コラム 2022.04.12. 06:44

「最速151キロ右腕」や「慶応大トリオ」にスカウト陣が熱視線…東京六大学の注目ドラフト候補【投手編】

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立教大・荘司康誠 [写真提供=プロアマ野球研究所]

ドラフト戦線に急浮上!立教大・荘司康誠


 選抜高校野球が終わり、4月に入ると大学野球や社会人野球も本格的に公式戦が始まる。

 4月9日、神宮球場で幕を開けたのが東京六大学野球の春季リーグ戦。以前のコラムでも早稲田大・蛭間拓哉立教大・山田健太を取り上げているが、ほかにもプロ入りの可能性を秘めた選手は少なくない。




 今回は東京六大学野球のドラフト候補の中から、投手の有力選手について紹介したい。

 実績は乏しいものの、スケールの大きさからプロの注目をにわかに集めているのが、立教大の荘司康誠(新潟明訓高)だ。

 高校時代は2年春に控え投手として北信越大会に出場しているものの、甲子園の出場経験はなし。3年夏も1回戦で敗退するなど、全国的には“無名の存在”だった。



 立教大進学後も、故障などで2年までリーグ戦での登板がなかったが、昨年春の慶応大戦でリリーフとして登板すると最速151キロをマーク。秋は2戦目の先発を任されると、勝ち星はなかったものの、リーグ5位の防御率2.22を記録している。

 188センチの長身から投げ下ろすボールの角度が最大の魅力で、ストレートはコンスタントに145キロを超える。大型投手でありながら、器用さを持ち合わせており、縦のスライダーやフォークといった変化球も高いレベルにある。

 今春もオープン戦では好投を続けていた。ポテンシャルの高さに見合う結果がついてくれば、一気にドラフトの上位候補へと浮上することも考えられるだろう。


 その立教大でもう一人、評価を上げている投手がサウスポーの宮海土(国学院栃木高)だ。

 これまでリーグ戦通算31試合に登板。全てリリーフで、2年秋以降は9試合・8試合・8試合とフル回転の活躍。通算5勝をマークしている。


 174センチと上背はそれほどない一方で、体つきは高校時代と比べて一回り以上大きくなっている。ストレートもコンスタントに140キロ台中盤をマークするようになった。

 テイクバックが小さく、ボールの出所が見づらいフォームで、右打者にも左打者にも内角を厳しく攻めることができるコントロールが光る。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿でも好投を見せており、評価を上げている。リリーフタイプのサウスポーは需要が高いだけに、プロからの注目度も高いようだ。


慶応大学で注目のドラフト候補は…?


 ここ数年、毎年のように好投手を輩出している慶応大。今秋のドラフトでは、増居翔太(彦根東高)・生井惇己(慶応高)・橋本達弥(長田高)が候補となる。

 実績という点では、現役最多となるリーグ戦通算8勝をマークしている増居がNo.1だ。身長171センチ・体重68キロとかなり小柄だが、コントロールと投球術には高校時代から定評があり、大学でも層の厚い投手陣の中でエース格となっている。

 ストレートは140キロ前後と速さはないものの、ゆったりとしたモーションで球持ちが長く、その数字以上に打者は差し込まれることが多い。プロで勝負するにはもう少しボールの力が欲しいところだが、試合を作れるサウスポーとして貴重な存在である。


 一方、生井は同じサウスポーでも増居とは対照的で、ストレートで押すピッチングが持ち味だ。軸足にしっかりと体重を乗せてから全身を大きく使って豪快に腕を振り、躍動感が溢れるフォームから投げ込んで行く。ストレートの球速は140キロ台後半をマーク。打者の手元で鋭く変化するスライダーは高校時代からの大きな武器である。

 リーグ戦ではほとんどリリーフでの登板だったものの、昨年秋の明治神宮大会では準決勝の神奈川大戦で先発を任され、5回を投げて1失点、9奪三振と見事なピッチングを披露した。先発・リリーフどちらでの起用になるかは微妙なところだが、本格派サウスポーとして楽しみな存在である。


 そして、チームのクローザーとして抜群の安定感を誇るのが橋本だ。ここまでリーグ戦15試合に登板して勝ち星こそないものの、防御率は0.75を誇る。大学の先輩である福谷浩司(現・中日)を彷彿とさせる下半身の強さを感じるフォームで、145キロを超えるストレートは勢い十分だ。

 加えて、鋭く変化するフォークとカットボールも決め球として威力を発揮しており、奪三振率も高い。昨秋の明治神宮大会では体調不良からベンチを外れたが、先日行われた社会人との対抗戦でも1イニングを三者連続三振で締めており、順調な調整ぶりを見せた。リリーフが手薄な球団には非常に魅力的な投手と言えるだろう。


 現時点で“ドラフト上位確実”と言える投手は不在の印象だが、それでも能力の高い投手は決して少なくないだけに、春のリーグ戦で快投を見せて一気に浮上してくる選手が出てくることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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