ニュース 2019.05.24. 17:12

巨人・桜井 「公立のダルビッシュ」と言われた4年前のドラ1

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【プロ野球巨人対DeNA】ウイニングボールを持って笑顔のプロ初勝利の桜井俊貴=2019年5月23日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社
「こんな形で勝てると思ってなかったけど、うれしいです。試合が終わるまではちょっと緊張した」(桜井)

5月23日、東京ドームで行われた巨人-DeNA戦。前日(22日)はドラフト1位ルーキー・高橋がDeNA打線に打たれて敗れた巨人。首位を奪った広島に引き離されないためにも、これ以上負けられないゲームでした。

試合は4回、ジャイアンツ打線が爆発。4本のタイムリーを含む打者一巡の猛攻で、一挙6点を先制しますが、4連勝中のDeNAは楽に勝たせてくれません。5回、巨人先発・今村がソトに3ランを浴び、3点差に。

続く筒香を抑えたところで、勝利投手の権利まであと2アウトでしたが、ロペス・大和と右打者が続くため、原監督は今村交代を決断。2番手として登板させたのが、今年4年目、2015年のドラフト1位右腕・桜井でした。

今季は中継ぎとして開幕1軍入りした桜井。5月2日に先発投手との入れ替えで2軍落ちしましたが、リリーフ陣強化のため、17日、1軍に再昇格。前日(22日)は高橋降板の後を受け、5回から2番手で登板し、1イニングを0点に抑えました。

連投でしたが、桜井は5回を0点に抑えると、6回、宮崎にタイムリーを打たれながらも何とか1失点でしのいで降板。7回以降は、アダメス→澤村→中川のリレーで逃げ切り、2番手の桜井に嬉しいプロ初勝利が転がり込んだのです。

「試合が終わるまで、緊張してました」

と言う桜井。今回はリードしている場面での登板だったので、このまま行けば勝ちが付くのはもちろん分かっていましたが、降板後も祈るような気持ちだったに違いありません。

ゲームセット後、ウイニングボールを手にして、原監督と2ショットで撮影に臨んだ桜井。指揮官も「ストライクゾーンを広く使えるようになった」と、成長した桜井を讃えました。

4年前のドラフトで、巨人が単独で1位指名した桜井。神戸出身で、中学の頃から注目の存在でしたが、高校進学の際は、私立の強豪校からのオファーを断り、公立の進学校・北須磨高に一般入試で合格。「公立のダルビッシュ」と呼ばれた文武両道派です。

大学は立命館大に進学。通算28勝を挙げ、3年時にはプロと混合のU-21日本代表に選ばれましたが、勉学もおろそかにしなかった桜井。日本史が好きで、卒論のテーマは鎌倉幕府の「御成敗式目」でした。

この真面目さ、クレバーさも、巨人が単独指名に踏み切った理由の1つです。入団時の背番号は「21」。先発の柱として活躍してほしい、という期待の高さが窺える番号でした。

桜井も期待に応え、1年目から開幕ローテーション入りを果たし、順風満帆の船出に見えましたが……何と、デビュー戦の直後に右ヒジ痛を発症し、長期離脱を余儀なくされたのです。結局、1年目は1試合登板だけで終わり、背番号「21」も、日本ハムから移籍して来た吉川光夫に譲る形で1年で剥奪。「36」に変更となりました。

「ドラフト1位に対して、あんまりな仕打ちではないか」という声もありましたが、これも結果がすべてのプロ野球ならではの厳しさです。

2年目は中継ぎで19試合に登板しましたが、3年目の昨季は1度も1軍登板がないまま終了。「桜井は終わった」という辛らつな言葉も耳にするようになりました。背番号を「35」に変え、背水の陣で臨んだ今シーズン。

昨年の秋季キャンプから黙々と投げ込み、実戦登板を重ねる姿を、復帰した原監督はちゃんと見ていました。桜井を開幕1軍に抜擢し、手薄なリリーフ陣を支える存在として起用。チーム事情からいったんファームに落ちましたが、すぐに呼び戻してくれた指揮官の期待に、最高の形で応えることができました。

プロ入り後の4シーズンを振り返って、桜井はこう語っています。

「やるべきことをやっていれば、いい流れは来る。過ぎればあっという間だった」

記念のボールは「実家に送ります」と笑顔で答えた桜井。24日から始まる広島との首位決戦でも、勝負のカギを握る存在になりそうです。

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