コラム

ドラフト戦線に異常あり!春のセンバツで評価が「上がった選手」「下がった選手」

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天理・達孝太投手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

「春はセンバツから」


 東海大相模(神奈川)の10年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた今年の選抜高校野球大会。

 「春はセンバツから」という言葉もあるように、今年のドラフト戦線が本格的に動き出す大会ということで、連日多くのスカウト陣が甲子園球場のネット裏に詰めかけていた。




 プロアマ野球研究所では、出場校の決まった1月から多くの注目選手を紹介してきたが、久しぶりにその姿を目の当たりにした選手のなかには、冬の間に見違えるような進化を遂げた選手も少なくなかった。

 そこで今回は、今春のセンバツを通じて評価を上げた選手、または下げてしまった選手も含め、改めて振り返ってみたい。


エースとして奮闘を見せた達孝太と畔柳亨丞




 投手で最も評価を上げた選手と言えば、達孝太(天理)になるだろう。

 昨年秋の近畿大会も、初戦ではわずか104球で13奪三振、1失点完投という見事な投球を見せたが、この時は「大型なのに器用」という印象。変化球がとにかく目立ち、ストレートはほとんどが130キロ台中盤で、凄みという点はあまり感じられなかった。


 ところが、今大会ではフォームの躍動感も腕の振りの強さも別人のように成長した姿を見せ、それに伴ってストレートの勢いもアップ。コンスタントに140キロ台中盤をマークするようになり、自己最速となる148キロを記録した。

 1回戦で宮崎商を1失点完投、2回戦では健大高崎を2安打完封。その結果も素晴らしかったが、内容の面で昨年と比べて大きく変化していたように思う。出力が上がったことで、逆に変化球のコントロールが不安定になり、球数が多くなったという点は課題であるとはいえ、それでもしっかり試合を作るあたりは非凡である。昨年秋の時点でも有力なドラフト候補だったが、センバツの活躍で1位候補に浮上したという印象だ。


 もう一人評価を上げた投手が、畔柳亨丞(中京大中京)である。

 2回戦では今大会に出場した全投手の中で最速となる149キロをマークしたが、とにかく魅力はそのストレート。力を入れると楽に145キロを超え、打者の手元での勢いは数字以上のものを感じる。

 跳ねるようなフォームで打者に与える威圧感も申し分ない。ストレートに関しては今大会ナンバーワンだったことは間違いないだろう。

 準決勝で右肘の不調を訴えて降板したのは心配だが、万全の状態で夏も投げることができれば、ドラフト2位以内で指名される可能性は高いだろう。


大会No.1投手が見せたさすがの投球


 大会前に高校No.1投手と見られていた小園健太(市和歌山)も、さすがという投球を見せた。

 ボール自体はもちろんだが、高く評価できるのが投手としてのセンスだ。

 1回戦の県岐阜商戦では、相手打線の対応を見て、試合の途中からスライダー中心の組み立てに変更。リリーフで登板した明豊戦では、チームに流れを持ってくるため、テンポもスピードも明らかに1回戦に比べてアップさせるなど、場面に応じてピッチングを変えられるのは見事だった。

 アベレージのスピードは少し物足りない点はあるものの、現時点でも有力な1位候補であることは間違いないだろう。


 このほか、木村大成(北海)や花田侑樹(広島新庄)も評価を上げた印象だ。

 木村は中盤から少しスピードダウンし、初戦で敗退したものの、立ち上がりに見せた最速145キロのストレートと、鋭く変化するスライダーの組み立ては圧巻だった。北海道のチームということで、まだまだここから状態を上げてくることも期待できそうだ。

 花田は細身ながら欠点らしい欠点のないフォームで、将来性の高さは大会でも1~2を争うレベルである。最速144キロのストレートは、筋力がつけば楽に150キロを超えそうな雰囲気があった。


 一方で、大会前にはかなりの注目を集めていた大阪桐蔭の松浦慶斗と関戸康介の2人は、結果を残すことができずに評価を下げた印象だ。

 ただ、松浦は2回以降に立ち直る修正力を見せ、関戸もリリースで指にボールがかからなくても146キロをマークするなど、才能の片鱗は見せた。夏にどこまで復調してくるかに注目したい。


野手で評価を上げた選手は…?


 野手で最も強いインパクトを残した選手といえば、松川虎生(市和歌山)が筆頭だ。

 チームとして打力が弱く、かなり厳しくマークされたにもかかわらず、2試合連続で2安打をマーク。ヘッドスピードの速さ、インパクトの強さは今大会No.1。常に長打が出そうな雰囲気が漂っていた。

 スローイングのコントロールにはやや課題が残ったが、フットワークの良さと地肩の強さは申し分ない。プレーに丁寧さが出てくれば、上位候補となることも十分に考えられるだろう。


 松川以外にも、今年は捕手に好素材が多く、高木翔斗(県岐阜商)や川上陸斗(福岡大大濠)が特にバランスの良さで目立った。

 攻守ともに圧倒的な力強さはまだないだけに大学で経験を積んでからという声もあるが、プロ志望であれば獲得を検討する球団は必ず出てくるだろう。


 全体的には投手の方が印象に残った大会だったが、春は各地で県大会、地区大会も行われる予定のため、ここから打者が状態を上げてくることも十分に考えられる。

 センバツ出場を逃したチームからも、新たなドラフト候補が浮上してくることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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