バンデンハーク獲得で先発陣の底上げ狙う!
ヤクルトが24日、新たな戦力補強としてソフトバンクを退団していたバンデンハークを獲得したことが正式に発表された。
昨季は故障の影響などもあり5試合の登板で2勝2敗、防御率6.92と振るわなかったが、2メートル近い長身から投げ下ろす威力あるストレートを武器に、在籍6年で43勝19敗、勝率.694という好成績をマークした優良外国人選手だ。大きな故障さえなければ、先発投手陣が手薄なヤクルトにとってはベストな補強となるだろう。
4年連続で日本一に輝くなど、プロ野球界随一の巨大戦力となったソフトバンク。他球団であればまだまだ活躍できそうな選手が退団となることもあるわけだが、なかでも近年のヤクルトは、そういったソフトバンクの選手たちを獲得してきた球団というイメージも強い。
過去にソフトバンクからヤクルトへ移籍(自由契約後に獲得した選手やトレードも含む)した選手たちの成績はどうだったのだろうか。あらためて見ていきたい。
近年は毎年のように加入
ホークスの親会社がソフトバンクに変わった2005年から今季までにヤクルトへ移籍した選手たちを振り返ると、16年間で下記の9名が該当した。
<2009年>
▼ 吉本亮(内野手)
移籍前:一軍出場なし
移籍後:32試合 打率.360 1本塁打 6打点
・ヤクルト在籍年数:3年
※ソフトバンクから戦力外通告後にヤクルトが獲得
<2014年>
▼ 新垣渚(投手)
移籍前: 5試合登板 1勝1敗 防御率5.56
移籍後: 2試合登板 0勝2敗 防御率7.88
・ヤクルト在籍年数:3年半
※シーズン途中トレードで入団
▼ 山中浩史(投手)
移籍前:17試合登板 0勝2敗1H 防御率5.52
移籍後: 9試合登板 0勝0敗 防御率6.75
・ヤクルト在籍年数:6年半
※シーズン途中にトレードで入団
<2018年>
▼ 山田大樹(投手)
移籍前: 2試合登板 1勝0敗 防御率3.68
移籍後: 2試合登板 0勝1敗 防御率15.88
・ヤクルト在籍年数:3年
※無償トレードで入団
<2019年>
▼ 寺原隼人(投手)
移籍前:21試合登板 0勝0敗4H 防御率2.39
移籍後:4試合登板 2勝1敗 防御率6.19
・ヤクルト在籍年数:1年
※ソフトバンクから戦力外通告後にヤクルトが獲得
▼ 五十嵐亮太(投手)
移籍前:23試合登板 2勝2敗 防御率4.50
移籍後:45試合登板 5勝1敗4H 防御率2.98
・ヤクルト在籍年数:2年
※ソフトバンクから戦力外通告後にヤクルトが獲得
<2020年>
▼ 長谷川宙輝(投手)
移籍前:一軍登板なし
移籍後:44試合登板 1勝2敗7H 防御率5.82
・ヤクルト在籍年数:1年
※ソフトバンクから戦力外通告後にヤクルトが獲得
<2021年>
▼ 内川聖一(内野手)
移籍前:一軍出場なし
※ソフトバンク退団後にヤクルトが獲得
▼ 小澤怜史(投手)
移籍前年の成績:一軍出場なし
※ソフトバンクから戦力外通告後にヤクルトが育成選手として獲得
▼ バンデンハーク(投手)
移籍前年の成績:5試合登板 2勝2敗 防御率6.92
※ソフトバンクから自由契約後にヤクルトが獲得
1998年のドラフト1位入団であった吉本亮は、打席数こそ少ないものの移籍初年度に打率.360を記録し、生涯唯一となる本塁打を放つなど短期間の在籍ながらも存在感を示した。
吉本以降はしばらく獲得がなかったが、2014年以降はその流れが加速していく。なかでもヒットしたのが、2014年のシーズン途中に行った2対2(ソフトバンク:新垣渚、山中浩史⇔ヤクルト:川島慶三、日高亮)のトレードで獲得した山中浩史だろう。当時は、山中とともにヤクルトへ移籍した新垣渚のほうに注目が集まったが、新垣は在籍3年半で4勝に終わった。一方の山中は、移籍2年目から先発・中継ぎと大車輪の活躍を見せ、6年半の在籍で通算17勝を挙げている。
近年では、出戻りという形になった五十嵐亮太が45試合に登板して5勝を挙げるなど活躍。神宮のヤクルトファンにとっては夢のような1年となった。ソフトバンク時代は育成選手だった長谷川宙輝も、今後の躍進が期待されるひとり。移籍1年目の昨季は44試合に登板するなど、チームにとって欠かせない快速球を投げ込む左腕だ。
今年は、すでに内川と小澤がヤクルトのユニフォームを着ており、バンデンハークが加入すると一気に元ソフトバンク勢が3人加わることになる。彼らが新天地でどのような活躍を見せるのか注目だ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)