吉田正尚が大暴れ!
野球日本代表・侍ジャパンの2019年初陣となる『ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019』が9日(土)と10日(日)に京セラドーム大阪で行われた。
今秋に控える『プレミア12』と、チーム発足時からの大目標である『東京五輪』も近づいてきたなか、稲葉篤紀監督は今回の戦いに向けて「選手を試す最後のチャンス」と語ったようにフレッシュなメンバーを招集。初戦こそ逆転負けを喫したものの、第2戦は投打がかみ合って快勝。1勝1敗でシリーズを終えた。
なかでも目立ったのが、これがトップチーム初選出となったオリックスの大卒4年目・吉田正尚だった。初戦は「5番・指名打者」で出場すると、代表初打席に臆することなくセンターにはじき返す適時打。「ストライクが来たら積極的に打ちに行こうと思っていた」という言葉の通り、勇猛果敢な打撃でチームに先制点をもたらす。
初戦を3打数2安打1打点という成績で終えると、第2戦は「4番・左翼」で2試合連続のスタメン出場。期待と注目が高まるなか、無死満塁で回ってきた第1打席でライトスタンドに弾丸ライナーで突き刺す先制のグランドスラム。驚愕の一打で2試合連続となる先制点を叩き出した。
この日は第2打席で四球を選んだのち、第3打席でもセンターへの安打。第4打席でも追加点となる犠飛を放ち、2打数2安打5打点の大暴れ。2戦合計で打率.800(5-4)、1本塁打、5打点という衝撃的な活躍ぶりに、メキシコを率いたダン・フィロバ監督も思わず「アメリカでプレーしているのか?え、まだアメリカでプレーできないのか?」と興味津々。「アメリカのチームが獲りたいと言ってきているんじゃないか?とても良い選手だ」と絶賛した。
2015年のドラフト1位で入団した吉田は、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところであったが、代名詞になっているフルスイングの代償もあってか、入団から2年間は腰の故障に悩まされてきた。それでも、昨季は初めてシーズン通して一軍に帯同したどころか全143試合に出場を果たし、打率.321、26本塁打、86打点という成績でベストナインにも選出された。
オフには結婚という人生の転機も迎え、さらなる飛躍に期待がかかる和製大砲。オリックスの主砲から日本の主砲へ、吉田の今後から目が離せない。
メキシコの主砲も負けじと…
大活躍を見せた吉田に負けじと、大きなインパクトを残したのがメキシコの主砲。今季からオリックスでプレーするジョーイ・メネセスだ。
「4番・右翼」でスタメン出場した初戦は、完璧な投球を見せた今永昇太の高めの速球を左中間にはじき返して二塁打を放つと、第2打席ではチームメイトになる山岡泰輔の速球を逆らわずに打ち返してあわや本塁打というフェンス直撃の二塁打。第3打席ではアンダースローの高橋礼との対戦になるも、初見からしっかりと変則投球に対応して見せ、最後は外の変化球を軽打してセンター前へ。第4打席でもセンターを超える二塁打を放ち、4打数4安打の大爆発を見せた。
第2戦も4番でスタメン出場すると、第2打席で右中間に二塁打。この日は4打数1安打に終わるも、2戦合計で打率.625(8-5)、5安打のうち4本が二塁打。新たな本拠地となる京セラドーム大阪で衝撃の打棒を見せつけた。
今季のオープン戦では、3番にメネセスが入って4番に吉田というオーダーで戦っているオリックス。開幕後のこの2人の競演が楽しみになる2日間だった。
西・金子の穴を埋めるか
また、オリックス勢の活躍はこれだけで終わらない。
投手では、自身初となる開幕投手を務めることが内定している山岡泰輔が初戦で登板。2番手としてマウンドに登り、メネセスにあわや本塁打という二塁打を許したものの、2回を投げて被安打1、無四球・3奪三振で無失点。力強い速球と伝家の宝刀・スライダーで強打者たちをなぎ倒した。
さらに第2戦では期待の高卒3年目右腕・山本由伸も代表デビュー。こちらも2番手でマウンドに登り、2回を投げて被安打2、無四球・2奪三振で無失点。最速152キロを計測するなど、順調な仕上がりぶりを披露している。
楽天・田中和基の出場辞退によって緊急招集された大城滉二は2打数無安打に終わったものの、2チーム合計5人の選手が国を背負った戦いに出場。それも普段のホームグラウンドでそれぞれが躍動したとあって、オリックスファンにとっては胸躍る結果となったに違いない。
特にオフには西勇輝に金子千尋という2人の先発陣の柱が退団するというショッキングな出来事もあったが、そんな中で新エース候補の山岡や先発転向での飛躍が期待される山本が良い結果を残したというのは、シーズン開幕を前に心強いことこの上ない。
この勢いのままにパ・リーグをかき回すダークホースとなるか。新生・オリックスから目が離せない。