コラム

「令和」の野球~五輪と野球~

無断転載禁止
東京五輪に臨む日本代表“侍ジャパン”を率いる稲葉篤紀監督

短期連載:「令和」の野球 第6回


 東京五輪とパラリンピックの入場券の申し込みが9日から始まった。野球関連で言えば、2020年の7月29日に福島あずま球場で開幕し、決勝は8月8日に横浜スタジアムで行われる。

 ちなみに入場料金の最安値は4000円から最高値は決勝の6万7500円まで様々だ。国家的行事とあって大会期間中のプロ野球はお休み、無観客の練習試合を予定している。例年8月上旬から開幕する夏の甲子園大会も期日をずらし、社会人の最高峰である都市対抗は7月下旬開幕を11月開催にする方針で、球界全体が「侍ジャパン」の応援に回ることになる。

 もっとも、野球界にとって来年に迫ったオリンピックに手放しで喜んでばかりはいられない。今春に開かれた2024年パリ大会組織委による開催都市追加種目によって、野球、ソフトボール、空手は除外されることが決まった。1992年のバルセロナ五輪から5大会連続で正式種目に採用された野球は、その後、ロンドン、リオデジャネイロ大会で不採用。ようやく東京で五輪参加が決まったのも束の間、再び宙ぶらりんな存在となってしまうのだ。

 なぜ、野球は五輪から弾き出されてしまうのか? 2012年ロンドン大会から除外された理由をIOC(国際オリンピック委員会)は次のように説明した。

【1】国際的な普及度の低さ
【2】球場建設費用と観客の少なさ
【3】MLBなどベストな選手の参加が期待できない
【4】ドーピング問題などへの対応の遅れ

 日本にとっては金メダル有望種目の野球は国民的な人気を誇る。だが、世界的に見た場合、野球が盛んな国は南北のアメリカ大陸とアジアがほとんどでワールドワイドなスポーツとは言い難い。スポーツの競技人口を見ると、バスケットボールが4.5億人、サッカーが2.5億人と言われるのに対して、野球は全世界で3000万人が定説。IOCでは、近年若者の参加を促す競技に関心を持ち、ブレイクダンスなどの採用を決めている。

 しかも、野球は試合時間が長く、チームスポーツのため参加選手数も多い。バスケットでは成功している「ドリームチーム」の編成も可能性が少ないためにテレビの視聴率も期待できない。確かに野球というスポーツの問題点と課題が指摘されている。


新時代に向けて考えるべきこと


 パリ大会での野球除外を受けて、最も過敏に反応したのは自身も五輪出場経験を持つ宮本慎也現ヤクルトヘッドコーチではないだろうか。

 「五輪はスポーツの祭典。その中に野球が入らないのは悔しいし残念」としながら、そのことで露出が減り、野球人口が減少することを懸念する。

 「野球界で人を集める努力をしないといけない。野球人口が減るということはレベルも下がるということ」。すでに時短対策として一部の国際大会で導入されている7回制にも「いいんじゃない。戦略も変わってそれも面白い」と個人的な見解を語っている。野球の持つ魅力を広くアピールしていくことも大事だが、五輪や世界の時流に適応する努力もまた必要不可欠である。

 現在、野球では五輪に匹敵する国際大会としてワールドベースボールクラシック(WBC)を位置付けている。しかし、それさえも開催時期やメジャーリーガーの出場に問題を抱える。サッカーがW杯、同予選、五輪と同予選を1年ごとに開催してファンの関心を惹きつけているのに対して、野球界は本当に真摯な改革と有効な施策を打っているのか?

 2028年は米国・ロサンゼルスでオリンピック開催が決まっている。ここで再び野球の復活は有力視される。東京五輪の祭りの後からどうしていくのか? 2021年問題にも注視していく必要がある。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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