「練習で意識していることが試合でできたことは良かったかなと思います」。
ロッテの小川龍成は、6月20日に再昇格を果たしてから現在3試合連続安打中と打撃の状態が上向いている。
昨季、“三遊間に低いライナーで打てる感覚”を身につけるため、23年11月の秋季練習から必死にバットを振ってきた結果、シーズン自己最多の119試合に出場するなど打撃面で成長を見せた。今季に向けてプラスアルファ“強く振る”ことを意識して取り組んできたが、シーズンが開幕してからは4月終了時点の打率.154。
5月2日のソフトバンク戦、3-0の5回無死走者なしの第2打席、有原航平に対し2球で追い込まれるもファウル、ボールを見極め、3ボール2ストライクから11球目のインコース低めのカットボールを見送り四球を選ぶなど“らしい”打撃を見せていたが、本人は「あの打席はある程度粘れて、今までやってきたことができていたと思うんですけど、あの1打席しか粘れて自分らしい打席ができたところがなかったと思うので、イメージと違うというか、イメージした通りの打席の作り方だったり、打撃内容はできていなかったかなと思います」と反省の言葉が並んだ。
5月も月間打率.154と徐々に代走、守備固めの出場が増えていった。『9番・セカンド』でスタメン出場した5月31日の日本ハム戦、2-1の5回二死二塁の第2打席、山﨑福也が投じた初球の外角135キロのツーシームに三塁前にセーフティバント安打を決めたが、負傷により6月1日に一軍登録を抹消。
「時間があったので、今の映像と昔の映像を見比べたりとか、いろんなことを試しながら練習する時間を多くできたので良かったかなと思います」。
ファームで過ごす期間に、自身の打撃を見つめ直した。6月17日の巨人二軍戦で実戦復帰すると、0-0の6回無死一塁の第3打席、戸田が投じた初球の130キロ外角カットボールを一塁側にセーフティ気味の送りバント。昨年の秋から“一塁側のセーフティバント”練習を何度も繰り返してきた形に見えた。
「場面がノーアウト一塁だったので、セーフティのサインでしたけど、自分の中では送り気味でやるというところは意識してやったのでいいバントが決められたなと思います」。
6月20日に一軍登録されると、同日のDeNA戦に代走で出場し二塁盗塁を決め、翌21日からは3試合連続で先発出場する。22日のDeNA戦は初回の第1打席、「追加点のチャンスに回ってきたのでなんとかランナーを還そうと思って行きました。しっかり還すことができて良かった」と適時打を放つと、4回の第3打席でも「チャンスだったので、思いきって初球から打ちにいった結果、タイムリーになって良かった」と2点適時打を放つなど、3安打3打点の大暴れ。
24日の巨人戦では、6-4の6回無死走者なしの第3打席、バルドナードが1ボール2ストライクから投じた5球目のスライダーをレフト前に弾き返した安打は、これまで取り組んできた形の打撃のように見えた。
「結果的に出てきているので、それは良かったかなと思うんですけど、まだまだ確実性であったり、練習の時からもっともっと確率良く打てるようにしていきたいというのはあるので、もっと確実性を上げてやりたいと思います」。
◆ 自覚
走塁でも、22日のDeNA戦、4-0の初回二死二塁でセンター前に安打を放ち、センター・梶原昂希がホーム悪送球の間に一気に三塁を陥れる好走塁を披露すれば、盗塁もここまで4つ決めている。
「走塁でしっかり一軍で貢献する立場の選手だと思います。盗塁もそうですし、走塁の部分でも相手の隙をどんどん狙って次の塁を盗むという意識はあるので、そこはもっともっとやっていきたいと思います」。
守備は「この前の送球ミスであったり、もったいないエラーもあるので、そういったミスをしてはいけない立場だと思っているので、どんな状況であっても確実にアウトを取ったりプレーを完了させるというところは、もっとこだわってやっていきたいですね」と自覚を示した。
この先、負けられない戦いが続く中で、「攻撃でも自分の役割をしっかりやって、守備でも自分が引っ張っていく立場だと思うので、ミスをなくしていいプレーをしっかり出してピッチャーを助けたり、本当に守備の中心だと思ってしっかり引っ張っていきたいと思います」と決意を述べた。
取材・文=岩下雄太