コラム 2023.10.19. 18:26

阿部新内閣で注目される桑田二軍監督の存在【曲がり角に立つ名門球団】

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来季、巨人の二軍監督に就任した桑田真澄氏 (C) Kyodo News
 阿部慎之助監督の下、来季の巨人新首脳陣が16日に発表された。

 この時点で一軍打撃コーチは調整中とされたが、主だった顔ぶれを見ると二岡智宏二軍監督が一軍のヘッド兼打撃コーチに、同投手コーチには杉内俊哉三軍投手チーフと、西武から内海哲也二軍コーチが新加入。代わって桑田真澄ファーム総監督が二軍監督に就任した。

 原前監督時代と比べると首脳陣も若返りを図り、これまでファームの育成にあたっていた人材を登用するなど「育成と強化」に躍起となるチーム事情を反映した新内閣と言える。

 中でも注目されるのが桑田二軍監督のユニホーム組復帰だ。

 昨年、原監督直々の要請で古巣に戻ったが、シーズン中に投手起用法などを巡って衝突。今季はファーム総監督と言う新設ポジションを任されたが、「左遷」のイメージは拭えなかった。

 現役時代から野球理論を語り、メジャー挑戦を経て引退後は早大や東大の大学院でスポーツ選手の動体理論を学ぶなど新時代のリーダーを目指して来た。

「投手の肩は消耗品」。「三連投以上は御法度」。今の野球界では当たり前になっている重要性を唱える一方で、「中6日の休養をもらっている先発投手は100球以上投げるのは当然」と完投能力も求める。

 投手コーチとしては至って正論でも、1試合1試合にしのぎを削る指揮官には違う局面も要求もある。今度は二軍監督として理想と現実を追い求めることになる。

 

投手陣の再建という明確な課題


 今季の巨人の戦いを振り返ると「打高投低」は一目瞭然である。

 チーム打率(.252)や同本塁打(164本)はリーグトップに対して、投手陣は低調な数字が並ぶ。チーム防御率(3.39)と与四死球(465)はリーグ5位。さらに奪三振(975)と救援防御率(3.81)はリーグワーストだから来季に向けて最重要強化ポイントは明白だ。

 育成と供給と調整。ファームには三つの大きな使命があると桑田監督は言う。未熟な若手を育てる育成、さらに彼らを一軍戦力に仕立て上げる供給があり、一軍から降りてきた選手の調整だ。

 育成の部分では先発陣で山﨑伊織が二ケタ勝利を挙げ、救援陣でも2年目の菊地大稀やルーキーの船迫大雅らが一軍戦力として台頭してきた。しかし、全体のスタッフを考えた時、まだ横川凱、井上温大らの若手有望株もいる。調整ならある程度の実績を残して来た平内龍太、畠世周らの復活も期待したい。

 失敗の許されない来季に向けて、早くもストーブ情報が駆け巡る。

 投手陣の再建に躍起となる巨人では、補強ポイントに合致する楽天・松井裕樹投手(FA取得)や契約満了となるDeNAのエドウィン・エスコバー投手らの獲得調査を進めていると言われる。もちろん、超大物助っ人のトレバー・バウアー(DeNA)の流失、動向にも注視しているはずだ。

 新生・巨人に向けて桑田二軍監督は早速、新たな育成プランも明らかにする。

 日頃から、球界の古き習慣に否定的な新指揮官は「量より質」の指導方針を掲げ、来春のキャンプからグラウンドでの練習時間を従来よりも短縮して、空いた時間をウェートトレなどにあてる“桑田方式”を取り入れたいとした。

 変革の時期にある名門球団にあって、理に適った主張である。しかし、一点だけ不安を感じるのはこの時期の発言と言うことだ。

 新首脳陣が一堂に会したスタッフミーティングは毎年、1月上旬に開かれる。ここで、阿部監督の年度方針が示され、自主トレやキャンプに生かされていく。阿部二軍監督時代は厳しさを前面に出した指導法で「昭和の野球人」と揶揄されたこともある。そんな経緯もあってか、新指揮官は「私も変わる」と選手の前で誓った。もちろん、桑田監督も「阿部さんの方針をよく理解しながらやっていきたい」と語っている。それでも一、二軍監督の意見のすり合わせは最重要課題。ましてや二軍監督が先に指針を出すのはフライングの感は否めない。

 原前監督の後任候補として阿部監督と共に名前が挙がったこともある。かつてのエースにして、球界屈指の理論派。1年間の遠回りを経て、今度こそ組織の中でどう力量を発揮できるか? そこに巨人の命運も託されている。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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