コラム 2023.07.21. 07:08

“来秋”以降に広がるたのしみ 『全日本大学選手権』でアピールを見せた3年以下の有望株

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仙台大・佐藤幻瑛 [写真提供=プロアマ野球研究所]

近い将来のドラフト戦線を盛り上げる注目選手


 今年は10月26日(木)に行われる『2023年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』。気が付けばあと5カ月ほどに迫った運命の日に向けて、前回のコラムでは6月に行われた『第72回全日本大学野球選手権』でアピールを見せた大学生のドラフト候補を取り上げた。

 青山学院大の18年ぶり5回目の優勝で幕を閉じた大学野球・上半期の大一番。MVPに輝いた常廣羽也斗ら今秋の指名が期待される注目選手がさすがというプレーを見せたが、輝きを放ったのは4年生だけではない。3年生以下の選手にも高いポテンシャルを秘めた選手は非常に多い印象だった。

 そこで今回は、6月の全日本大学大学選手権で存在感が光った“下級生”に注目。来秋以降のドラフト戦線を見据えるうえで覚えておきたい名前をピックアップしてみたい。


無名校出身右腕が躍動


 まず投手で強烈なインパクトを残したのが、仙台大の1年生・佐藤幻瑛だ。

 高校時代は青森県立柏木農でプレーをし、県内では少し名前の知られた存在だったものの、最高成績は県大会2回戦と実績らしい実績は残していない。

 しかし、この春のリーグ戦ではいきなり開幕投手を任されて3勝をマーク。今大会でも、初戦では桐蔭横浜大を相手に6回途中まで無失点の好投でチームの勝利に大きく貢献した。


 最速152キロのスピードはもちろん大きな魅力だが、それ以上に素晴らしいのがリリースの感覚だ。

 上半身の力みがなく、楽に腕を振って速いボールを投げることができており、スライダーやカットボール、スプリットなど変化球の質も高い。

 序盤にストレートを印象付けて、中盤は変化球主体に切り替えるなど、長いイニングを考えての組み立てができるのも魅力だ。

 あとはスタミナ面が強化されれば、さらに攻略が困難な投手になるだろう。3年後のドラフト会議で楽しみな存在になりそうだ。


来年のドラフトで注目される“4投手”


 一方、来年の有力候補になりそうな投手が、寺西成騎(日本体育大・3年)、佐藤柳之介(富士大・3年)、徳山一翔(環太平洋大・3年)、浅利太門(明治大・3年)の4人だ。

 寺西は星稜高時代から故障に苦しんでいたが、春のリーグ戦で鮮やかに復活。今大会でも東農大北海道オホーツクを相手に6回1失点の好投で勝利投手となった。バランスの良いフォームで、140キロ台後半のストレートをコーナーに投げ分ける投球が光る。変化球がレベルアップすれば、上位候補となる可能性も高い。

 佐藤も故障で投げられない時期が長かったが、今大会はロングリリーフと先発で2試合・11回を無失点と好投。高い位置から腕が振れ、角度のあるストレートと縦の変化球のコンビネーションが光る。

 徳山は昨年秋の明治神宮大会でも好投を見せた本格派左腕。今大会はリリーフのみの登板だったが、最速149キロをマークしたストレートは勢い十分だ。大会後の大学日本代表候補合宿はコンディション不良で辞退しただけに、秋までにしっかり調整してもらいたい。

 スケールの大きさでは、浅利がNo.1だ。リーグ戦でも実績は乏しく、今大会もわずか1回の登板に終わったが、ストレートの最速は153キロ、平均でも150キロを超えるスピードでスタンドをどよめかせた。まだ安定感は乏しいものの、制球力がついてくれば一気に来年の目玉となる可能性もあるだろう。


 それ以外の投手では、安徳駿(富士大・3年)、児玉悠紀(青山学院大・3年)、中島黛我(大阪商業大・3年)、松永大輝(白鴎大・2年)、久野悠斗(明治大・2年)、鈴木豪太(大阪商業大・2年)、藤原聡大(花園大・2年)、永谷魁人(日本文理大・2年)、松林幸紀(大阪商業大・1年)らも素材の良さが光った。


広陵出身の好打者が存在感


 野手では、明治大の大型遊撃手・宗山塁(3年)が早くも来年の目玉と見られているが、今大会でその宗山を上回る圧倒的なパフォーマンスを見せたのが、広陵時代のチームメイトである渡部聖弥(大阪商業大・3年/外野手)だ。

 大学入学直後から外野のレギュラーに定着すると、昨年秋にはリーグ新記録となる5本塁打をマーク。今大会でも初戦の星槎道都大戦でいきなり4安打を放つと、続く花園大戦でもライトへの本塁打を含む3安打と2試合連続で固め打ちを見せたのだ。

 敗れた富士大戦では単打1本に終わったものの、3試合で12打数8安打、長打4本という成績は見事という他ない。長打力と確実性を兼ね備えており、広角に強い打球を放ち、センターから見せる強肩と俊足も高レベルだ。順調にいけば、宗山と並ぶ野手の目玉候補となる可能性は高い。


 同じ外野手でもう1人、存在感を示したのが優勝した青山学院大の西川史礁(3年)だ。この春から4番に定着すると、リーグ戦では3本塁打を放つ活躍でMVPとベストナインにも輝いている。

 今大会でも準々決勝の中部学院大戦で本塁打を放つなど、4試合で15打数7安打・3打点と4番の役割を果たし、チームの優勝に大きな役割を果たした。体幹の強さを感じる豪快なスイングで、打球の速さは、渡部と比べても引けを取らない。

 さらにレフトから見せる強肩も持ち味で、来年以降はセンターやライトに回る可能性もありそうだ。貴重な右の強打者タイプだけに今後も高い注目を集めることになるだろう。


 この2人以外には、4試合で8安打を放ってリーグ戦に続く首位打者に輝いた飯森太慈(明治大・3年/外野手)、今秋のドラフト候補・中島大輔の前の3番で強打を連発した小田康一郎(青山学院大・2年/一塁手)、ともに強打の捕手として存在感を示した小島大河(明治大・2年)と渡部海(青山学院大・1年)など、決勝に進出した明治大と青山学院大はとくに下級生野手の活躍が目立った。

 今年の4年生は大豊作と言われているが、このように3年生以下にも非常に楽しみな選手は多い。秋のリーグ戦でも彼らのプレーにぜひ注目してもらいたい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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