コラム 2020.10.05. 07:09

スカウト陣も熱視線…「高校生トライアウト」でキラリと光った野手たち

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中京大中京・中山礼都選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

「高校球児のトライアウト」に潜入!


 8月28日と29日に甲子園で、9月5日と6日は東京ドームで行われた『プロ野球志望高校生合同練習会』。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でほとんどの春季大会、夏の甲子園大会が中止となったことから、選手にとってはアピールの場が、スカウトにとっては視察の場が不足しているということで、NPBと高野連がタッグを組んで行われた史上初の試みである。

 聖地・甲子園で行われた西日本会場は77人、東京ドームで行われた東日本会場には41人、合計118人のプロ候補たちが参加。ここでは、その中でもキラリと光るプレーを見せた選手たちを紹介していきたい。今回は野手編。


高い打撃技術を見せつけたドラフト候補


 木製バットの使用で、なおかつシート打撃が1ボール・1ストライクからのスタートということもあって、野手にとっては結果を残すことが難しい合同練習会。その中でも高い打撃技術を見せつけたのが、中山礼都(中京大中京)と高寺望夢(上田西)という2人の遊撃手だ。


 中山が圧巻だったのはフリーバッティング。狙ったように左方向から打ち始め、徐々にセンターから右方向へと鋭いライナーを連発。2回り目には長打力もあるぞ!というところを見せつけるように外野後方へのフライを多く放ち、3回り目には再びライナー性の打球を見事に広角に打ち分けていた。

 シート打撃ではヒットこそ出なかったものの、7度打席に入って5つの四球を選び、最後の打席のレフトフライもしっかりととらえて強く左方向へ打ったものだった。

 ショートの守備も、昨年秋と比べて確実にフットワークのスピードが増し、スローイングにも強さが出てきた印象を受ける。


 一方、高寺もフリーバッティングで鋭い当たりを放っていたが、こちらが見事だったのがシート打撃だ。

 6打数5安打・2四球と8打席中7度出塁。夏の長野大会で見た時には常田唯斗(飯山)の前に抑え込まれていたが、この日は140キロを超えるスピードにも完全に対応しており、レフトオーバーのツーベースを放つなど、長打力も見せつけた。

 きれいなヒットも素晴らしかったが、内野安打での一塁到達も3.88秒をマークしたように脚力も見事。守備については少し雑になるところもあったが、運動能力の高さがあるだけに、さらにレベルアップする可能性は高いだろう。


西武・源田壮亮になれる逸材?


 また、同じ遊撃手でさすがという守備を見せつけたのが、土田龍空(近江)だ。

 ボールに向かう動きにスピードがありながらも打球と衝突することなく、柔らかいグラブさばきで見事に処理する姿はとても高校生とは思えない。持ち替えの速さ、スローイングの正確さでも、レベルの違うところを見せた。

 打撃に関しては中山や高寺と比べると少し確実性に欠くところはあったものの、スイングの形は決して悪くない。走塁でも素晴らしいスピードを披露しており、将来は源田壮亮(西武)のようなショートになれる可能性を秘めている。


 内野手では、奥村真大(龍谷大平安)も存在感を見せた一人だ。

 サードの守備は丁寧でありながらもスピードがあり、スローイングの強さも申し分ない。左右の動きだけでなく、前のゴロに対する処理にも速さがあるのは大きな長所である。

 打つ方では残念ながらヒットは出なかったものの、夏の京都大会も木製で出場していたことからしっかりと振り切ることができ、インパクトの強さは見せていた。この1年での成長度合いを感じたスカウトも多かったのではないか。


外野手で期待のドラフト候補は?


 外野手では、寺本聖一(広島商)と石川慧亮(青藍泰斗)の2人が見事なパフォーマンスを見せた。


 寺本はフリー打撃で2本の柵越えを放つと、シート打撃でも左中間とセンターの右に2本のツーベースと大当たり。

 上背はなくても下半身の強いパワフルなスイングで、ミート力の高さも光った。


 石川はシート打撃で全出場選手中唯一となるホームランを放つなど、長打力でアピールした。

 こちらも173センチながら軸のぶれないパワフルなスイングは迫力十分で、フリー打撃でも力強い打球を連発していた。

 ともに打つだけでなく、外野から見せる強肩でも目立っただけに、十分に指名圏内に入ってくる可能性はあるだろう。


 捕手のスローイングで目立ったのは古市尊(高松南)だ。

 素早い動きからベース付近でも勢いの落ちないスローイングを見せ、シート打撃でのセカンド送球では1.90秒をマーク。

 打撃の方は金属バットで参加しており、あまり良さを見せることはできなかったが、肩に関しては間違いなく全国でもトップクラスだけに、育成で狙う球団がでてきてもおかしくないだろう。


 投手に比べると全体的に厳しい結果に終わった選手が多かったが、その中でもここで挙げた選手たちは十分にプロ入りを狙えるパフォーマンスを見せていた。

 10月26日のドラフト会議に向けて、良いアピールとなったことは間違いないだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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