◆ 20年ぶりの本拠地胴上げへ…
ホームで2位・ソフトバンクに勝ち、優勝へのマジックナンバーを「3」とした西武。いよいよ10年ぶりとなる歓喜の瞬間が目前に迫っている。
ここまで83勝を挙げていながら、勝てども勝てどもマジックが減らなかった西武。というのも、2位・ソフトバンクも西武に3タテを喫した翌日の9月18日から7連勝と最後まで諦めない姿勢を見せており、西武はその間に10連勝を記録しながらマジックはひとつずつしか減っていかなかったのだ。
27日の試合は主導権を握りながらも中盤に逆転を許す苦しい展開のなか、8回に秋山翔吾の起死回生の3ランで逆転。劇的勝利で連勝を11に伸ばし、ようやくマジックが2つ減って「3」となった。
これで最短優勝は29日。西武にとってはこのソフトバンク3連戦が今季の本拠地最終カードとなっており、どうにか本拠地最終戦となる29日の胴上げを実現させたいところ。実は前回優勝の2008年は札幌ドームでの胴上げで、その前の2004年もプレーオフ(現在のCS)を2位から突破しての優勝のため福岡で胴上げ。さらに2002年はマリンでのデーゲームの後に他球場の結果を受けての優勝決定と、直近3回の胴上げはいずれも本拠地以外でのものだった。所沢での胴上げが叶えば、1998年以来で実に20年ぶりのことになる。
ファンが待望する本拠地胴上げの条件は、残りの2試合を1勝1分以上…。まず大きなカギを握るのが、28日のゲーム。西武はエース・菊池雄星がマウンドに登るが、実は菊池はプロ入り以来ソフトバンクを相手に勝ち星がない。
◆ 18戦勝ちなしの13敗…
【年度別・菊池雄星vs.ソフトバンク】
2010年:一軍登板なし
2011年:2試 0勝0敗 防6.35
2012年:3試 0勝2敗 防2.55
2013年:1試 0勝0敗 防3.00
2014年:5試 0勝4敗 防4.50
2015年:1試 0勝1敗 防10.13
2016年:1試 0勝1敗 防9.95
2017年:4試 0勝4敗 防7.97
2018年:1試 0勝1敗 防3.38
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[通算] 18試 0勝13敗
ご覧の通り、計18度の挑戦で一度も勝利がない。最多勝と最優秀防御率のタイトルを獲得した昨年でさえ4戦4敗で防御率7.97という有様で、今年も8月24日に先発するも8回3失点で敗れている。
球界を代表する投手へと成長した今でも、なぜか勝てないのがソフトバンク戦。この後に控える一戦必勝のポストシーズンでも対戦する可能性があるだけに、どうにかひとつ勝利を記録しておきたいところ。本拠地胴上げの望みを繋ぐためにも、エースとしてここで勝つしかないのだ。
◆ 「本拠地」+「今年の打線」なら…?
では、もう少し詳細なデータを見てみよう。今回は過去18戦をホームでの登板とビジターでの登板に分けて比較してみた。
【条件別・菊池雄星vs.ソフトバンク】
<ホーム>
▼ 2011年
10月2日:2.1回 自責点0(※救援)
▼ 2012年
8月22日:5.1回 自責点2
9月5日:8.1回 自責点1
▼ 2014年
8月6日:4.2回 自責点4
▼ 2016年
9月23日:6.1回 自責点7
▼ 2017年
4月7日:7.0回 自責点2
5月19日:8.0回 自責点2
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[通算] 42.0回 自責点18 防御率3.86
<ビジター>
▼ 2011年
9月15日:3.1回 自責点4
▼ 2012年
9月18日:4.0回 自責点3
▼ 2013年
5月12日:6.0回 自責点2(※熊本)
▼ 2014年
4月26日:7.0回 自責点3
5月11日:5.1回 自責点4
8月19日:5.0回 自責点2
9月5日:8.0回 自責点2
▼ 2015年
5月16日:5.1回 自責点6
▼ 2017年
6月23日:2.1回 自責点7
8月24日:3.0回 自責点7
▼ 2018年
8月24日:8.0回 自責点3
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[通算] 57.1回 自責点43 防御率6.75
こうして比べてみると、本拠地での登板よりも敵地での登板の方が多く、また成績にも大きな差がついていることが分かった。
昨季も黒星こそついているものの、本拠地での登板は7回を投げて自責2、8回を投げて自責2と内容は悪くない。4月のゲームは和田毅を捕まえられずに継投で逃げ切られたもので、5月はリック・バンデンハークとの投げ合いの末に1-2と援護に恵まれず惜敗したものだ。
その点、今季は開幕から打線が絶好調。今回菊池が投げ合う千賀滉大に対しても、9月15日の試合では7安打・2本塁打を浴びせてノックアウトしており、7月31日の試合では計5発を浴びせて沈めている。
つまり、ホームに戻ってこれまで通りの投球ができれば、援護が期待できる今年のチームであれば勝機も見せてくるということ…。対ソフトバンクの連敗を止め、チームのマジック減らしに貢献することができるか。本拠地胴上げという地元ファンの夢も背負い、菊池雄星が天敵に挑む。