっても、ここまでの戦いぶりを見ている限り、「今年の阪神打線はちょっとちがう!」と期待したくなるのも事実だろう。
※数字は6月7日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)