コラム 2023.05.25. 08:08

社会人野球で福留孝介以来の“超大物野手” ENEOS・度会隆輝は今秋ドラフトの目玉候補だ!

無断転載禁止
ENEOS・度会隆輝 [写真提供=プロアマ野球研究所]

今秋の超目玉候補


 早くも“豊作”と期待の声があがっている2023年のドラフト戦線。10月のドラフト会議に向けて、各選手のアピールに注目が集まる。

 野手の注目株は、高校生では佐々木麟太郎(花巻東/一塁手)と真鍋慧(広陵/一塁手)、大学生では廣瀬隆太(慶応大/三塁手)や上田希由翔(明治大・三塁手)といったところが熱い視線を浴びている。

 そんな中、彼ら以上に人気を集める可能性を秘めた選手が社会人球界にいる。それがENEOSの度会隆輝だ。


▼ 度会隆輝(ENEOS)
・21歳(※満年齢)
・外野手
・183センチ/83キロ
・右投左打
・横浜高

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.10秒
二塁到達:8.06秒
三塁到達:11.85秒


昨年の都市対抗ではタイトルを“総なめ”


 度会はヤクルトでプレーした博文氏(現・ヤクルトアカデミーヘッドコーチ)を父に持ち、兄の基輝も拓大紅陵高から中央学院大を経て、社会人野球のJPアセット証券でプレー。いわゆる野球一家で育った。

 打撃センスは中学時代から評判で、横浜高でも早くからレギュラーに定着。3年時にはプロ志望届を提出したものの、指名は見送られ、社会人のENEOSに進んだ。


 度会の評価が一気に上がったのは、昨年出場した都市対抗野球だ。

 5試合で4本のホームランを放つ大活躍で、チームの優勝に大きく貢献。高校卒2年目にして橋戸賞(MVP)、若獅子賞(新人賞)、打撃賞とタイトルを総なめにしたのだ。

 もともとバットコントロールには定評があったが、社会人に進んでからは長打力も明らかにアップしており、都市対抗野球の4発はいずれも打った瞬間に分かるものだった。


高校卒3年目という“希少価値”


 高校までは、正直なところ“打つ”以外のプレーはあまり目立たなかった。

 だが、社会人トップの名門であるチームで鍛えられたこともあってか、走塁への意識が見違えるほど高くなり、脚力自体も上がっているように見える。

 加えて、ライトから見せる返球は十分強肩と言えるレベルにあり、外野手としての総合力も高い。冒頭で名前を挙げた有力候補の高校生や大学生と比較しても、高いレベルの社会人野球でこれだけ結果を残している点は大きなアドバンテージであることは間違いないだろう。


 そして、度会の希少価値の高さは、高校卒3年目という若さにある。

 そもそも高校から社会人に進む野手自体が少なく、その中で早くからレギュラーを獲得できるケースとなるとほとんどない。

 その理由としては、投手のレベルが格段に上がり、バットが金属から木製になるという点が大きい。高校時代は強打者として知られていた選手も、社会人ではなかなか長打が出ない。これはよくある話である。

 現役のNPB選手を見ても、高校から社会人に進んでプロ入りし、レギュラーに定着した選手というと広島の西川龍馬(敦賀気比→王子→2015年5位)しかおらず、その西川も5位という指名順位から分かるように、プロ側に高い評価を得ていたわけではない。

 過去を振り返れば、福留孝介(PL学園→日本生命→1998年中日1位)がいるが、福留はもともと高校時代に7球団から1位指名を受けていた“超大物”で、社会人で大きく成長したというタイプではない。

 それ以外では、松中信彦(八代第一→新日鉄君津→1996年ダイエー2位)や小笠原道大(暁星国際→NTT関東→1996年日本ハム3位)らがいるが、当時の社会人野球は金属バットを使用していた。2002年に木製バットに変更されてからは、度会が高校卒社会人の野手で“最大の大物選手”といえるだろう。


 ドラフト対象年となる今年に入ってからも、既に公式戦で2本のホームランを放つなど、安定した成績を残している。

 7月の都市対抗で再び昨年のような活躍を見せることができれば、秋のドラフト会議で“超目玉”となる可能性が十分に考えられるだろう。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西