7年連続40登板以上
マリーンズのブルペン陣を長年支えているのが松永昂大だ。リリーフ陣でいえば、国内FA権を行使せず残留を決めた益田直也とともに欠かせない存在といえる。
イニングの頭から投げるときもあれば、イニングの途中、左のワンポイントでマウンドに上がることもある。どんな場面、状況でもきっちりと仕事をこなすのが松永の特徴だ。今季も46試合に登板し、プロ1年目の13年から続く連続40試合以上の登板を7年に伸ばした。
ラグーン設置も
開幕前に球場が狭くなったことで投球面や心理面などの変化がないかと聞くと、松永は「特にないですけど、球場が狭くなるので、ホームランは打たれると思いますよ」と意に介していない様子を見せ、「打たれた時に狭く感じるくらいかなと思います。僕自体は全然」と全く球場が狭くなることについて気にした素ぶりを見せなかった。“ホームランラグーン”対策についても「何もしていないですね」と特に何かを変えることはなく、これまで培ってきた“経験”、“投球術”で抑えていく考えを示していた。
開幕すると、走者を出しながらも粘り強い投球を見せ、3・4月が終了した時点で8試合に登板して、防御率1.23。ZOZOマリンでも3・4月は3試合・3イニングを投げて、打たれた安打はわずか1安打に抑えた。
5月に入ってからもスコアボードに0を並べていたが、19日の楽天戦でZOZOマリンでは約5年ぶりとなる本塁打を浴び失点。続く22日のオリックス戦から再び無失点に抑えていたが、故障により5月30日に一軍登録を抹消された。
7月は抜群の安定感も
6月28日に再昇格を果たすと、7月は10試合・8回1/3を投げて、7ホールド、防御率0.00と、素晴らしい投球を見せた。
5月22日のオリックス戦から16試合連続で無失点に抑えていた松永。特にこの期間、左打者の被打率は.087(23-2)とほぼ完璧に抑え込んだ。それでも松永は当時、「どうですかね。特になんにもない。たまたまだと思います。良いときも悪いときもはっきりしているので」と本人は納得のいく内容ではなかったという。
調子自体も無失点中に取材したときには、「去年の方がはるかに良いと思います。今年は1試合、1試合感覚が全然違うので、難しいですね」と話していた。勝負の夏場、8月7日のソフトバンク戦で3点を失うと、その後は失点する登板もやや目立った。8月の後半からは、右の東條大樹とともに2人で1イニングを任されるというケースも増えた。そして、シーズン終盤の9月に再び戦線を離脱。松永の不在は大きく、チームは2016年以来のCSとはならなかった。
どんなピンチでも涼しい顔で抑え、イニング頭からでは1イニングをしっかりと抑える“リリーフのスペシャリスト”は、やはりチームに欠かせない。2005年以来となるリーグ優勝を達成するためにも大事なピースといえそうだ。
取材・文=岩下雄太