コラム

コロナ禍の「前例なきドラフト」…“外れ1位”も大争奪戦に?

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慶応大・木沢尚文 [写真提供=プロアマ野球研究所]

異例な年の、“運命の一日”


 10月26日に迫ったプロ野球ドラフト会議。今年は新型コロナウイルスの影響で多くの公式戦が中止となり、例年以上にプロ側の判断が難しくなっている。

 こうなってくると、これまで以上にスカウト陣の実力が問われる状況となることは間違いない。そんな中、各球団は上位候補の顔ぶれを固めていく作業に入っている。


 前回のコラムでは、「1位指名の有力候補」として、以下の8人をピックアップした。

【ドラ1候補まとめ】
高橋宏斗(中京大中京/投手)
山下舜平大(福岡大大濠/投手)
伊藤大海(苫小牧駒沢大/投手)
早川隆久(早稲田大/投手)
佐藤輝明(近畿大/内野手兼外野手)
牧 秀悟(中央大/内野手)
五十幡亮汰(中央大/外野手)
栗林良吏(トヨタ自動車/投手)


 この中で、指名が重複する可能性が高いのが高橋・伊藤・早川・佐藤の4人。ただし、こればかりは当日になってみなければ分からないもの。裏をかいたつもりが他球団も同じ作戦をとり、そこで競合が発生するケースも少なくない。


 くじ引きが当たればそれ以上のことはないが、そこは天に任せるしかない部分…。当日の運気を上げることよりも、そうならなかった時の“プランB”、いわゆる「外れ1位」で選択する選手が重要になってくる。

 ここでは、前回取り上げた『ドラ1候補』には載せきれなかったが、再入札を含めた1位指名の候補となりそうな実力者たちを紹介したい。


「外れ1位」で再度抽選も?


 まず、筆頭候補になるのが木澤尚文(慶応大)だ。

 昨年までは故障が多く、リーグ戦での実績は乏しいものの、150キロを超えるストレートの勢いは大学球界でも指折りの本格派右腕である。

 さらに、今年に入ってカットボールなどの変化球の質、精度がアップ。8月に行われた春のリーグ戦では、1試合16奪三振の快投を見せている。早川や伊藤、栗林といった即戦力投手を抽選で外した球団は、真っ先に次の候補として考えることだろう。

 思い返して見ると、2016年のドラフトでは「外れ1位」で佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)に5球団が入札したこともあった。あの時のような、再入札でも多くの球団が抽選へ…ということも十分に考えられるだろう。


 木沢に次ぐ大学生投手として名前が挙がるのが、大道温貴(八戸学院大)・森博人(日本体育大)・入江大生(明治大)・宇田川優希(仙台大)だ。

 中でもここへ来て評価を上げているのが大道である。秋のリーグ戦では6試合に登板して防御率0.25という圧巻の投球を見せ、最優秀防御率のタイトルを獲得。開幕戦となった岩手大戦では、7回参考ながらノーヒットノーランも達成している。早い段階からのローテーション入りも十分に期待できるだろう。

 森と入江、そして宇田川も150キロを超えるストレートが持ち味の本格派。リリーフとして大成しそうな雰囲気がある。ブルペンを厚くしたいチームにとっては、ぜひとも狙いたい投手だ。


将来性豊かな高卒投手も


 即戦力よりも将来性を重視する球団となると、浮上してくるのが中森俊介(明石商)と小林樹斗(智弁和歌山)といった高校生右腕だ。

 中森は自粛明けであまり調子が上がらず、高橋や山下に比べると最後の伸びが物足りないという声もあるが、元々は世代No.1と言われていた投手。その投球術は高校生離れしたものがあり、夏にはしっかりとスピードを戻してきたことを考えると、1位の12人には入ってくる可能性が高いだろう。

 小林は最後の夏は全てリリーフでの登板だったが、それでも良さを十分に見せつけた。伸びやかなフォームから投げ込むストレートは150キロを超え、昨年までと比べて変化球も明らかにレベルアップしている。

 また、中森と小林はともに下級生の頃から甲子園で多く登板してきた。こうした“大舞台での経験”という点も、加点要素と言えるだろう。


“打てる捕手”の上武大・古川裕大も狙い目


 一方の野手を見ると、投手に比べると少し候補が少ないが、もしくじ引きに敗れた球団が捕手に課題があるチームであったなら、古川裕大(上武大)をおすすめしたい。

 2.0秒を切れば強肩と言われるセカンド送球のタイムで、コンスタントに1.8秒台をマーク。そのコントロールも安定している。

 そして、何より魅力なのが「打てる捕手」という点だ。

 昨年のリーグ戦では春・秋連続で4割を超える打率をマークしており、2シーズンで8本塁打を放つなど長打力も申し分ない。昨年2位で指名された佐藤都志也(東洋大→ロッテ)と比べても、総合力ではわずかに上回っているように見える。状況によっては、1位の12人に入ってくる可能性は十分だろう。


 将来性の高い野手を重視する場合は、小深田大地(履正社)が筆頭候補となる。

 昨年夏の甲子園でも「3番・三塁」としてチームの全国制覇に大きく貢献したが、そこからさらにスケールアップを果たした。

 長打力と確実性を兼ね備えたバッティングは高校生ではNo.1。先輩・安田尚憲(現・ロッテ)と比べても、遜色ない実力を誇る。安田が今年4番打者に定着しつつあるというのも、小深田にとって追い風となりそうだ。


 昨年のドラフトを振り返ってみても、堀田賢慎(青森山田→巨人)や小深田大翔(大阪ガス→楽天)、佐藤直樹(JR西日本→ソフトバンク)など、事前の段階では「1位候補」とまでは言われていなかった選手たちが1位で名前を呼ばれている。

 やはり、当日までなにが起こるか分からない。そういった点も、ドラフトの面白さと言えるだろう。

 果たして、今年は…?各球団の動向から目が離せない。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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