コラム 2022.10.04. 06:59

近年注目を浴びる“強打者”タイプは…?「社会人野手」のドラフト有力候補を格付け!

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NTT西日本・平良竜哉 [写真提供=プロアマ野球研究所]

評価が定まってきた社会人球界のドラフト候補


 いよいよ今月20日(木)に開催される『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』。

 “運命の一日”が近づくにつれて、各球団が候補選手を絞り込む作業も進んで行く。




 なかでも社会人球界のドラフト候補については、10月末から行われる『第47回 社会人野球日本選手権大会』の予選も終了。ドラフト前までにローカルな大会やオープン戦こそ行われているものの、その評価はある程度固まったと言えそうだ。

 そこで今回は、2022年の社会人ドラフト候補について、有力な選手を格付けしながら紹介したい。今回は「野手編」だ。(※年齢は満年齢)


強打者タイプの注目株


<1位指名確実>
該当者なし

<上位指名有力>
該当者なし

<指名の可能性あり>
・立松由宇(日本生命/捕手=24歳)
・平良竜哉(NTT西日本/二塁手=24歳)
・三井健右(大阪ガス/外野手=24歳)
・藤井健平(NTT西日本/外野手=25歳)


 過去2年間のドラフトを振り返ると、1位・2位の上位で指名された社会人野手はいなかったが、今年も「上位指名間違いなし」という候補は不在という印象だ。

 近年のトレンドでは強打者タイプが評価されることが増えており、そのニーズにマッチした選手としては、平良と三井の2人が浮上する可能性を秘めている。


 平良は上背こそないものの、全身がねじり切れるかと思うほどのフルスイングが魅力で、長打力は社会人の中でトップクラスだ。

 今年の都市対抗では、初戦で敗れたものの2安打をマーク。その後に行われた日本選手権の予選でも、1試合で2本塁打を放つなどアピールを続けている。

 セカンドの守備はそれほど目立たないが、脚力は抜群で盗塁に対する意欲が強いのも持ち味だ。貴重な右打ちのパワーヒッターとして評価している球団もあるだろう。


 三井は大阪桐蔭~立教大で注目を集めた左のスラッガー。大阪ガスでは1年目から中軸を任され、昨年はチームの日本選手権優勝に大きく貢献した。

 今年も都市対抗の本選ではアピールできなかった一方、予選やその他の公式戦ではパワフルなバッティングを見せている。打撃以外は目立った特長はないとはいえ、パワーは申し分ないだけに、長打力不足の球団には魅力的な人材だ。


捕手にも注目株


 補強ポイントとして挙がる球団が多い“捕手”では、立松が筆頭候補となる。

 大学まではどちらかというと打撃が目立つ選手だったが、社会人に進んでからキャッチングやフットワーク、スローイングが見違えるようにレベルアップした印象だ。

 元々打撃は良いものがあり、プロでうまく成長すれば戸柱恭孝(DeNA)や大城卓三(巨人)のような捕手になれる可能性は十分にあるだろう。


 外野手の即戦力候補として挙げたいのが藤井だ。

 昨年も候補に挙げられながら指名は見送られたものの、肩と足に関してはプロと比べても上位のレベルにあることは間違いない。特に低く伸びるスローイングは、シートノックから観客が湧くほどだ。

 課題だった打撃の確実性も今年に入ってから向上しており、1年目から一軍の戦力となることも期待できそうだ。


その他の注目候補は…?


<その他候補>
・拾尾昌哉(三菱重工West/捕手=21歳)
・古寺宏輝(Honda熊本/一塁手=24歳)
・中山遥斗(三菱重工East/二塁手=24歳)
・佐藤勇基(トヨタ自動車/二塁手=24歳)
・福永裕基(日本新薬/二塁手=26歳)


 先に挙げた選手以外となると、なかなか有力候補が多くないというのが正直な印象だ。

 その中でも特徴のある選手として5人をピックアップ。拾尾のウリは、若さに似合わぬ落ち着いた守備。力のある捕手が多いチームの中でも、高校卒2年目からレギュラーに定着した。

 ベテランの投手陣に対しても臆することなくリードし、良さを引き出している。スローイングやバッティングに特段凄みがあるわけではないが、まだまだ若さもあるだけに貴重な人材と言えるだろう。


 古寺と中山、福永は右の強打者タイプ。古寺は1年目から不動の4番を任されると、昨年の都市対抗では2本の本塁打を放ち、新人賞にあたる若獅子賞を受賞した。

 さらに今年の都市対抗でも2試合で3本塁打を含む5安打をマークし、さらに成長した姿を見せつけている。

 ファーストの選手というところがネックになりそうだが、ホームランバッターらしい打球の角度があるのは大きな魅力だ。


 中山は強打が魅力のセカンド。今年は都市対抗出場を逃し、補強選手にも選ばれなかったものの、8月に行われたプロアマ交流戦では大学生・社会人選抜チームに選出。カーター・スチュワート・ジュニア(ソフトバンク)の154キロを完璧に弾き返すなど、3安打を放ってアピールした。

 守備ではやや凡ミスが目立ち、足の速さも平均的な水準だが、高いミート力とパンチ力を備えた打者として注目度は高い。


 福永は今年で4年目を迎えるが、今年3月のJABA東京スポニチ大会では3試合で3本塁打を放つなど、強烈なアピールを見せた。

 大学時代はどちらかというと広角に打つ上手さが目立ったが、社会人で見事なパワーアップを果たし、強打者タイプと言えるだけの長打力を身につけている。

 本人もプロ入りへ強い意欲を示しているとのことで、マークしている球団は必ずあるはずだ。


 佐藤は高校時代から守備の名手として知られた選手。現在はセカンドを守ることが多いが、軽快なフットワークで守備範囲は広く、ハンドリング、スローイングも社会人の中で目立つレベルである。

 課題である打撃も年々向上しており、二遊間を補強したいチームにとっては候補となる選手である。


 投手以上に有力候補が少ない印象はどうしても否めない。とはいえ、今年はルーキーの野村勇(ソフトバンク)が準レギュラーと言えるだけの活躍を見せており、改めて社会人野手のレベルの高さを感じたファンや関係者も多かったはずだ。

 野村のように騒がれていなかった“即戦力候補”を発掘する球団が出てくることも十分期待できるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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