【告知】ヤキュイクキャンプ2019Winter開催決定
詳細はこちら→https://baseballking.jp/ns/204070
子どもたちの「考える力」を伸ばし、野球の技術だけではなく、今後の人生に役立つ「ライフスキル」を身につける『ヤキュイクキャンプ2019 Summer』。ヤキュイクキャンプならではの取り組みを、ライフスキルの項目に沿って計5回のシリーズで紹介していきます。第5回目のテーマは「コミュニケーション」です。
<ヤキュイクキャンプで高められる主なライフスキル>
1.考える力
2.リーダーシップ
3.感謝の心
4.チャレンジ
5.コミュニケーション
これからの社会に求められるコミュニケーション能力
野球のような団体競技では、練習や試合で「自分がやりたいことだけをやる」といった周囲からワガママと捉えられてしまう態度や行動をする選手は、チームメイトから尊敬の念を持たれることはありません。また、そういった態度を取り続けてしまうといつしかグラウンドだけではなく、私生活においても他者を思いやる気持ちに欠けた人間へと成長していってしまう恐れがあります。
外国から日本へ働きや学びにくる人が増え、グローバル化が急速に進んでいる近年。今よりも一層多様化する社会を生きることになる子どもたちの教育現場でも、2020年から大学入試制度が変わり「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が求められるようになります。未来の社会に対応できるようになるためにも、他者と協力して取り組むために必要な「コミュニケーション」というライフスキルを子どものうちに磨いておく必要があるといえるでしょう。
距離感をグッと縮める「ハイタッチ」
ヤキュイクキャンプには全国から子どもたちが集まります。友だちや兄弟と一緒に参加する子は少数で、参加者の大半は知り合いが誰一人いない中でのキャンプになります。当然のことかもしれませんが、初日に行われた自己紹介での声は小さく、どこか自信がないように見えます。
そこで、2泊3日の共同生活を送っていく仲間やコーチとある約束事を決めます。キャンプ期間中は、事あるごとに「ハイタッチ」をベースにコミュニケーションを取り、楽しい雰囲気で過ごすといったルールです。コーチたちにも「おはようございます!」「ありがとうございます!」と深々と頭を下げるといった少年野球で尊重される礼儀はひとまず置いておいて、年齢が離れていても仲の良い友達のような関係性を築きキャンプを過ごすといったルールを設けるのです。
最初は恥ずかしがっていた子どもたちもハイタッチを続けることで、次第に距離感は縮まっていきます。相手の目をしっかり見てハイタッチすることで、自然と名前や性格を把握し会話ができるようになっていくのです。「楽しかった!」と評判だった試合形式の『ベースボール5』でも、得点を決めた時はチームメイト、ゲームセットの時は相手チームやコーチとハイタッチすることでコミュニケーションの機会を増やす取り組みが随所で行われていました。
キャッチボールで人を思いやる気持ちを育む
キャンプ初日のキャッチボールで子どもたちを観察すると、初めて会った仲間に「自分の投げたいボールを思い切り投げる」そういったシーンが非常に目立ちました。そこで、宇野誠一コーチがみんなを集め「キャッチボールもコミュニケーションの場です。ボールを受けてくれる仲間としっかりコミュニケーションは取れていますか?」と子どもたちに問いかけます。
思い切りボールを投げることは爽快感が伴い、気持ちが良いことかもしれません。しかし、今日会ったばかりの新しい仲間に対しボールを思い切り投げても、受ける子はビックリしてしまい、現にボールを後ろに逸らしてしまう光景を多く見かけました。投げた本人だけが満足する自分本位の行動をするのではなく、受ける相手のことを考えたキャッチボールというのが理想です。
プロ野球選手でもキャッチボールの時間を一番大切にしていると語る選手が多いように、キャッチボールは身体のウォームアップという役割だけではなく、チームスポーツにおいて最も大事なコミュニケーションの場でもあるということを子どもたちは徐々に理解していきました。
声を出すことの本当の意味を理解する
少年野球の現場で「声を出せ!」と指導者に言われ、大人に言わされた「オーイ!」といったテンションの低い声を耳にしたことはありませんか?果たして、そのような自分の意思がない声に意味はあるのでしょうか。
あるプロ野球選手の試合中の「声」に注目してみると、球場の大声援の中でもしっかりとグラウンドに響き渡る声量で、マウンドに立つ投手や野手を鼓舞する声をかけ続けていました。元気な声を出し、チームの雰囲気も良くする姿を観て、チームメイトはより試合に集中できているようにも感じます。子どもたちにそのようなプロ野球選手の姿を伝えると、早速「声」にも変化が表れました。
試合形式の練習では「ナイスボール!」「ナイスプレー!」と仲間同士で鼓舞し合い、ミスをしても「オーケー!次頑張ろうぜ!」「落ち着いてプレーしよう!」と相手を気遣う「声」をかけられるようになったのです。主体的な声かけでチームメイトと良い関係を築くことができ、子どもたちは野球を通してコミュニケーション能力を育んでいきました。
このように様々な種類のコミュニケーションを取り続けたことで、初日の自己紹介の雰囲気とは打って変わって良好な関係を築くことができた子どもたち。お昼休みの時間でも、自分たちでルールを作って楽しく野球をする姿が見られるようになりました。また、コーチたちとは年の離れた友達のような関係性になり、野球道具のメンテナンス方法について積極的に質問する子もいました。
2泊3日の短いスケジュールで技術を飛躍的に伸ばすことは不可能に近いことですが、コミュニケーションのようなライフスキルは、短期間でもその大切さに気づき、伸ばすことは十分に可能です。はたしてヤキュイクキャンプを経験した子どもたちが日常に戻り、どのような生活を送るのか。今から彼らの成長がとても楽しみなヤキュイクキャンプとなりました。
(取材・写真:細川良介)
参加者から好評だったヤキュイクキャンプ2回目の開催が決定しました!
『ヤキュイクキャンプ2019Winter』の詳細はコチラ。
ヤキュイクキャンプとは
侍ジャパンのアンダー世代でコーチ経験のある高橋雄太さんや、ご子息2人を侍ジャパンU-12に育てた宇野誠一さんなどのコーチ陣が、ライフスキル研究の第一人者である慶應義塾大学の東海林裕子教授による研修を受け、野球とライフスキルが融合されたカリキュラムを作成。「考える力」「リーダーシップ」「感謝の心」「チャレンジ」「コミュニケーション」を育むための小学校中~高学年を対象としたキャンプです。