大阪桐蔭で春夏連覇に貢献
2月1日からプロ野球の春季キャンプがスタート。2022年も、いよいよ“球春”が到来する。
それに続くように、ここからはアマチュア野球の活動も活発になっていく。
今秋のドラフト会議に向けては、これまでも日本体育大・矢沢宏太や早稲田大の蛭間拓哉といった大学生の候補を取り上げてきたが、今回紹介するのも大学生の野手から。
アマチュア野球ファンに人気がある東京六大学で、今年の有力候補として名前が挙がっている二塁手がいる。立教大の山田健太だ。
大阪桐蔭高時代には、あの根尾昂(現・中日)や藤原恭大(現・ロッテ)らとともに甲子園で春夏連覇を成し遂げたメンバーの一人。甘いマスクでも注目を集めた男は、東京六大学の舞台でしっかりとその実力を磨いている。
▼ 山田健太(立教大)
・二塁手
・183センチ/85キロ
・右投右打
・大阪桐蔭
<リーグ戦通算成績>
59試 率.301(206-62) 本7 点26
245打席 二塁打5 三塁打1 四死球36 犠打3
出塁率.400 長打率.437 OPS.837
<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.37秒
二塁到達:8.33秒
現役最多の安打数を誇る右の強打者
大阪桐蔭時代は1年秋からレギュラーに定着し、2年の春にはセンバツの初戦で本塁打を放つなど、5割を超える打率をマーク。チームの優勝に大きく貢献した。
3年時はバッティングの調子を崩してしまい、下位を打つことも多かったが、それでも甲子園では勝負強さを発揮。春夏連覇の立役者の一人となっている。
立教大に進学後も、1年春からリーグ戦で2本塁打を放ち、その後は不動の中軸として君臨。これまでに2度のベストナイン(一塁:1回/二塁:1回)に輝いている。
昨年秋のリーグ戦終了時点での通算安打は62本。3月で卒業となる「旧4年生」を含めても現役最多の数字だ。立教大の選手としては、大城滉二(現・オリックス)以来となる通算100安打の期待もかかる。
ちなみに、コロナ禍で一昨年は春のリーグ戦が5試合しか行われなかった。それ以降も通常の勝ち点制ではなく、各カード2試合の打ち切り方式となっているため、山田の残している“数字の価値”というのはこれまで以上に高いものと言える。
高い対応力が光る
リーグ戦で通算7本の本塁打を放ち、59試合で53三振を喫していることからも、粗削りな右のパワーヒッターを想像するかもしれない。だが、バッティングスタイルは決して力任せではない。
ボールをしっかりと見極めて、センター中心に強く弾き返すスタイルが特長。通算打率.301・通算出塁率.400という数字も、対応力の高さをよく表している。直近でその実力を示したのが、昨年12月に松山で行われた大学日本代表候補合宿だ。
初日に行われたフリーバッティングでは、パワーを見せようとしてか力んだようなスイングになる選手が多い中で、上手く上半身の力を抜いて鋭く振り出す。打ち損じはほとんどなく、広角に長打性の当たりを連発していた。
紅白戦でも、板川佳矢(国際武道大/新4年)の外のチェンジアップに対してしっかりと体を残して合わせ、センターの頭を越える2点適時二塁打。
続く紅白戦の2戦目でも、福山優希(駒沢大/新4年)のスライダーに対応して、サードを強襲する鋭い当たりの内野安打を記録している。
また、山田は今回の候補選手の中で実績No.1ということもあり、どの投手もかなりマークしているように見えたが、そんな厳しい攻めにも崩されず、自分の打撃ができるところはさすがという他ない。
複数ポジションを守れるのも魅力的
バッティングに大きな注目が集まっているが、守備についても、これまでのリーグ戦で1個も失策を記録していない。
二塁手として飛び抜けた守備範囲の広さや、鮮やかなグラブさばきがあるわけではないが、大阪桐蔭時代からその堅実さには定評があり、一塁や三塁など複数のポジションを守れるのも大きな魅力である。
そして、新チームでは主将を任されることも決まった。これまでの実績を考えれば、それも当然と言えるだろう。
最終学年ということもあって、リーグ戦でも他の5チームからは徹底的にマークされることが予想されるが、昨年12月の代表候補合宿でのプレーを見ている限り、大きく崩されるような姿は想像しづらい。
立教大の野手がドラフト1位でのプロ入りとなれば、1987年の長嶋一茂氏(ヤクルト)以来となる。
その可能性も十分に秘めていることは間違いないだろう。
☆記事提供:プロアマ野球研究所