コラム 2020.07.22. 07:09

めざましい成長を遂げた名門の大型遊撃手 仙台育英・入江大樹がドラフト戦線に浮上する!

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仙台育英・入江大樹選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

名門・仙台育英の注目株


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、残念ながら今年の全国高校野球選手権および代表校を決める地方大会は中止となってしまった。それでも、各地で代替大会は行われることになり、早い地域では既に佳境を迎えているところもある。

 プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな代替大会での活躍が期待される、もしくは活躍が光った選手についても積極的に紹介していきたい。

 今回は、スケールの大きさが魅力の東北が誇る“大型ショート”を取り上げる。


昨夏の宮城大会で「打率5割超」も…


 7月5日に行われた、仙台育英と作新学院の練習試合。前回紹介した横山陽樹(作新学院)とともに大きな存在感を示したのが、仙台育英のショート・入江大樹だ。


 1年秋からレギュラーとなり、昨年夏の宮城大会では5割を超える高打率をマークしてチームの甲子園出場にも大きく貢献。新チームでは4番に座り、秋の明治神宮大会では初戦で天理に敗れたものの、レフト中段に飛び込む特大アーチを放ち、その長打力を見せつけている。

 しかし、高いポテンシャルを秘めてるいことは間違いないが、攻守ともに弱点も多いというのが秋までの入江の印象だった。

 バッティングでは、上半身の力と右手が強いスイングでヘッドがきれいに振り抜けておらず、神宮大会で放った一発もパワーで強引に持っていったように見えた。強引さも時には必要だが、秋までの入江はその面が強く出過ぎていたことも確かである。また、逃げるボールに対して下半身でついていくことができず、昨年夏の甲子園でも4試合で4安打、うち長打は1本と、高いレベルの投手相手には苦戦していた。

 守備についても、旧チームではサードや外野を守ることもあり、まだまだショートになじんでいないように見えた。具体的には、捕球に向かう時の重心が不安定。捕球から送球への流れもスムーズさに欠け、地肩の強さで何とかカバーしているという印象だった。


冬を越えて攻守に大きな成長!


 そんな入江だったが、この日は冬の間に相当鍛えてきたことがよく分かるプレーを連発した。

 試合前のシートノックを見ても、フットワークが以前と比べて明らかにスムーズになっており、ショートを“やらされている感”がきれいになくなっている。185センチ・82キロという恵まれた体格にスピード感が出てきたため、見ていても華があることは間違いない。

 スローイングも、軽く投げているようで伸びるボールを投げることができていた。須江航監督も、入江について「内野手らしくなったのが一番の成長」と話しており、上のレベルでもショートで勝負できる準備は整っているように見えた。


 また、進歩が見えたのはショートの守備だけではない。

 第1打席では、初球の変化球をしっかり呼び込んで振り抜くと、あわやホームランというレフトフェンス直撃のツーベース。上半身の力みが全く感じられず、昨年秋の明治神宮大会でのホームランよりも、スイングのバランスは明らかに良くなった。

 ホームベースから少し離れて構えるスタイルだが、左足の踏み込みもしっかりとしており、下半身に強さが出てきたのは大きな進歩である。


 さらに、第3打席では追い込まれてから粘りを見せ、会心の当たりではなかったものの、7球目をライト前に運ぶなど、対応力の高さも確実にアップしていた。

 元々の持ち味であるリストの強さも健在で、ヘッドスピードも申し分ないが、それが過剰に目立たなくなったということが、大きな成長の証である。


 進路については、まだ正式には決まっていないとのことだが、高校から直接プロ入りしたい気持ちがかなり強いという。

 この日見せたような攻守を代替大会、そして8月の甲子園で行われる交流試合でも見せることができれば、目標とするプロ入りはグッと近づくことになるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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