2020年ドラフト指名選手の活躍を振り返る!
11月27日(土)、ヤクルトの20年ぶり6度目の日本一で幕を閉じたプロ野球の2021年シーズン。
12月15日(水)にはシーズン総決算の『NPB AWARDS 2021』も開催され、野球界は本格的なオフシーズンに入った。
新年を迎える前に、あらためて今季の“ルーキー”にスポットを当ててシーズンを振り返っていくこの企画。
前回のセ・リーグ編に続いて、パ・リーグも「即戦力」と「将来性」の観点から各球団の“プロ1年生”たちの働きぶりをチェックしてみたい。
なお、今回もA・B・Cの3段階評価とする。
オリックス・バファローズ
─☆即戦力=C
☆将来性=B
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1位:山下舜平大(投手/福岡大大濠高)
2位:元 謙太(外野手/中京高)
3位:来田涼斗(外野手/明石商高)
4位:中川 颯(投手/立大)
5位:中川拓真(捕手/豊橋中央高)
6位:阿部翔太(投手/日本生命)
育1位:川瀬堅斗(投手/大分商高)
育2位:辻垣高良(投手/学法福島高)
育3位:宇田川優希(投手/仙台大)
育4位:釣 寿生(捕手/京都国際高)
育5位:佐野如一(外野手/仙台大)
育6位:古長 拓(内野手/BC・福島)
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ドラフト6位で入団した29歳のオールドルーキー・阿部翔太に即戦力としての期待がかかったが、一軍ではわずか4試合の登板に終わった。
野手では3位の来田涼斗が高卒ながら一軍で15安打をマーク。2本塁打も放ったとはいえ、トータルでの即戦力度評価は迷いなくCとなるだろう。
一方の将来性では、来田が二軍で82安打を放ち、同じ高卒野手の元謙太も打率は1割台ながら111試合出場と経験を積んだのは大きなプラスである。
投手で来年以降のカギとなりそうなのが、1位の山下舜平大と4位の中川颯だ。山下は防御率こそ5点台ながら二軍で65回2/3を投げ、シーズン終盤には好投も見せている。
また、中川は41試合に登板して防御率1.13とリリーフで結果を残した。高卒野手の2人に加えて彼らが主戦となれるかが、チームの将来に与える影響は大きいだろう。
千葉ロッテマリーンズ
─☆即戦力=B
☆将来性=B
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1位:鈴木昭汰(投手/法大)
2位:中森俊介(投手/明石商高)
3位:小川龍成(内野手/国学院大)
4位:河村説人(投手/星槎道都大)
5位:西川僚祐(外野手/東海大相模高)
育1位:谷川唯人(捕手/立正大淞南高)
育2位:小沼健太(投手/BC・茨城)
育3位:山本大斗(外野手/開星高)
育4位:佐藤奨真(投手/専大)
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ドラフト1位の鈴木昭汰は1勝に終わったものの、1年目から12試合に先発。シーズン終盤は貴重な左の中継ぎとしてチームに貢献した。
さらに4位の河村説人もリリーフで結果を残すと、夏場以降は谷間の先発として4連勝を記録するなど、貴重な一軍の戦力となっている。
高卒で2位の中森俊介は、体作りとフォーム固めに終始して二軍でも登板なしに終わったが、予想以上に将来性を感じさせたのが育成で入団した佐藤奨真と小沼健太、山本大斗の3人だ。佐藤は二軍でチーム2位となる7勝、小沼は抑えとしてイースタンリーグトップの18セーブをマーク。
山本はフェニックスリーグで12球団トップとなる5本塁打を放って一躍注目を集めた。彼らが支配下登録されて一軍の戦力となれば、大きなプラスになることは間違いない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
─☆即戦力=B
☆将来性=C
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1位:早川隆久(投手/早大)
2位:高田孝一(投手/法大)
3位:藤井 聖(投手/ENEOS)
4位:内間拓馬(投手/亜大)
5位:入江大樹(内野手/仙台育英高)
6位:内 星龍(投手/履正社高)
育1位:石田 駿(投手/BC栃木)
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投手では、1位の早川隆久が開幕から勝ち星を重ねたものの、夏場以降は失速して規定投球回数には届かず、9勝7敗でシーズンを終えた。同じルーキーの伊藤大海(日本ハム)と比べると、少し物足りない成績に終わっている。
2位の高田孝一は二軍で6勝をマークしたが、一軍で3試合の登板に終わり、3位の藤井聖と4位の内間拓馬の2人も、一軍の戦力にはなっていない。上位4人を大学生・社会人投手で埋めた割には、一軍の底上げとはならなかったという印象だ。
さらに心配なのが“将来性”の部分だ。5位の入江大樹は故障で出遅れたこともあって二軍で10安打に終わり、6位の内星龍も2試合・2イニングの登板にとどまっている。早川の活躍である程度のプラスはあったものの、トータルで見ると厳しい1年目だったと言わざるを得ないだろう。
