コラム 2022.01.25. 07:44

18年ぶりの「三冠王」を期待したい選手は?前回達成以降に16人の二冠王が誕生

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2004年9月、史上7人目の三冠王になり、笑顔を見せるダイエー・松中(C)KYODO NEWS IMAGES

あれから17年…昨季は岡本が二冠


 2021年シーズン、岡本和真(巨人)が本塁打王と打点王のタイトルを獲得し、2年連続での「二冠王」となった。しかし、「巨人の選手としては王貞治以来44年ぶりの2年連続二冠王」といった報道はあったものの、ファンのあいだではそれほど騒がれてはいない印象だ。

 それも当然かもしれない。2004年の松中信彦(ダイエー)以来、17年ものあいだ生まれていない三冠王に対して、二冠王は決して珍しいものではないからだ。ここで、2005年以降の17年のあいだで惜しくも三冠王を逃した二冠王たちの成績を振り返ってみる。


【2005年以降の二冠王成績】

<セ・リーグ>
▼ 2006年 タイロン・ウッズ(中日)
打率.310=7位 47本=1位 144打点=1位

▼ 2009年 トニ・ブランコ(中日)
打率.275=14位 39本=1位 110打点=1位 

▼ 2010年 アレックス・ラミレス(巨人)
打率.304=11位 49本=1位 129打点=1位 

▼ 2012年 阿部慎之助(巨人)
打率.340=1位 27本=2位 104打点=1位

▼ 2013年 トニ・ブランコ(DeNA)
打率.333=1位 41本=2位 136打点=1位

▼ 2016年 筒香嘉智(DeNA)
打率.322=3位 44本=1位 110打点=1位

▼ 2019年 ネフタリ・ソト(DeNA)
打率.269=20位 43本=1位 108打点=1位

▼ 2020年 岡本和真(巨人)
打率.275=15位 31本=1位 97打点=1位

▼ 2021年 岡本和真(巨人)
打率.265=22位 39本=1位 113打点=1位

<パ・リーグ>
▼ 2005年 松中信彦(ソフトバンク)
打率.315=3位 46本=1位 121打点=1位

▼ 2006年 小笠原道大(日本ハム)
打率.313=4位 32本=1位 100打点=1位

▼ 2007年 山﨑武司(楽天)
打率.261=27位 43本=1位 108打点=1位

▼ 2009年 中村剛也(西武)
打率.285=14位 48本=1位 122打点=1位

▼ 2011年 中村剛也(西武)
打率.269=13位 48本=1位 116打点=1位 

▼ 2015年 中村剛也(西武)
打率.278=12位 37本=1位 124打点=1位 

▼ 2017年 アルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)
打率.262=19位 35本=1位 103打点=1位


 17年間で二冠王となったのは、岡本も含め延べ16人にもなる。セ・リーグでは2019年のネフタリ・ソト(DeNA)から3年連続で二冠王が誕生しており、岡本の二冠王が騒がれないのも当然かもしれない。このなかで、あと一歩のところで三冠王を逃した選手となると、セ・リーグなら2012年の阿部慎之助(巨人)、2013年のトニ・ブランコ(DeNA)、2016年の筒香嘉智(DeNA)、パ・リーグでは2005年の松中、2006年の小笠原道大(日本ハム)だろう。

 延べ16人の二冠王のうち、14人が「本塁打王と打点王」による二冠王である。わずか2人の例外が阿部とブランコであり、2人は「首位打者と打点王」だ。しかも、2人の本塁打ランキングはともに2位。阿部の場合、その年の本塁打王は31本のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)。4本差で三冠王を逃してしまった。そして、ブランコの三冠王を阻んだのもバレンティンだ。2013年といえば、バレンティンが60本塁打のプロ野球記録を打ち立てたシーズン。ブランコは41本もの本塁打を放ちながら、三冠王にはなれなかった。

 また、2016年の筒香も、上記に名前が挙がった「本塁打王と打点王」による二冠王のなかでは最高の.322という成績を残しており、シーズンによっては首位打者となっていてもなんら不思議はない。その年は、坂本勇人(巨人)が当時のキャリアハイを更新する打率.344で首位打者に輝いている。

 筒香と同様に、3割以上の打率を残しながら首位打者を逃したのが2005年の松中、2006年の小笠原だ。打率.315の松中を上まわって首位打者となったのは、打率.322を残した和田一浩(西武)。松中は、わずかな差で2年連続三冠王という偉業を逃してしまった。そして、奇しくも翌年の小笠原の三冠王を阻んだのが松中だ。2006年にリーグ4位の打率.313をマークした小笠原をかわして首位打者となったのが、打率.324の松中であった。


打率を備えた長距離砲か、総合力に秀でた選手か?


 では、現在の球界で三冠王に輝く可能性を秘めているのは誰なのか。もちろん岡本もそのひとりだが、その課題は打率だ。岡本のような打線の中軸を担う長距離打者が、「本塁打王と打点王」による二冠王となることは珍しくない。だが、首位打者となると話は変わる。アベレージタイプの選手や足を使える選手など、ライバルとなる選手の幅は大きく広がる。そのなかで、本塁打を量産しながら打率でもトップとなることのハードルはやはり高い。

 そして、2021年シーズンにわずか1打点差で岡本と並んでの二冠王を逃した村上宗隆(ヤクルト)についても同様だろう。しかし、過去に二冠王の経験はないが、村上は2020年にリーグ5位の打率.307を残しながら、28本塁打、86打点といういずれもリーグ2位の数字を残している。

 また、近年は他球団の研究や対策が進んでいるのか打率が伸びない岡本も、一軍に定着した2018年は.309と3割を超える打率をマークしている。しかも、村上は現在21歳、岡本は25歳と2人とも若く、プロ野球選手として脂が乗ってくるのはこれからだ。今後の成長次第では三冠王となることも十分にあり得るだろう。

 そして、わかりやすい長距離打者である岡本や村上と違って、「総合力」という観点から三冠王に近いと思われるのが、タイラー・オースティン(DeNA)、吉田正尚(オリックス)、柳田悠岐(ソフトバンク)ではないか。

 2021年シーズンのオースティンは、新型コロナウイルス感染拡大によって来日が遅れたことやケガの影響もあり、規定打席にわずかに届かなかったものの、その打率は.303とリーグ6位相当のもの。また、本塁打を放つ驚異的なペースはファンなら誰もが知るところであり、107試合の出場ながら本塁打と打点はともにリーグ5位であった。

 2年連続で首位打者となった吉田は、他の長距離打者に比べて長打力がやや劣るものの、本塁打ランキングでも常にトップテンに入る力がある。柳田も毎シーズン当たり前のように打率3割を超え、首位打者のタイトルを2度獲得しており、豪快なフォームが生み出す長打力も球界トップクラスを誇る。

 “平成唯一の三冠王”誕生から時が経ち、改元を挟んだ和暦も令和4年。今季18年ぶりの三冠王は生まれるのか…。柳田、山田哲人(ヤクルト)が同時代に存在していることによりトリプルスリーが超レアな記録ではなくなったいま、そろそろ三冠王の誕生にも期待したい。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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