ロッテの育成・本前郁也[撮影日=2020年2月27日]

◆ キャンプ一軍スタート

 ロッテの2021年の石垣島春季キャンプの一軍メンバーが19日に発表されたが、そのなかに育成2年目の投手・本前郁也の名前があった。近年、マリーンズの生え抜き育成投手が初日から一軍キャンプを迎えることはほとんどなく、異例の大抜擢といっても良いだろう。

 本前は育成2年目のサウスポー。自身の持ち味について「マウンドで表情を出さないことと、ストレートと変化球をコースに投げ分けられるコントロール」を挙げる。プロ1年目の昨季は二軍公式戦初登板となった7月25日の巨人戦でリリーフ登板し、0回2/3を投げ2失点と悔しいマウンドも、その後の登板で3試合連続無失点に抑え、8月17日の楽天戦で初先発。そこからシーズンを終えるまで、主に先発を務めた。

 特に9月は3試合に先発・16イニングを投げ、イニング数を上回る19奪三振、与えた四死球は3、防御率0.56と抜群の安定感を誇った。9月11日のヤクルト戦が6回・10奪三振、29日の日本ハム戦は6回・7奪三振と、12イニング連続で奪三振を記録。29日の日本ハム戦の4回、横尾俊建を空振り三振に仕留めた変化球は素晴らしいボールだった。

 時折ボール先行もあったが、自身の持ち味を“コントロール”と話すように、そこから持ち直しストライク先行の投球が目立った。制球力が良いことが関係しているのか、プロ入り後、公式戦の自己最長イニングは9月11日のヤクルト戦、29日の日本ハム戦の6回だが、91球、90球といずれも100球以内にまとめている。

◆ 手薄な左腕事情

 育成選手ではあるが、貴重なサウスポーということもあり、アピール次第では支配下選手、先発ローテーション入りも十分に考えられる。

 マリーンズのサウスポーは、成瀬善久がFA移籍した2015年以降、左腕全体で11勝(15年)、5勝(16年)、4勝(17年)、4勝(18年)、8勝(19年)、10勝(20年)と、16年から4年間は10勝に届かなかった。昨季は5年ぶりに左腕全体で10勝を挙げたが、そのうち7勝が小島和哉。昨季途中加入し0勝ながら先発した4試合全てでQSを達成したチェン・ウェインが阪神へ移籍し、ロングリリーフ、ワンポイント、先発など様々な場面でチームを救ったチェン・グァンユウが退団し、やや左腕が手薄だ。

 また先発事情を見ても、美馬学、石川歩、二木康太、小島、岩下大輝の5番目までの名前が出てくるが、先発6番目のイスは古谷拓郎、中村稔弥、ドラフト1位ルーキーの鈴木昭汰らで争うことが予想される。

 投手と野手で違いはあるが、昨季は育成選手だった和田康士朗が練習試合、オープン戦で武器である“足”でアピールし、開幕直前に支配下選手登録を勝ち取った。本前も自身の持ち味を存分に発揮し、“実戦”で結果を残して背番号“2桁”を掴みたい。そのチャンスは目の前にある。

▼本前郁也の昨季ファーム成績
11試 2勝0敗 38回2/3 振38 四死9 防2.56

▼月別成績
7月:2試 0勝0敗 1回2/3 振2 四死0 防10.80
8月:4試 0勝0敗 10回 振8 四死3 防4.50
9月:3試 1勝0敗 16回 振19 四死3 防0.56
10月:2試 1勝0敗 11回 振9 四死3 防2.45

文=岩下雄太

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