楽天・岸(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 近年注目を集める「イニングイーター」とは?

 投手が分業制になって久しい現代のプロ野球。かつては先発投手の完投があたりまえだったが、近年ではそうした傾向は薄れ、先発投手は100球前後を目安にしてマウンドを降りリリーフ陣に後をたくすケースが一般的になった。

 以前よりも中継ぎ投手の登板数が増えたということは、それだけブルペンに負担がかかっていることになる。短期決戦ならいざ知らず、143試合も戦う長いペナントレースだ。1年間をフルに乗り切るためには、中継ぎ投手をできるだけ温存し、リーグ優勝やCS争いが過熱する後半戦に勝負をかけられるかも大きなポイントになっている。

 そのため、長いイニングを投げられる先発投手は「イニングイーター」と称され、チームにとって重宝される存在となっている。そこで今回は、12球団の「イニングイーター」トップ10を調べてみた。

◆ 1試合平均120球オーバーのタフネス投手も

 検証方法は、先発投手たちの1試合における平均投球イニングを割り出してランキング化。それと合わせて、投球総数から1試合の平均投球数なども割り出してみた。10位~4位の投手たちは以下のとおり。

【平均投球回数トップ10】
※成績は2018年7月1日終了時点
※1試合平均<総数>

▼ 10位:大瀬良大地(広島)
・14試合:10勝3敗(※2完投)
・投球回数:6.6回<92回2/3>
・総投球数:103球<1438球>

▼ 10位:涌井秀章(ロッテ)
・14試合:4勝6敗(※1完投)
・投球回数:6.6回<92回1/3>
・投球総数:114球<1595球>

▼ 10位:上沢直之(日本ハム)
・12試合:7勝2敗(※3完投)
・投球回数:6.6回<79回1/3>
・投球総数:106球<1275球>

▼ 7位:ブキャナン(ヤクルト)
・14試合:6勝4敗(※2完投)
・投球回数:6.8回<95回1/3>
・投球総数:106球<1483球>

▼ 7位:西勇輝(オリックス)
・13試合:5勝6敗(※0完投)
・投球回数:6.8回<88回>
・投球総数:107球<1391球>

▼ 7位:菊池雄星(西武)
・11試合:8勝1敗(※0完投)
・投球回数:6.8回<75回>
・投球総数:105球<1157球>

▼ 5位:石川歩(ロッテ)
・13試合:9勝3敗(1完投)
・投球回数:7.0回<91回1/3>
・投球総数:106球<1384球>

▼ 5位:マルティネス(日本ハム)
・13試合:7勝5敗(※3完投)
・投球回数:7.0回<91回1/3>
・投球総数:105球<1360球>

▼ 4位:則本昂大(楽天)
・13試合:4勝8敗(※4完投)
・投球回数:7.3回<94回2/3>
・投球総数:123球<1597球>

 各チームの主戦投手たちが軒並み揃っている印象だが、ロッテと日本ハムは複数の投手がランクインしている。

 日本ハムは新加入のマルティネスと防御率ランキングで2位につけている上沢直之が引っ張り、ロッテは涌井秀章と石川歩の2本柱が昨季の不振を乗り越え復調。ともに先発陣がしっかりしているためか、両チームとも下位に沈んだ昨季とは打って変わりAクラス入りを果たしているのが印象深い。

 そして、投球数の観点から見ると、則本昂大が最多。奪三振が多いタイプの投手なだけに球数が増えるのは致し方ないが、被安打も多く、四球の数が昨季よりも微増している。

◆ 栄えある1位は……

 残りの上位3投手の顔ぶれは以下のようになった。

▼ 2位:山口俊(巨人)
・13試合:6勝5敗(※5完投)
・投球回数:7.3回<95回>
・投球総数:121球<1571球>

▼ 2位:菅野智之(巨人)
・14試合:8勝5敗(※5完投)
・投球回数:7.3回<102回>
・投球総数:114球<1602球>

▼ 1位:岸孝之(楽天)
・13試合:8勝1敗(※3完投)
・投球回数:7.7回<100回>
・投球総数:118球<1538球>

 現時点における、今シーズンの最優秀イニングイーターは楽天の岸孝之だった。パ・リーグでは唯一の投球回数100イニング超えを果たし、リーグ2位の3完投が示すとおり、毎試合7イニング以上は投げている計算となる。岸はここまで8勝1敗という好成績を残しており、防御率は1.80とリーグトップ。最下位に沈んでいるチームのなかで孤軍奮闘している。

 そして、巨人の2投手が同率で2位にランクイン。12球団最多の投球回数を投げている菅野に加え、山口俊も負けていない。もともとDeNA時代からイニングイーターぶりには定評があったが、毎試合100球はおろか、120球でも当然というくらいに投げ続けている。そのため、5完投も12球団トップタイ。マイコラスが抜けた巨人先発陣にとって心強い存在になった。

 ちなみにセ・リーグで平均投球回数が「7.0」を超えたのはこの2名のみ。セ・リーグは投手が打席に立つこともあり、どれだけ好投していても試合展開次第では代打が送られてしまう。そのなかで巨人の2投手がランクインしているのは評価すべきところだろう。

 これから暑い夏、そして後半戦に差し掛かりペナント争いはますますヒートアップしてくる。連戦が続きでブルペンの台所事情が苦しくなってくるときにこそ、彼らの存在がより重要になってくるはずだ。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【福嶌弘・プロフィール】
1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『プロ野球 大監督の金字塔』(宝島社)、『がっつり!甲子園2018』(日本文芸社)などに執筆。

この記事を書いたのは

福嶌弘

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