コラム 2021.06.27. 08:08

MVP・正木智也やブライト健太に熱視線 全日本大学野球で輝いた「野手」のドラフト候補は…?

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上武大・ブライト健太選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

慶応大の主砲・正木智也がMVPを獲得


 慶応大の34年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた『全日本大学野球選手権』。全国の26連盟・27チームが参加し、プロのスカウト陣も連日視察に訪れていた。

 プロアマ野球研究所では、2年ぶりの開催となった全国レベルの大舞台で、光るプレーを見せたドラフト候補をピックアップして紹介していきたい。今回は野手編だ。




 投手に比べると、「上位指名間違いなし」と言えるような選手は不在だった。

 だが、そんな中でも最も評価が高くなりそうなのが、優勝した慶応大の主砲・正木智也だ。

 初戦の和歌山大戦、準々決勝の関西学院大戦はノーヒットに終わり、スイングのバランスも良くないように見えたが、1日の休養日を挟んだ準決勝からは見事に復調。2試合連続で試合の流れを手繰り寄せる先制のツーランを放ち、終わってみれば大会MVPにも輝いている。



 内角の速いボールへの対応には課題が残るものの、甘いボールを逃さずにスタンドまで運べるというのは得難い長所である。

 守備と走塁が平凡な点をプロがどう判断するかは気になるところだが、若手の強打者が少ない球団は上位で指名する可能性は十分にあるだろう。


ドラフト戦線に急浮上した上武大・ブライト健太


 右の強打者タイプで、もうひとり一気に急上昇してきたのが、ブライト健太(上武大)だ。

 昨年まではリーグ戦通算0安打だったものの、春のリーグ戦では3本塁打を放ってMVPを獲得。今大会では初戦でいきなりドラフト1位候補の隅田知一郎(西日本工大)から決勝の本塁打を放つと、続く桜美林大戦では3安打、準々決勝の東農大北海道オホーツク戦でも大会2本目の一発を含む2安打2打点を放つ。4試合で6割を超える打率を残す大活躍だった。


 無駄な動きの少ないシンプルなスイングで、フォロースルーも大きく、打球の速さや飛距離も申し分ない。攻守ともにまだ粗さは残るものの、運動能力の高さがあるのも魅力だ。

 この春しか実績がないのは不安材料といえるが、ポテンシャルを高く評価する球団は間違いなくあるだろう。


捕手に多くの好素材


 その他の野手をみると、捕手の好素材が多く目に付いた。まず攻守にわたって存在感を見せたのが福井章吾(慶応大)だ。

 機動力を武器とするチームの対戦も多かったが、決勝までの4試合で一つも盗塁を許さず、また暴投も含めた後逸もゼロ。打っても準々決勝から3試合連続でヒットを放ち、中軸としての役割をしっかり果たした。

 進路は社会人という声も聞こえてくるが、大舞台での経験も豊富だけに、プロ側も引き続き注目していくだろう。


 つづいて、スローイングの強さで目立ったのは福永奨(国学院大)だ。

 イニング間のセカンド送球はコンスタントに1.8秒台をマーク。初戦の富士大戦、準々決勝の福岡大戦ではともに素早いバント処理で一塁走者を二塁で封殺するプレーも見せた。

 課題だった打撃もこの春は力強さが増し、本大会でも2試合連続でヒットを放っている。


 最後に、打撃で目立ったのが古間木大登(東農大北海道オホーツク戦)だ。

 初戦の天理大戦ではサヨナラタイムリーを含む2安打・2打点。準々決勝の上武大戦でも、打った瞬間に分かる一発をライトスタンドへ叩き込んでいる。

 スローイングが不安定だったのは気になるところだが、大型の捕手としては脚力があり、面白い存在だ。佐藤大雅(富士大)もまた、攻守ともに力強いプレーを見せており、十分プロを狙える素材と言えるだろう。


その他の野手は…?


 内野手では、“打てるセカンド”として注目される山城響(富士大)が、1回戦で一発を放ちさすがのパンチ力を見せた。

 ショートでは、準々決勝で審判と衝突して負傷交代したものの、永江大樹(福岡大)も攻守に存在感を示している。

 外野手は、フルスイングが魅力の井上絢登(福岡大)、走攻守全てで高いレベルのプレーを見せた佐藤勇斗(福井工大)も強く印象に残った。


 冒頭で触れたように、大学生のドラフト候補は投手に比べると野手は見劣りするとはいえ、秋のリーグ戦でレベルアップしたプレーを見せて、ドラフト戦線を賑わせてくれることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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