コラム 2024.03.07. 17:59

侍ジャパンに選出されたドラフト注目株“大学生4人衆”はどれだけ凄いのか?

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侍ジャパンに大学生で選出された(左から)宗山、西川、金丸、中村
 昨年はワールド・ベースボール・クラシック優勝に沸いた侍ジャパン。3月6、7日に行われる欧州代表との強化試合(京セラドーム大阪)で、明治大のショート、宗山塁(明治大・遊撃手)、関西大のエース・金丸夢斗、愛知工業大の最速157キロ右腕の中村優斗、青山学院大のスラッガー、西川史礁が、侍ジャパンのメンバーに選出された。

 一昨年3月の強化試合で、矢沢宏太(当時日本体育大、現日本ハム)と山田健太(当時立教大、現日本生命)が選ばれる見込みだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっている。このため、トップチームにアマチュアの選手が正式に選出されるのは、2013年11月の強化試合での大瀬良大地(当時九州共立大、現広島)と岡大海(当時明治大、現ロッテ)以来になる。

宗山と金丸は“圧倒的な成績”を残す!


 では、選出される予定の4人は、いったいどんな選手なのだろうか。まず、昨年秋までのリーグ戦での成績を一覧表にまとめた。

宗山塁(明治大)
70試合307打席270打数94安打18二塁打1三塁打8本塁打44打点29四死球6盗塁8犠打飛
打率.348 出塁率.401 長打率.511 OPS.912

金丸夢斗(関西大)
33試合19勝2敗 185回2/3 被安打129 自責点22 242奪三振 36四死球
防御率1.07 被安打率6.25 奪三振率11.73 四死球率1.75

中村優斗(愛知工業大)

37試合11勝13敗 210回 被安打170 自責点49 231奪三振 52四死球
防御率2.10 被安打率7.29 奪三振率9.90 四死球率2.23

西川史礁(青山学院大)
34試合118打席108打数28安打3二塁打1三塁打4本塁打16打点7四死球
0盗塁3犠打飛
打率.259 出塁率.297 長打率.417 OPS.714

 ここまでの3年間で圧倒的な成績を残しているのが。宗山と金丸だ。宗山はこれまでの6シーズンで4度の打率3割以上を記録し、3度のベストナインを受賞している。昨年秋のリーグ戦までに94安打を放ち、リーグ戦の通算打率も.348をマークしている。このペースでいけば過去5人しか達成していないリーグ戦通算120安打、さらには明治大の先輩である高山俊(現オイシックス新潟)の持つ歴代最多の131安打の更新も期待できそうだ。

 打撃の成績を先に紹介したが、それ以上に高い評価を得ているのが、ショートの守備である。侍ジャパンの井端弘和監督は「現時点で、プロに入っても源田(壮亮・西武)の次に上手い」と話しているほどだ。直前の怪我のため、欧州代表との試合には出場しない見込みだが、打撃だけでなく、軽快なフットワークや巧みなグラブさばき、正確で強いスローイングも注目だ。


 一方、欧州代表との第2戦に先発する金丸は、リーグ戦通算が19勝2敗と見事な成績を残している。特に2年春からは18連勝中とまさに無双状態。昨年秋も登板した6試合全てで勝ち投手となったほか、5試合で二桁奪三振と、まさに圧巻のピッチングを見せている。

 常時150キロに迫るスピードだけでなく、コーナーいっぱいに投げ込む高い制球力を備えており、変化球のレベルも高い。レベルが高いと言われた昨年の大学生投手の中に入れてもナンバーワンとの声もあるほどだ。


最速157キロの“剛腕”と東都を代表する“スラッガー”


 唯一の“地方リーグ”からの招集された中村は、リーグ戦通算で負け越しているとはいえ、所属している愛知大学リーグは、他のチームにも好投手が揃っており、打線の援護に恵まれない敗戦が多い。勝敗を別にして、防御率をはじめとする成績は、素晴らしいといえる。中村は、本格派でありながら、高い制球力を備えている。これは、金丸と共通する長所だ。

 中村は、昨年12月に昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿に参加して、紅白戦で最速157キロをマークし、一躍全国に名前を知られるようになった。全国大会や大学日本代表での出場経験がないにもかかわらず、侍ジャパンに選出されたところに、ポテンシャルの高さがよく表れている。


 6日の第1戦でタイムリー二塁打を放つなどポテンシャルを示した西川は、リーグ戦での実績は乏しいものの、昨年一気に浮上してきた。ようやくレギュラーに定着したのは、昨春のリーグ戦。いきなり、打率.364、3本塁打、10打点という活躍でMVPを受賞した。

 続いて行われた大学選手権でも5割近い打率を残し、3年生ながら大学日本代表に選ばれて、4番を任されている。昨秋のリーグ戦は、厳しいマークに苦しみ、打率を落としたように、打撃の安定感に課題が残るとはいえ、豪快なフルスイングで打った瞬間に分かるようなホームランが多く、遠くへ飛ばす力はアマチュア全体で屈指だ。

 大学生の4人にとってプロの高いレベルの選手と一緒にプレーすることは大きな財産となるはずだ。これを機にさらなるレベルアップを期待したい。

文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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