「順調にきていると思います」。
ロッテの中森俊介は、開幕からロングリリーフを中心に7試合・12回を投げ、1勝1敗、14奪三振、1与四球、防御率2.25とブルペン陣を支えている。
春季キャンプからストレートが強く、5月7日の楽天戦では7-3の8回二死走者なしで小郷裕哉に1ボール2ストライクから投じた4球目にボールとなったが自己最速タイの154キロを計測した。
ストレートが良くなった要因について「オフシーズンしっかりフィジカルを鍛えて、メカニックの部分も課題も明確に抑えられたので、少しずつですけど、課題を潰せているのは、順調にきている要因なのかなと思います」と説明。
◆ フォーク
変化球でいえば、フォークが良い。4月29日のオリックス戦、0-1の6回一死二塁で廣岡大志を1ストライクから空振りを奪った2球目の135キロフォーク、続く空振り三振を仕留めた3球目の135キロフォークがストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。
「いい高さ、いい軌道に落ちていけば、フォークを投げるまでの真っ直ぐの軌道も大事なんですけど、全体的に再現性よく投げられていたのかなと思います」。
開幕直後の4月11日に取材した際、フォークについて「数値的には悪くないですし、むしろもっと空振りを取れてもいいボールなんですけど、まだもう一つ取れていないというのは、投げる高さ、コースがアナリストの人とも話したんですけど、物足りないところがある」と話していたが、開幕から1ヶ月が経過し、そこの部分について現状ではどうなのだろうかーー。
「まだ空振りも取れていなかったですけど、この前(4月29日のオリックス戦)はいい軌道でいい高さで投げられていたので、それを維持できればもう少し取れるのかなと思います」。
フォークで空振りが奪えていることで、奪三振数もここまでシーズン自己最多の14をマークする。奪三振率を見ても、23年が4.43、24年が4.88だったが、今季は10.50と大幅にアップ。
「ショートイニング、短いイニングで投げているので、バッターも絞りにくいと思いますけど、空振りは2ストライク追い込んだ時には狙っているので、狙いにいって取れるようにしたいなと思っています」。
◆ スライダー
フォークだけでなく、スライダーも良い。4月20日の楽天戦、1-4の6回先頭の伊藤裕季也に2ストライクから空振り三振に仕留めた138キロの縦に落ちるスライダーが素晴らしかった。
ただ本人は、「あれは模索中のスライダーというか、小さいジャイロ系のスライダーを練習していて、以前から小さいスライダーを持っていたんですけど、もう少し改良したいなというところ。空振りの取れるスライダーを投げたいというところで練習していて、まだまだって感じですね」と納得がいっていない。
「ジャイロ系のスライダーは速ければ速いほどいいので、空振りを取るにも(西武の)今井さんみたいなスライダーは難しいですけど、回転軸も独特。あれぐらい空振りとれる、バッターが張っていても打てないスライダーを練習中という感じです」。
開幕から先発降板後の2番手としてロングリリーフを中心に投げたが、5月7日の楽天戦では7-3と点差が開いていたとはいえ、7回・ゲレーロの後の8回の1イニングを投げ無失点に抑えた。投げるたびに、信頼感を上げている背番号56。「どのポジションでも仕事なので、任されたところで自分の仕事を全うすることを心がけてやっていきたいと思います」。チームの勝利のため、全力で腕を振る。
取材・文=岩下雄太