福岡ソフトバンクホークス
─☆即戦力=C
☆将来性=C
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1位:井上朋也(内野手/花咲徳栄高)
2位:笹川吉康(外野手/横浜商高)
3位:牧原巧汰(捕手/日大藤沢高)
4位:川原田純平(内野手/青森山田高)
5位:田上奏大(投手/履正社高)
育1位:佐藤宏樹(投手/慶大)
育2位:中道佑哉(投手/八戸学院大)
育3位:桑原秀侍(投手/神村学園高)
育4位:早真之介(外野手/京都国際高)
育5位:緒方理貢(内野手/駒大)
育6位:居谷匠真(捕手/明豊高)
育7位:大城真乃(投手/宜野座高)
育8位:中村亮太(投手/東農大北海道オホーツク)
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支配下で指名した5人全員が高校生であり、ルーキーの一軍出場はなかったため、即戦力の評価は自ずとCになる。これは予想できたことではあるが、心配なのは二軍・三軍でも存在感を示した選手がほとんどいなかった点だ。
1位の井上朋也がウエスタンリーグで30安打を放ち、三軍戦で8本塁打を記録したのがわずかに目立つ程度で、2位の笹川吉康と3位の牧原巧汰は故障もあって三軍でも打率1割台に低迷。支配下で唯一の投手である5位の田上奏大にいたっては、このオフに早くも育成契約に切り替わっている。
育成選手を大量に抱える物量作戦はある程度成果は出ているものの、ここ数年は上位指名でも苦労している選手は多いだけに、今年のルーキーについても不安要素の多い1年となったことは間違いない。
北海道日本ハムファイターズ
─☆即戦力=A
☆将来性=B
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1位:伊藤大海(投手/苫小牧駒大)
2位:五十幡亮汰(外野手/中大)
3位:古川裕大(捕手/上武大)
4位:細川凌平(内野手/智弁和歌山高)
5位:根本悠楓(投手/苫小牧中央高)
6位:今川優馬(外野手/JFE東日本)
育1位:松本遼大(投手/花巻東高)
育2位:斉藤伸治(投手/東京情報大)
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即戦力という意味では、1位の伊藤大海が期待通りの活躍を見せたことが何よりも大きい。10勝9敗と貯金は1だったものの、シーズン序盤は味方の援護に恵まれず、リリーフ陣が勝ちを消した試合も多かったため、その数字以上の貢献度だった。
また2位の五十幡亮汰も、故障に苦しみながら一軍で9盗塁をマークするなど、持ち味のスピードでチームに貢献している。
さらに「将来性」という意味で楽しみなのが高卒の根本悠楓(5位)と細川凌平(4位)の2人だ。
根本は夏場以降二軍で先発に定着し、勝敗こそ1勝1敗ながら防御率は1.82をマーク。高卒ルーキー離れした落ち着いた投球と制球力が光った。細川は打率が2割台前半だったが、シーズン終盤には一軍で初安打をマークしている。二軍で盤石の成績を残した6位の今川優馬とともに、来季の飛躍に期待したい。
埼玉西武ライオンズ
─☆即戦力=B
☆将来性=A
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1位:渡部健人(内野手/桐蔭横浜大)
2位:佐々木健(投手/NTT東日本)
3位:山村崇嘉(内野手/東海大相模高)
4位:若林楽人(外野手/駒大)
5位:大曲 錬(投手/福岡大)
6位:タイシンガーブランドン大河(内野手/東農大北海道オホーツク)
7位:仲三河優太(外野手/大阪桐蔭高)
育1位:赤上優人(投手/東北公益文科大)
育2位:長谷川信哉(外野手/敦賀気比高)
育3位:宮本ジョセフ拳(外野手/名古屋学院大)
育4位:豆田泰志(投手/浦和実高)
育5位:水上由伸(投手/四国学院大)
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入団前の期待以上に即戦力としての働きを見せたのが、4位の若林楽人と育成5位の水上由伸だ。若林は開幕直後から外野の一角に定着すると、持ち味の脚力を生かして44試合で20盗塁をマーク。5月30日の阪神戦で左ひざの大怪我を負って残りのシーズンを棒に振ったが、それがなければ盗塁王を獲得していた可能性は高い。
水上は5月に支配下登録されると、デビューから17試合連続無失点をマークするなど中継ぎの一角として活躍。最終的にも29試合に登板して4ホールド、防御率2.33と見事な成績を残した。
一方、将来が楽しみなのが、1位の渡部健人と6位のブランドン大河の大砲2人だ。二軍では揃って2ケタ本塁打を放ち、渡部はイースタンリーグで本塁打・打点の二冠を獲得。3位で高卒ルーキーの山村崇嘉も6本塁打を放つなど、力強い打撃を見せている。
投手では、準硬式出身で5位の大曲錬が二軍で経験を積んで着実にレベルアップしており、将来が楽しみな選手は非常に多い印象だ。
☆記事提供:プロアマ野球研究所