コラム 2021.04.02. 08:00

外国人選手不在の不平等【予測不能な開幕】

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阪神・サンズ

4月連載:予測不能な開幕


 2年連続コロナ禍の下でプロ野球が開幕した。3月31日にはヤクルトで西田明央選手らのコロナ陽性判定を受け、山田哲人、青木宣親、内川聖一らの主力選手が選手登録を抹消される緊急事態が発生。青木宣親、内川聖一、川端慎吾の3選手が濃厚接触者の判定を受け、2週間の自宅待機となった。

 また、巨人・菅野智之投手や楽天・田中将大投手、西武・山川穂高選手が故障で戦列を離脱するなど、波乱含みのすべり出しを見せている。先行き不透明な春を順調に滑り出したチームと誤算に泣くチーム。それぞれの事情を追っていく。

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第1回:明暗を分けた助っ人の存在


 「助っ人」とは、読んで字のごとく「助ける人」だ。我が国の球界では外国人選手のことを指す。投打に強力な助っ人がいるか、いないかでペナントレースの様相は大きく違ってくる。あらかじめ、わかっていたこととはいえ、そんな影響が色濃く出る今年の開幕である。

 最も顕著な例を引いてみる。開幕カードのヤクルトに3連勝と最高のすべり出しを見せた阪神は外国人選手がチームを引っ張った。

 初戦はジェリー・サンズの2発で得点を重ねると、最後は接戦を抑えのロベルト・スアレスがピシャリ。第2戦こそ怪物ルーキー・佐藤輝明選手のプロ1号が話題を独占したが、第3戦はジョー・ガンケルの好投とジェフリー・マルテ、サンズのアベックアーチで快勝、まさに助っ人様々の進撃だった。

 一方、外国人不在が色濃く出たのがDeNAだ。こちらは開幕時点で10選手すべての来日が叶わず、苦戦が予想されていた。ラミレス前監督時代から、外国人選手に頼る比率は高く、特に打線の主軸であるネフタリ・ソト、タイラー・オースティンの両選手がいないオーダーは痛い。ところが、いざふたを開けると、打線以上に投手陣にその影響は出ている。

 巨人との開幕カードでは初戦、守護神の三嶋一輝投手が亀井善行選手に代打サヨナラ弾を喫して惜敗すると、第3戦も逃げ込みに失敗して引き分け。続く対ヤクルト初戦も山﨑康晃投手らの中継ぎ陣が打ち込まれて逆転負けを喫している。昨年まで救援陣に厚みをもたらしていたスペンサー・パットンが退団、エドウィン・エスコバーの不在が連敗スタートの大きな要因となっている。

 開幕を前にして、12球団の外国人選手のうち、47人が不在の異常事態となった。すでに入国審査を終えて、キャンプから合流した者もいれば、その後の緊急事態宣言や新たな変異株の発見によって入国が困難になった者など事情は様々だが、チーム編成に大きな影響を与えたことは間違いない。

 NPBでもチームごとによる外国人選手のバラつきは不平等ではないか?と議論された。また、巨人からは特殊な事情もあり、特例的なDH制採用も提言されたが、具体化はされなかった。


気になる今後の動向は?


 現在、多くの助っ人たちは来日を果たしているが、2週間の隔離措置がとられ、チーム合流は最短で4月中旬となる。だが、それで一件落着かと言えばそうでもない。すでに来日2年目以降の選手はともかく、新外国人にとっては、オープン戦も経験しないままのぶっつけ本番。日本野球への適応やチームプレーの習得にはさらに時間が必要となり、5月以降に本格参戦の選手も増えそうだ。

 逆にチームを預かる監督、コーチからしてみれば、いくら実績を誇る選手でも額面通りに受けとれるかは未知数。順調に滑り出したチームなら、その陣容に手を加えることでリスクを生む可能性もある。

 前述のDeNAや投手陣に不安を抱えるヤクルトや日本ハムなどでは、一刻も早い外国人選手の合流が望まれる。比較的、依存度の少なかった西武の野手陣では、ここにきて主砲の山川穂高、栗山巧選手らが故障で戦列離脱。そこをコーリー・スパンジェンバークやエルネスト・メヒアらの助っ人で穴を埋めたいところ。

 巨人のジャスティン・スモーク、エリック・テームズ。阪神のメル・ロハス・ジュニア、ラウル・アルカンタラら大物外国人が未合流のチームでは、第2弾ロケットとして加速させたい。各チームの事情は様々でも彼らがペナントの行方を左右するキーマンとなる確率は極めて高いと言えるだろう。

 昨年、王者・ソフトバンクはシーズン序盤に故障者と外国人不在に泣いた。特にアルフレド・デスパイネとジュリスベル・グラシアルのキューバ出国が遅れて来日したのは夏に入ってから。それでも陣容が整うと後半戦は連勝街道を突っ走り、4年連続の日本一に駆け上がっている。

 必ずしもすべての役者が揃って幕が開いたわけではない今季のペナントレース。ソフトバンクの例を引くまでもなく、これから陣容を整えてくるチームもあれば、開幕ダッシュに失敗して立て直しに苦労するチームも出てくるだろう。

 いつもの年とは、様相も景色も違う。コロナ禍の野球は予測不能のまま、走り出した。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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