コラム 2020.11.06. 07:09

今年の秋は名前が挙がらずも…さらなる飛躍を期待したい「高校生の有望選手」

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飯山の常田唯斗選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

「指名漏れ」を糧に…


 10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議。新型コロナウイルスの影響でアマチュア野球も多くの大会が中止となり、指名される人数は減るかと思われていたが、最終的には支配下で昨年と同数の74人。育成では昨年を大きく上回る49人の合計123人の名前が呼ばれる結果となった。

 しかし、今年は残念ながら指名を逃したものの、再びドラフト候補となる可能性を秘めた選手は決して少なくない。今回は「高校生編」として、引き続き注目すべき選手を積極的に紹介していきたい。


投手では22人の有望株


 まず投手では、以下の選手が有力候補として名前が挙がる。


<投手>
片山楽生(白樺学園)
小牟田龍宝(青森山田)
佐々木湧生(ノースアジア大明桜)
橘高康太(ノースアジア大明桜)
長尾 光(ノースアジア大明桜)
黒田晃大(佐和)
シャピロ・マシュー・一郎(国学院栃木)
橋本拳汰(健大高崎)
鈴木威琉(健大高崎)
美又王寿(浦和学院)
内田了介(埼玉栄)
常田唯斗(飯山)
高田竜星(遊学館)
加藤優弥(金沢龍谷)
松村力(敦賀気比)
小辻鷹仁(瀬田工)
久保田大斗(武田)
平安山陽(松山聖陵)
若杉晟汰(明豊)
有馬太玖登(都城東)
和田颯斗(都城東)
八方悠介(鹿児島城西)


 中でも、指名がなかったことに驚かされたのが、小牟田龍宝(青森山田)と常田唯斗(飯山)の2人だ。

 小牟田は下級生の頃から評判の右腕で、今年に入ってからは150キロもマーク。青森の独自大会を勝ち抜き、東北大会でも初戦で敗れたものの見事な投球を見せている。

 プロからの指名がない場合は大学進学と言われていたが、高いレベルのリーグでも早くから登板機会はありそうだ。


 一方、常田も有力な指名候補と見られていた。

 長野の独自大会準決勝では阪神から7位指名を受けた高寺望夢(上田西)を完璧に抑え込むなど、チームを決勝に導いている。

 こちらはまだ進路の情報は入ってこないが、スケールだけでなく完成度もあるため、欲しがるチームは多いだろう。


 最終学年で驚きの成長を見せたのが、片山楽生(白樺学園)だ。

 昨年秋の明治神宮大会ではフォームの良さは目立ったものの、スピードは130キロ台中盤がアベレージだったが、一冬を越えて140キロ台中盤までアップした。最後の夏は少しバランスを崩しているように見えたが、体つきなどは明らかに成長しており、ボールの強さも申し分ない。打者としても非凡で、フィールディングなど投げる以外のプレーも光る。

 社会人の強豪に進むという情報もあるが、早くから実戦の機会を経験すれば、3年後の候補になる可能性は高いだろう。


野手の有望選手をポジション別に


 続いて野手だが、ポジション別にまとめると以下のような顔ぶれとなる。


<捕手>
藤田青空(弘前東)
古谷将也(成田)
関本勇輔(履正社)

<内野手>
度会隆輝(横浜)
奥村真大(龍谷大平安)
西野力矢(大阪桐蔭)

<外野手>
石川慧亮(青藍泰斗)
鵜沼魁斗(東海大相模)
漁府輝羽(おかやま山陽)
寺本聖一(広島商)
奥野翔琉(明徳義塾)


 こちらでまず意外だったのが、古谷将也(成田)と関本勇輔(履正社)の捕手2人だ。

 古谷は打力に脚力も備えた万能タイプの捕手で、高校3年時点の総合力では成田の先輩である田宮裕涼(日本ハム)にも引けをとらない存在である。


 また、関本もレギュラーとなったのは新チームからだが、4番も任せられるなど強肩・強打は高校生トップレベル。8月に行われた甲子園交流試合でも、見事なスローイングで盗塁を阻止している。

 成田も履正社も毎年強豪大学に多く選手が進学しているだけに、2人も大学球界で活躍を見せ、再びドラフト戦線に浮上してくることを期待したい。


 他のポジションでは、打撃に特長のある選手が多い印象を受ける。

 度会隆輝(横浜)は広角に打ち分けるバットコントロールが最大の魅力。セカンドの守備と走塁が物足りないだけに、そのあたりのレベルアップが今後の課題となる。

 西野力矢(大阪桐蔭)と石川慧亮(青藍泰斗)、漁府輝羽(おかやま山陽)の3人は右の強打者タイプ。揃って合同練習会では見事な打撃を見せていたが、打つ以外のプレーのインパクトがもう少し足りなかったというところか。木製バットへの対応はある程度できているように見えただけに、ここから確実性を更に上げていきたい。


 3拍子揃った万能タイプでは、鵜沼魁斗(東海大相模)の名前が挙がる。

 昨年夏には2年生ながら高校日本代表にも選出されており、国際舞台で貴重な経験も積んだ。走攻守全てにおいて高い水準の選手だが、プロとなると何か一つ圧倒的な武器が必要になりそうだ。


 一芸タイプでは、奥野翔琉(明徳義塾)が筆頭。4.0秒を切れば俊足と言われる一塁到達タイムで3.8秒台をコンスタントにマークするスピードは高校生の中でも随一。ただ速いだけでなく、盗塁のスタートの思い切りも良く、次の塁を狙う姿勢も光る。

 しかし、課題はやはり打撃になる。足を生かそうとするのはもちろんだが、しっかり強く振り切れる形を作るのが重要だろう。


 一般社会とは逆で、プロ野球の世界では高校卒が一番のエリートとなる。しかし、大学や社会人で力をつけて、高校3年時点の序列をひっくり返す例は枚挙にいとまがない。

 この悔しい経験をバネに、ぜひ次のステージでさらなるレベルアップを目指してもらいたい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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