コラム 2023.12.08. 06:14

2024年のドラフト戦線に浮上! 明治神宮大会で躍動した大学生“有望株”を一挙掲載

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富士大・麦谷祐介【写真提供・プロアマ野球研究所】

上位指名が狙えそうな“二人の投手”


 11月15日から6日間にわたって行われた明治神宮野球大会。2024年のドラフト戦線という意味では最初の大きな大会であり、NPB球団のスカウト陣が連日視察に訪れていたが、そこでアピールに成功した選手を紹介したい。前回の高校生編に続き、今回は大学生編だ。

 投手で最も強烈なインパクトを残したのが、環太平洋大の徳山一翔(鳴門渦潮)だ。昨年の今大会で国際武道大を相手に7回をノーヒットに抑える見事な全国デビューを果たし、その後、大学日本代表候補合宿に召集されたサウスポーである。

 今年はエースとして2年連続で出場。初戦の相手は全国大会でコンスタントに上位に進出している東農大北海道オホーツクだったが、7回を1失点、11奪三振と圧巻の投球でチームを勝利に導いた。

 身長は177センチで大柄ではないものの、昨年と比べて明らかに体格が良くなった。それに比例するように、ボールの勢いがアップしたように見える。ストレートは、コンスタントに150キロを超え、NPBスカウトのスピードガンでは、最速153キロをマークした。

 東農大北海道オホーツク戦で奪った11個の三振のうち10個の決め球がストレートで、その全てが空振りだったところに、徳山のストレートの凄さが表れている。変化球は、立ち上がりに少し精度が低かったが、次第に低めに決まるようになった。球威は間違いなく、全国の大学生投手の中で1、2を争うレベルだ。プロ球団からの需要が高いサウスポーであり、上位候補に浮上する可能性が高いだろう。

 投手でもう1人。日本体育大の寺西成騎(星稜)が、上位指名が狙えそうな投球を見せた。準々決勝の天理大戦では1点をリードした9回ツーアウトから登板。150キロ以上のストレートを4球続けて追い込み、最後は141キロのスプリットで空振り三振を奪い、試合を締めた。

 続く、準決勝の慶応大戦では、少し本来の球威やスプリットのブレーキがなく、6回にソフトバンク3位の広瀬隆太(慶応)に逆転スリーランを浴びて、負け投手になった。だが、それでも5回までは相手打線をわずか1安打に抑え込んでいる。高い位置からスムーズに腕が振れ、指にかかった時のストレートの角度と勢いは申し分ない。高校時代から長く故障に苦しんできたが、ポテンシャルの高さは大きな魅力。最終学年にはさらにスケールアップした投球を見せてくれそうだ。


阪神・伊藤将司の活躍が“追い風”


 一方、富士大の佐藤柳之介(東陵)は、徳山と寺西を上回る投球を見せてくれた。関東五連盟第一代表で全国屈指の強豪である上武大を相手に、被安打3、8奪三振で完封勝利を飾ったのだ。

 しかも、ヒット浴びたのは1回と9回だけで、2回からは7イニング連続ノーヒットと付け入る隙を与えなかった。ストレートの最速は145キロとそれほど目立つ数字ではなかったが、テイクバックで肘をたたみ、右肩が開くことなく、いきなり腕が出てくるので、打者はタイミングが取りづらい。

 真上から腕が振れてボールの角度もあり、100キロ台の大きいカーブで緩急をつけて目線を変えることもできる。フォームに慣れられた時への対応には不安が残るが、同じタイプの伊藤将司(阪神)が一軍で活躍していることも、佐藤のプロ入りに向けて“追い風”となるだろう。

 その他の投手は150キロ台のストレートで青山学院大打線を苦しめた富士大の安徳駿(久留米商)をはじめ、決勝戦で5回まで無失点としっかり試合を作った青山学院大の児玉悠紀(日大三)が目立った。

さらに、大学選手権から大きく成長した姿を見せた中部学院大の宮島拓斗(興国)、短いイニングの登板ながら140キロ台後半のスピードをマークした大阪商業大の片山維(帝京五)と中島黛我(大商大境)らも、来年のドラフト候補に浮上しそうだ。


野手で注目を集めた選手は…!?


 野手はどうか。富士大の麦谷祐介(大崎中央)と青山学院大の西川史礁(龍谷大平安)という2人の外野手が、強烈にアピールした。

 麦谷は初戦の上武大戦でレフトフェンスを直撃するツーベースを放つと、続く青山学院大戦でも、広島1位の常広羽也斗(大分舞鶴)からライト前タイムリーとソロホームランを放つ活躍を見せた。ちなみに、今年6月の大学選手権では、阪神1位の下村海翔(九州国際大付)からホームランを放っており、ドラフト1位の投手2人を攻略したことになる。

 少し重心を低くした構えで無駄な動きがなく、しっかりボールを呼び込んで広角に鋭い打球を放つ。抜群の脚力と肩の強さを備えており、外野手としての総合力が高い。

 西川は、初戦の日本文理大戦で、レフトスタンド中段に叩き込むツーランを放ち、長打力を見せつけた。これは、麦谷と同様に大学選手権に続く全国大会のホームランとなる。タイミングのとり方が実にゆったりしている。それでいながら、鋭く体を回転させて豪快に振り抜くスタイルが特長だ。

 チーム事情からレフトを守っているが、肩の強さと脚力を持ち、高校時代はショートだった。この点もプロ入りを目指すうえで、プラス材料だろう。このまま順調にいけば、上位候補に加わる可能性は高いと思われる。

 このほか、強肩が光った富士大の坂本達也(捕手・博多工)、富士大戦で決勝タイムリーを放った青山学院大の佐々木泰(三塁手・県岐阜商)が躍動した。

 それに加えて、再三の好守備を見せ、チームの優勝に貢献した慶応大の水鳥遥貴(遊撃手・慶応)、鋭いスイングと強肩でアピールした大阪商業大の渡部聖弥(外野手・広陵)、前出の徳山から3安打を放った東農大北海道オホーツクの江川輝琉亜(外野手・熊本工)らも楽しみな存在だ。

 今年12月には大学日本代表候補合宿が行われる予定で、今回紹介した選手も多くが参加する。来年の大学生候補は、今大会の出場を逃した明治大の宗山塁(遊撃手・広陵)と関西大の金丸夢斗(投手・神港橘)が中心と見られているが、彼らに迫る選手がどんどん出てくることを期待したい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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