ロッテCS突ッパならず…
4-6の9回二死満塁、一打逆転の好機で代打・佐藤都志也が中飛に打ち取られ試合終了。マリーンズの2020年の戦いが終わった。
クライマックスシリーズでの2試合、1戦目、2戦目ともに先制しながらも、終わって見れば1戦目が3-4、2戦目が4-6と、2試合とも逆転負けを喫した。
1戦目は、シーズン中にマリーンズが見せていた“相手のミスを突いて得点”、“四球から好機を作り得点”していく攻撃、そのリードを逃げ切るという形を、そのままソフトバンクにやられてしまった。
3-1の6回、デスパイネの適時内野安打で1点を返され、なお一死一、三塁とピンチが続きここでマウンドにあがった唐川侑己は、牧原大成をセカンドゴロに打たせ、二塁・中村奨吾は一塁走者のデスパイネにタッチしアウトにすると、一塁へ送球しチェンジかと思われたが、一塁・井上晴哉がまさかの捕球ミス。その間に三塁走者のグラシアルの生還を許し同点に追いつかれた。
3-3の8回は5番手・澤村拓一が先頭のグラシアルに四球を与えると、二死後、牧原に四球、松田宣浩に安打を打たれ満塁としてしまう。ここを踏ん張りたい澤村だったが、甲斐拓也に適時内野安打を打たれ失点。結局、これが決勝点となった。
もう後がない2戦目は、初回に先頭の荻野貴司が左安、藤原恭大の四球で好機を作ると、4番・安田尚憲がレフトへ2点適時二塁打を放ち、2試合連続で先制。福田秀平の内野ゴロの間にもう1点奪い、初回に3点を挙げた。
先発したチェン・ウェインが、2回に中村晃に2ランを浴び1点差とされる。直後の3回に先頭の菅野が内野安打で出塁したが、中村奨が2球連続でバントを失敗し、二飛で走者を進められず。福田秀が二飛、田村龍弘が中飛で、ノーアウトの出塁を活かすことができなかった。
続く4回も一死走者なしから荻野、藤原の連打で一、三塁としたが、一塁走者の藤原が清田の打席中に二塁盗塁を失敗。清田が四球を選び再び一、三塁としたが、安田が空振り三振に倒れた。
チャンスで得点を奪えないでいるとその裏、チェン・ウェインが中村晃に2打席連続となる2ランを浴び逆転を許す。チェン・ウェインは、続く松田宣浩にも一発を食らった。
3-5とリードを奪われたが、5回も先頭の菅野が四球、続く中村奨が中安で、無死一、二塁とチャンスメイク。福田秀が空振り三振、田村が一邪飛、藤岡裕大が二ゴロと、ホームが遠い。7回に先頭の安田がセンターオーバーの二塁打で、3イニング連続で先頭打者が出塁するも、中村奨吾の二ゴロの間に1点を返すのが精一杯だった。4-6の9回も守護神・森唯斗を攻め立て、一死満塁としたが中村奨がから三振、代打・佐藤が中飛に打ち取られ、試合が終了した。
今季先制した試合はリーグトップの勝率.769(40勝12敗1分)を誇ったが、2試合とも先制しながらも敗れた。マリーンズペースの試合運びをさせなかったソフトバンクの強さを改めて感じさせる2試合だった。
2020年の戦いを終える
今季は主力に故障者が相次ぎ、10月には新型コロナウイルスで主力選手が大量に離脱した時期もあり、シーズン通してなかなかベストメンバーで戦うことができなかったが、投手陣の頑張りもあり60勝57敗3分の2位に入ったのも事実。
その中でも大きかったのが、リリーフ陣。昨季は勝利の方程式を固定することができず苦しんだが、今季はハーマン、シーズン途中には巨人からトレードで澤村拓一を補強し、リリーフ陣の層を厚くした。唐川侑己、ハーマン、澤村、益田直也の“勝利の方程式”を確立できたことで、1点を守りきることができ、勝利を積み重ねることができた。
打線はシーズン通して課題を残したものの、CSでは高卒2年目の藤原が2戦目に3安打1盗塁、高卒3年目の安田は1戦目に本塁打、2戦目は先制の2点適時二塁打を放つなど3安打2打点と、大きな舞台で若手の2人が活躍したのは来季以降に向けて大きな収穫だ。
昨年の11月15日は鴨川秋季キャンプ、ロッテ浦和球場での二軍練習の最終日だった。あれからちょうど1年、チームはソフトバンクと日本シリーズ進出をかけてCSを戦うまでに成長した。野手陣では安田、藤原、和田康士朗が台頭し、投手陣も小島和哉、岩下が先発ローテに定着、鈴木大地の人的補償で加入した小野がチーム2位の40試合に登板と、若手選手の活躍も光った。彼ら以外にも期待の若手が控えており、来季以降も非常に楽しみなチームであることは間違いない。着実にチーム力は上がっている。この悔しさを糧にして、来年の今頃は、嬉し涙を流しているようなシーズンを送りたいところだ。
文=岩下雄太