コロナ禍で奪われた国際舞台
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、大きな打撃を受けた2020年のアマチュア球界…。国内の主要な大会が相次いで中止となり、当然ながら世界の強豪と戦う舞台もなくなったため、昨年は“日本代表”が結成される機会というのもなかった。
例えば、高校野球でいうと、注目を浴びる甲子園での激闘を終えた選手たちが集められ、同じ「侍ジャパン」のユニフォームを身にまとい、期間限定のドリームチームを結成。世界の強豪と戦う姿を楽しみにしているファンも大勢いたことだろう。
そこで今回は、ドラフト候補をウォッチしてきたプロアマ野球研究所が、幻の「侍ジャパンU-18代表」を編成。どんなメンバーが選出されていたか、シミュレーションをしてみた。
なお、選出人数は2019年に行われた『第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ』と同様の20人としている。メンバーは以下の通り。
幻の「侍ジャパンU-18代表2020」
▼ 投手
根本悠楓(苫小牧中央3年/日本ハム5位)
篠木健太郎(木更津総合3年)
高橋宏斗(中京大中京3年/中日1位)
松島元希(中京大中京3年)
高田琢登(静岡商3年/DeNA6位)
中森俊介(明石商3年/ロッテ2位)
小林樹斗(智弁和歌山3年/広島4位)
山下舜平大(福岡大大濠3年/オリックス1位)
小園健太(市立和歌山2年)
▼ 捕手
横山陽樹(作新学院3年)
牧原巧汰(日大藤沢3年/ソフトバンク3位)
▼ 内野手
山村崇嘉(東海大相模3年/西武3位)
中山礼都(中京大中京3年/巨人3位)
土田龍空(近江3年/中日3位)
小深田大地(履正社3年/DeNA4位)
池田 凜(履正社3年)
▼ 外野手
井上朋也(花咲徳栄3年/ソフトバンク1位)
元 謙太(中京3年/オリックス2位)
来田涼斗(明石商3年/オリックス3位)
細川凌平(智弁和歌山3年/日本ハム4位)
高橋や山下ら“4本柱”が軸
まずは投手から見ていこう。2019年の代表チームと同じく9人を選んだ。
先発の中心として考えたいのは、高橋・中森・山下・根本の4本柱である。高橋はリリーフでも面白いと思ったが、他にもリリーフ適性の高い投手が揃っていたため、やはりエースとして指名したい。2019年のU-18・W杯では、奥川恭伸(現・ヤクルト)が見事な投球を見せたが、総合力では高橋も引けを取らないだろう。
中森は高校生離れした投球術が光るタイプ。そして、根本は高校生サウスポーとしては出色のコントロールが持ち味で、甲子園経験こそないとはいえ、中学では全国大会で大活躍した実績は心強い。一方、山下は“未完の大器”タイプと思われがちだが、試合を作る能力の高さは十分だ。
「第2先発」にも、篠木・高田・小園の3人が控えている。篠木はスライダーという必殺の武器があり、セットアッパーとしても起用できる。高田はここ一番でギアを上げることのできる左腕で、制球力が光る貴重な存在だ。
また、唯一の2年生である小園もまた能力の高さは申し分ない。このほか、ここ一番の左打者対策としては松島を選んでみた。松島はチームでは高橋の控えだったが、サウスポーとしては高校生屈指の実力者。勝ち続けてきたチームで投げてきた経験が魅力である。
そして、抑えには小林。今年の夏は全てリリーフでの登板だったが、いずれも素晴らしいピッチングで全く危なげなかった。150キロを超えるストレートはもちろんだが、変化球のレベルも上がり、狙って三振を奪えるのも大きな長所だ。
歴代チームに引けをとらないメンバー
つづいて野手陣は、以下のような想定打順を考えてみた。
1(左)来田
2(中)細川
3(右)元
4(三)小深田
5(指)井上
6(一)山村
7(捕)牧原
8(遊)中山
9(二)池田
まず、捕手は打力もある牧原が正捕手候補。もう一人はヤクルト3位の内山壮真(星稜)も考えたが、前年にも代表でプレーした経験と内野・外野もできるユーティリティー性を考えて横山とした。全体的に右打者が少ないだけに、そういう意味でも横山の果たす役割は重要になっただろう。
内野手は、2019年の大会はショートの選手ばかりを揃え、明らかに上手くいっていなかっただけに、本職の選手を中心に選んだ。山村はファーストの経験が豊富で、セカンドの池田は強打も誇る。ショートには中山と土田というドラフト3位で指名された2人。打撃を買って中山をスタメンとして、土田は二遊間のバックアップとして想定してみた。
井上と元はプロ入り後に内野手になる可能性が高いが、ここでは外野手として考えた。毎年、U-18代表は右の強打者タイプが少なくて苦労するが、この2人がいることは非常に心強い。細川は高いミート力に加えて守備力、内野もできる器用さから迷わずに選んだ。来田は他にも左打者が多いだけに入れるか悩んだが、やはり大舞台の強さは魅力的。トップバッターとして、チームに勢いをつける役割を任せたい。
こうして見ると、歴代のU-18代表と比べても、非常に良い選手が揃った印象を受ける。ただ、毎年、懸案事項となる「セカンド」と「右打者」の不足は今年も感じられた。来年は小園を筆頭に有力な投手が多いだけに、どのような代表チームになるのか、今から楽しみは尽きない。
☆記事提供:プロアマ野球研究所