コラム 2025.01.28. 06:30

連覇の確率はわずか10%強!? 阿部慎之助・小久保裕紀両監督に立ちはだかる「2年目のジンクス」

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巨人・阿部監督/ソフトバンク・小久保監督 (C)Kyodo News
 キャンプインが数日後に迫ったプロ野球。12球団のうち5球団で監督交代が発生し、新指揮官の動向にも注目が集まる。

 一方、そんな新指揮官を迎え撃つ立場なのが連覇を目指す巨人の阿部慎之助監督とソフトバンクの小久保裕紀監督だ。ともに就任1年目の昨季にチームを復活Vに導いた。しかし、今季は2年目のジンクスが両監督に立ちはだかるかもしれない。

 2年目のジンクスといえば、通常は新人王に輝くほど活躍した若手選手が翌年に不振に陥るケースを指すことが多い。1年目を超える活躍を見せようと肩に力が入りすぎるケースもあれば、1年目のオフに思った調整ができなかったケースや、単に1年目が出来過ぎただけで2年目が真の実力だったという選手もこれまでいただろう。いずれにしてもいきなり一軍で圧倒的な成績を残した若手が2年目も同等かそれ以上の成績を残すことは簡単なことではない。

 ただ、今回は選手ではなく、監督に関する話だ。もちろん就任1年目にチームを優勝に導くということはそれなりの手腕の持ち主とみていいだろう。ただ、2年目はその手腕に対する期待値も上がり、ライバルからもマークされる存在となってしまう。監督にも選手と同じように2年目のジンクスがあってもおかしくはない。

 ここからが本題になるが、昨季以前に就任1年目でチームを優勝に導いた新人監督は17人いた(2リーグ制になった1950年以降)。つまり、阿部監督と小久保監督は18~19例目ということになる。

 過去の17人の中で2年目もリーグ優勝を果たし連覇を成し遂げたのは意外と少なく、2人だけ。1960年に大毎を優勝に導いた西本幸雄監督は1年で解任されており、実質16人中2人しか連覇を果たしていない。つまり、2年目のV確率はたった12.5%ということになる。

 たとえば、1965年から73年までV9に導いた巨人の名将・川上哲治監督でさえ、2年目の62年は4位に順位を落としていた。

▼ 「就任1年目」に優勝した監督と翌年順位(2リーグ制となった1950年以降)
1950年:湯浅禎夫(毎日)→3位
1960年:西本幸雄(大毎)→解任
1961年:川上哲治(巨人)→4位
1975年:古葉竹織(広島)→3位
1981年:藤田元司(巨人)→2位
1986年:阿南準郎(広島)→3位
1986年:森 祗晶(西武)→優勝
1998年:権藤 博(横浜)→3位
2002年:原 辰徳(巨人)→3位
2002年:伊原春樹(西武)→2位
2004年:落合博満(中日)→2位
2004年:伊東 勤(西武)→3位
2008年:渡辺久信(西武)→4位
2012年:栗山英樹(日本ハム)→6位
2015年:真中 満(ヤクルト)→5位
2015年:工藤公康(ソフトバンク)→2位
2021年:中嶋 聡(オリックス)→優勝
2024年:小久保裕紀(ソフトバンク)→?
2024年:阿部慎之助(巨人)→?
※75年広島の古葉竹織監督はシーズン途中に就任し優勝。

 気になる連覇を遂げた2人というのは、1986年から3連覇した西武の森祗晶監督と、2021年から同じく3連覇したオリックスの中嶋聡監督。どちらも捕手出身という共通点があった。同じく捕手出身の阿部監督がチームを連覇に導けば史上3人目。小久保監督なら捕手出身以外の監督として史上初の就任から2連覇達成となる。

 昨季はリーグ優勝を果たすも、ポストシーズンで悔しい思いを味わった両監督だけに今季にかける思いもひとしおだろう。約8か月後に胴上げで再び宙を舞うことになるのか。2年目監督のジンクス打破に注目だ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

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