重要な試合で躍動!
オリックスのドラフト4位ルーキー・渡部遼人は10日、本拠地で行われたソフトバンク戦に「2番・中堅」で先発出場。4回二死満塁でソフトバンク先発・板東湧梧からライトへの2点適時二塁打を放ち、これがプロ14打席目の初安打となった。
プロ初打点のオマケに加え、直後にはプロ初盗塁も決めてウリである快足もアピール。この日の勝利とチームの一時首位浮上に貢献した。
桐光学園高から慶応大を経て、昨秋のドラフト4位で指名を受けた22歳。東京六大学では通算20個の盗塁を決め、失敗はゼロ。成功率100%の男としても話題になった。
ドラフトで陣頭指揮をとっている牧田勝吾編成部副部長は当時「大学選手権では首位打者を獲りましたし、選球眼や出塁率、守備範囲の広さは1年目から通用すると思って指名させていただいた」と獲得の理由を語っている。
その時に話していた「優勝したチームのレギュラーさえ脅かす選手が獲れたと思います」との言葉通り、センターのレギュラーを張っていた福田周平と入れ替わる形で今季2度目の一軍昇格を果たすと、優勝争いにおける重要な試合で早速結果を出して見せた。
「勝ちに貢献プラス、自分の価値を高める」
「とにかく嬉しかったというのと、同期入団で最後だったので少し焦る部分もあった。やってきたことを出そうと思っていた中で1本出てくれたので、本当に自信になったなと思って出たガッツポーズです」
ヒーローインタビューでは緊張気味だった男は、ベンチ裏に戻って少し落ち着いたのか、笑みを浮かべながら初安打の場面を振り返った。
ファームのコーチ陣からは、「いつでも準備しておけよ」と言われていたという。
本人も「この時期に、優勝争いをしている中で呼んでいただけてありがたい。自分自身もすごくワクワクしながら、楽しい試合の中に出させてもらっているなというのはあるので、気持ちとしては勝ちに貢献したいなというのが一番強い」と語っており、優勝争いのシビれる環境での試合を楽しみながら、喜びを感じているようだ。
チームを率いる中嶋聡監督も「プロ初安打がこういう大事なところで、しかもタイムリーで出たのは大きいと思う。彼の野球人生の中で初めてですから。まず1本目というのは大事だと思う」と称える。
チームにとっても欲しいところで出た一本について、渡部は「こういう場面で結果を出すことで、選手としての価値も上げられると思う。勝ちに貢献する、プラス自分の価値を高めるというところをこの優勝争いの中でやっていきたいと思います」と頼もしく語った。
それでも、最後は「プロの球は強いし、甘い球は投げてこない。今回の安打で満足というより、まずはワンステップとして。振り抜けたことは良かったが、そのあと三振したりと課題はたくさんある」と気を引き締める。
ここで終わることなく、「打席の中で落ち着く」ことを心掛けて打った値千金の一打を越えていかなければならない。
それが“令和のスピードスター”になれるか否かの壁となる。
取材・文=どら増田