コラム 2023.10.25. 06:29

「ドラフト1位」有力候補が多数…ドラフト研究家・西尾典文が“大豊作”の大学生候補を格付け!

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競合の可能性も…大学生投手の注目株4人 [写真提供=プロアマ野球研究所]

今年は大学生の投手に逸材が揃う


 10月26日に迫っている『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』。今年は4年ぶりに現地の観客席が復活するとあって、どんなドラマが生まれるのか今から楽しみだ。

 今秋のドラフト戦線を振り返ると、高校生の目玉と見られていた佐々木麟太郎(花巻東)がプロ志望届を提出せず、米国大学への進学を表明したこともあって、有望株がそろう大学生が中心となる見方が強い。

 どの球団もギリギリまで視察を続けている中、最終的にはどんな決断を下していくのか。今回はスカイAのドラフト中継で解説を務める筆者=西尾典文が、取材現場で得た情報やここまでの報道を基に、注目を集める大学生のドラフト候補を格付けしてみたい。


最初の入札で1位指名が有力


常廣羽也斗(青山学院大/投手)
細野晴希(東洋大/投手)
武内夏暉(国学院大/投手)
西舘勇陽(中央大/投手)


 “大豊作”と言われる大学生投手において、特に注目を集めているのがこの4人。その中で常廣羽也斗に関しては、すでに広島が10月13日の時点で1位指名を公言している。

 糸を引くような150キロを超えるストレートに加えて、ブレーキや落差が抜群のフォークなど多彩な変化球を操り、リーグ戦春夏連覇に大きく貢献した右腕。ここ一番の勝負所でしっかり結果を残せるという意味でも、他の3人をわずかにリードしているように見える。フィジカル面が強化されれば、さらにスケールアップする可能性が高いだろう。


 一方、ボールの威力という点で常廣に負けず劣らずの資質を示しているのが細野晴希だ。

 今年8月に行われた侍ジャパン・U-18代表との壮行試合では最速158キロをマーク。好調時のストレートは打者が前に飛ばすことさえ難しいような勢いがある。制球面に少し不安は残るものの、変化球のレベルが高く、スタミナもある。


 対して“安定感”では武内夏暉が一歩リードか。

 コーナーにしっかり投げ分けることができ、縦のスライダーやツーシームもしっかり低めに集める。4人の中でも、1年目から一軍の戦力となる可能性は最も高いだろう。

 ドラフトが間近に迫った24日には、西武が1位指名を公表。渡辺久信GMも「数多くいる有力候補の中で、今年は武内くんが最も実力があると評価しました」とその期待の大きさを口にしている。


 そして総合力では、西舘勇陽も負けてはいない。

 下級生の頃はスピードがあっても打ち込まれるシーンが目立ったが、この秋は変化球の精度が明らかに上がり、安定感が増してきた。先発とリリーフをこなすタフさもプラス材料だ。


単独1位 or 外れ1位~2位指名が有力


下村海翔(青山学院大/投手)
西舘昂汰(専修大/投手)
草加勝(亜細亜大/投手)
上田大河(大阪商業大/投手)
古謝樹(桐蔭横浜大/投手)
岩井俊介(名城大/投手)
進藤勇也(上武大/捕手)
上田希由翔(明治大/内野手)
廣瀬隆太(慶応大/内野手)


 最初に挙げた4人を避けて“一本釣り”を狙う場合や、抽選を外した後の再入札で人気を集めそうなのが下村海翔と西舘昂汰だ。

 下村は174センチと上背はないものの、ストレートはコンスタントに150キロを超え、コントロールも抜群。即戦力としての期待感は武内と双璧だといえる。

 逆に西舘はやや調子の波があるものの、長いリーチを生かした豪快な腕の振りが光り、スケールの大きさが魅力。どちらも1位の12人に入る可能性は高そうだ。

 このほかの投手では、いずれも大学日本代表に選ばれた草加勝や上田大河、古謝樹に岩井俊介といったところが有力候補として続く存在と言えるだろう。


 一方の野手はどうか。早く名前が呼ばれそうなのが進藤勇也と上田希由翔、廣瀬隆太の3人だ。

 進藤は近年の大学生捕手と比較しても、明らかにNo.1と言える大型キャッチャーである。守備面は全てが高レベルで、打撃には力強さと柔らかさがある。近い将来の正捕手交代を考えている球団は、高い順位で獲得したいところだ。

 残る2名は東京六大学を代表する強打者。上田は対応力、廣瀬は長打力がそれぞれの持ち味だ。特に上田は厳しいマークの中でも結果を残し続けており、脚力も兼ね備えているだけに、いきなり1位で狙う球団が出てくる可能性もありそうだ。


3位~4位での指名が有力


滝田一希(星槎道都大/投手)
後藤凌寿(東北福祉大/投手)
冨士隼斗(平成国際大/投手)
村田賢一(明治大/投手)
蒔田稔(明治大/投手)
石原勇輝(明治大/投手)
松本凌人(名城大/投手)
高太一(大阪商業大/投手)
木村仁(九州共立大/投手)
萩原義輝(流通経済大/捕手)
辻本倫太郎(仙台大/内野手)
松浦佑星(日本体育大/内野手)
宮崎一樹(山梨学院大/外野手)
中島大輔(青山学院大/外野手)


 3位以降になると、くじ運やウエーバー順によるめぐり合わせや、決められた順位以下では社会人に進む意向、いわゆる“順位縛り”の影響を受けるため難しい点もあるが、この中で評価が高そうな投手は、滝田一希と松本凌人、高太一の3人だ。

 滝田は140キロ台後半のストレートを続けられる出力の高さがあり、加えてブレーキ抜群のチェンジアップという大きな武器もある。地元の日本ハム以外にも高く評価している球団は多いだろう。

 下級生からの実績で言えば、この中では松本がトップだ。2年から大学選手権で活躍し、昨年は大学日本代表にも選ばれている。この秋は調子を落としており、少し変則的なフォームに賛否両論がありそうだが、サイドから投げ込むボールの勢いは魅力だ。

 高は調子に波があるものの、好調時の150キロに迫るストレートの勢いは1位候補の投手と比べて遜色ない。大型左腕は制球力に難があるケースが多いが、高はそこが安定している点も魅力だ。


 野手では、打てる捕手の萩原義輝、ショートでパンチ力もある辻本倫太郎、大型外野手で運動能力の高さが光る宮崎一樹が有力。

 キャッチャー、ショート、センターというセンターラインで能力の高い彼らに関しては、高い順位でも確保しようという球団が出てくる可能性もありそうだ。

 ここで紹介した選手が、実際にはどんな順位で指名を受けるのか。ドラフト会議当日を楽しみにしていただきたい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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