上位確実の目玉は不在も…?
月が変わって10月。“運命の一日”までついに2週間を切った。
今年は10月11日(月)に開催されるプロ野球のドラフト会議。これまでもカテゴリー別にドラフト候補をまとめてきたが、今回は社会人球界の注目株を紹介したい。
昨日の『投手編』につづいて、ここでは野手をピックアップ。
投手には廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)という分かりやすい目玉がいた一方、野手は確実に1位・2位の上位で指名されるだろうという選手はいない印象。
その中で、総合的に見て上位候補となる可能性が高いのが、藤井健平(NTT西日本/外野手)と水野達稀(JR四国/遊撃手)の2人だ。
藤井は大阪桐蔭高時代から強肩強打の外野手として評判だった。東海大では故障もあって苦しんだものの、社会人1年目の昨年は都市対抗で大活躍を見せて若獅子賞にも輝いている。
今年の都市対抗予選では最初の3試合で1安打と調子を落としているのが気がかりだが、外野手としての総合力の高さは申し分ないだけに、外野が手薄な球団にとっては非常に魅力的な選手である。
一方の水野は、高校卒ながら1年目から都市対抗や日本選手権といった大舞台で活躍。今年の日本選手権の初戦では、ドラフト候補の八木彬(三菱重工West)からサヨナラホームランを放って強烈にアピールした。
打撃の確実性や守備の堅実さにはまだ課題が残るものの、プレーのスピードとパンチ力は大きな魅力。今年は高校生や大学生にもショートの有力候補が少ないだけに、これも水野にとっては追い風となりそうだ。
手薄な二遊間のドラフト候補
全体的に手薄な二遊間の候補として注目されているのが、中川智裕(セガサミー)と北川智也(セガサミー)、和田佳大(トヨタ自動車)の3人だ。
中川は190センチ近い長身の大型のショートストップで、攻守にスケールの大きさが光る。特に三遊間の深い位置からのスローイングは迫力十分。その強肩はプロでも上位のレベルに入る。
ただし、バッティングに関しては芯でとらえれば軽々とスタンドを越えるパワーはあるものの、調子の波が大きく、変化球への対応は大きな課題。都市対抗予選も最初の2試合は9打席で無安打で6三振と結果を残せていないのは痛いところだ。
北川は水野とよく似たタイプのセカンド。軽快なフットワークで守備範囲が広く、スナップスローも上手い。
また、167センチと小柄だが、バッティングは決して小さくなく、強く引っ張る打球が目立つ。中川とともに都市対抗予選の序盤戦では目立った活躍を見せることはできていないが、高校卒4年目と若さがあり、今後の成長が期待できる。
和田も北川と同じく167センチと小柄だが、こちらは抜群の守備力が光るショートだ。一歩目のスタートと球際の強さは社会人トップクラスで、正確なスローイングが光る。
バッティングは少し非力な感は否めないが、中京大時代にはリーグ記録となる29試合連続安打をマークするなど、ミート力の高さが持ち味。今年5月に行われたベーブルース杯では、4試合で12打数7安打、打率.583と見事な成績を残している。
さらに、9月中旬から行われている都市対抗予選でもしぶとい打撃でヒットを重ね、最後のアピールに成功した。内野のバックアップ要員としては非常に魅力的な人材だ。
このほか、昨年指名が見送られた選手では、福永裕基(日本新薬/二塁手・三塁手)や向山基生(NTT東日本/外野手)なども、貴重な右の強打者候補として面白い存在だ。
社会人の野手は上位指名でプロ入りするケースは少ないとはいえ、ルーキーの中野拓夢(三菱自動車岡崎→20年・阪神6位)や、今年大ブレイクした杉本裕太郎(JR西日本→15年・オリックス10位)などが下位指名からチームに欠かせない存在となっている。
今年の候補から、第2の中野や第2の杉本が誕生する可能性も十分に考えられるだろう。
☆記事提供:プロアマ野球研究所