2021.09.12 16:00 | ||||
千葉ロッテマリーンズ | 9 | 終了 | 2 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
ZOZOマリン |
上位をともに争う楽天を相手に9連勝!
両リーグとも稀に見る接戦となっている2021年のプロ野球。そんななか、パ・リーグではロッテが抜けてきたという印象を受ける。
その要因のひとつには、このところの先発陣の安定があるだろう。東京五輪後の後半戦25試合のうち、先発投手に負けがついたゲームはわずか3試合。直近7試合に限れば、先発投手が6回以上を投げて自責点3以内に抑えるQS(クオリティ・スタート)が6試合、そのうち4試合は、先発投手が7回以上を投げて自責点2以内に抑えるHQS(ハイ・クオリティ・スタート)という安定ぶりである。
9月12日の楽天戦で先発した河村説人は5回で降板したものの、自責点は「1」としっかりとゲームをつくって勝ち投手となっている。その結果、チームは楽天相手に9連勝を飾った。
昨季のロッテはペナントレースで2位になりながらも、1位のソフトバンクとは14.0ゲームの大差をつけられた。その要因のひとつが、苦手チームをつくってしまったことだろう。その筆頭が楽天であり、昨季の対戦勝率はわずか「.348(8勝15敗1分)」。他には西武にも対戦勝率.375(9勝15敗0分)と苦手としていた。
しかし今季は、この9連勝もあって楽天戦の対戦勝率は「.700(14勝6敗1分)」と大きく勝ち越しており、完全に「お得意様」としている。しかも、楽天は下位球団ではなく上位争いをしているチームだ。その直接対決で7割という高い勝率を残していることは、相対的な部分でもかなり大きい。
一方、西武は相変わらず若干苦手としており、対戦勝率は「.400(6勝9敗4分)」である。しかし、それを補って余りあるほど日本ハムには大きく勝ち越し、その対戦勝率は8割を超える「.818(9勝2敗4分)」だ。つまり、今季のロッテは、楽天と日本ハムというお得意様を2チームつくっていることになる。
2チーム以上のお得意様をつくることが優勝条件のひとつ?
過去のシーズンを振り返ってみると、「対戦勝率6割超のお得意様を2チーム以上つくる」ことが優勝のひとつの条件となっているようだ。過去10シーズンにおいてパ・リーグを制した延べ10チームのうち、じつに9チームがこの条件にあてはまっている。
唯一の例外は2014年のソフトバンクであり、この年のソフトバンクが6割を超える対戦勝率(.609)を残したのは西武のみだった。ただ、5球団すべてに対戦勝率5割以上を残しており、突出したお得意様はなかったもののまんべんなく勝っていたということになる。
もちろんなかには、対戦勝率6割超のお得意様が2チーム以上あっても2位、あるいは3位に終わったケースもある。しかしそれは、上位と下位の差が大きかったシーズンのこと。上位から下位までが比較的僅差でひしめく今季にはあてはまらない。
2位のオリックスはパ・リーグでの貯金は「1」に止まるも、パ・リーグ勢が苦戦した交流戦で積み上げた7つの貯金がモノを言っている状況。3位の楽天も対戦勝率6割超の「お得意様」は1球団のみで、そこで得た貯金を対ロッテ戦の借金で吐き出してしまっている。
苦手・楽天を逆にお得意様にしたロッテが、悲願のレギュラーシーズン1位へと向かってラストスパートをかけるのか。残り30数試合、まだまだ目の離せない展開は続いてきそうだ。
▼ パ上位3チームのカード別対戦成績
<ロッテ>
対オ: 8勝 7敗 4分け
対楽:14勝 6敗 1分け
対ソ: 7勝 7敗 2分け
対西: 6勝 9敗 4分け
対日: 9勝 2敗 4分け
交流: 8勝 9敗 1分け
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合計:52勝40敗16分け(勝率.565)
<オリックス>
対ロ: 7勝 8敗 4分け
対楽: 6勝 6敗 4分け
対ソ: 9勝10敗 1分け
対西:12勝 7敗 2分け
対日:10勝 9敗 2分け
交流:12勝 5敗 1分け
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合計:52勝44敗15分け(勝率.542)
<楽 天>
対ロ: 6勝14敗 1分け
対オ: 6勝 6敗 4分け
対ソ: 7勝 7敗 3分け
対西:12勝 4敗 2分け
対日:10勝 9敗 2分け
交流: 9勝 8敗 1分け
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合計:50勝48敗13分け(勝率.510)
※数字は9月12日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)