慶応大・下山悠介は楽天・茂木のような選手に?
選抜高校野球が終わり、4月に入ると大学野球や社会人野球も本格的に公式戦が始まる。
4月9日、神宮球場で幕を開けたのが東京六大学野球の春季リーグ戦。以前のコラムでも早稲田大・蛭間拓哉や立教大・山田健太をすでに取り上げているが、ほかにもプロ入りの可能性を秘めた選手は少なくない。
今回は東京六大学野球のドラフト候補の中から、蛭間や山田を除いた野手の有力選手について紹介する。
ドラフト候補という観点で見ると、内野手に好素材が揃っている今年の大学生たち。
なかでもプロからの注目度が高い選手は、慶応大・下山悠介(慶応高)、明治大・村松開人(静岡高)、法政大・斉藤大輝(横浜高)の3人だ。
下山は慶応高校時代から強打のサードとして活躍。3年時には春夏連続で甲子園にも出場し、夏には2試合で4安打をマーク。ホームランも放っている。
大学進学後は1年秋からサードのレギュラーに定着。いきなりベストナインを獲得すると、その後もチームの主力として安定した成績を残しており、リーグ戦の通算安打は現役選手で山田に次ぐ57本を誇る。
下半身が安定したスイングで広角に鋭い当たりを放ち、スタンドに放り込む力も申し分ない。サードの守備もフットワーク、スローイングともに高レベルで、この春にはセカンドを任されるなど、複数のポジションを守れるという点も大きい。タイプとしては、茂木栄五郎(楽天)のような選手になれる可能性を秘めている。
村松は抜群のスピードとミート力が光るセカンド。高校3年時に足首を故障した影響もあって、レギュラーを獲得したのは昨年から。それでも昨年は春夏連続で3割を大きく超える打率を残し、春にはセカンドのベストナインを獲得した。
2シーズンで合計7盗塁をマークしたほか、171センチと上背はないものの、ミート力は抜群。昨秋には左方向に一発を放つなど、13安打中6安打が長打と力強さも年々アップしている。この春は膝を痛めた影響で出遅れていることが気がかりだが、総合力では大学球界を代表するリードオフマンといえるだろう。
斉藤もまた、横浜高校時代から評判の強打のセカンドで、1年時から3年連続で夏の甲子園に出場している。法政大ではなかなか結果を残すことができなかったが、昨春に3本塁打を放ってブレイク。秋にはリーグ2位となる打率.438の成績を残し、2季連続のベストナインにも輝いた(春は村松と同時受賞)。
それほど大柄ではないが、リストの強さが抜群。絡めとるようにして強烈に引っ張る長打力を備えている。村松ほどのスピードはないが、それでも昨年2季で7盗塁を決めるなど、積極的な走塁も光っている。
外野手で注目の選手は…?
外野手では、立教大・道原慧(駒大苫小牧高)と慶応大・萩尾匡也(文徳高)の名前が挙がる。
道原は抜群の運動能力の高さが魅力。体は大きくないが、外野からの返球は一直線でサード、ホームへ届き、そのスローイングはプロでも上位のレベルにある。
脚力も素晴らしいものがあり、昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿での50メートル走では、参加した全選手の中で矢沢宏太(日本体育大/藤嶺藤沢高)に次ぐ2番目のタイムをマークした。スイングに柔らかさがあり、全身を使ったフルスイングも力強い。外野手としての総合力は大学球界で屈指だ。
一方の萩尾は、文徳高校時代から評判だった右の強打者。リーグ戦通算15安打と実績は物足りないが、一躍評価を上げたのが昨秋の明治神宮大会だ。
準決勝・決勝と2試合連続でホームランを放ち、特に決勝での一発はバントの構えからバットを引いてヒッティングする“バスター”でライトスタンドに叩き込んだもの。そのリストの強さには驚かされた。チームは惜しくも優勝を逃したが、3試合で13打数6安打・2本塁打と見事な成績を残しており、貴重な右の大砲候補として面白い存在だ。
それ以外にも、抜群の強肩が光る捕手の東京大・松岡泰希(東京都市大付高)や、高校時代は甲子園春夏連覇に貢献した早稲田大・中川卓也(大阪桐蔭高)と立教大・宮崎仁斗(大阪桐蔭高)、強肩強打の外野手である法政大・野尻幸輝(木更津総合高)なども、リーグ戦の活躍次第ではドラフト戦線に浮上する可能性は十分にある。
☆記事提供:プロアマ野球研究所