最後までカットボールを貫いたーー。
ロッテの唐川侑己は3日のソフトバンク戦に先発し、9月8日の引退会見で「今は散々カットボールでお世話になったので、カットボールに愛着があるので、はい」と予告通り、最後もカットボールを捕手・佐藤都志也に投げ込み、正木智也から空振り三振奪い現役生活を締めくくった。
唐川は降板後、「初球低めに垂れる球を投げたのでなんとか修正しようと思って投げました。本当はもっと速い球を投げたかったんですけどね。この期に及んでストライクを揃えるっていう選択をした僕の19年間を見事に表した投球でした。その後の益田選手の投球に感動しました」と振り返った。
唐川はリリーフに配置転換となった18年後半からカットボールを中心にした投球にスタイルチェンジ。現役後半の唐川を支えた大事な球種だ。カットボール中心に投げ始めた当初は「(カットボールを中心に投げると)決意をしたわけではないです」と話していたが、「カットボールがメインというか多く投げるピッチャーなので、そこらへんのこだわりは自分なりに持っている。それがあって今投げられているので、大事にしています」とプライド、こだわりを持って投げた。
◆ 理想のアウトの取り方
カットボールで“ポップフライ”で打ち取ることを理想の一つにしていた。
「ゴロアウトを取りたいと思っていない。カットボールのホップ成分をあげたいので、ポップフライのアウトの方が僕的には嬉しい」
24年6月1日のヤクルト二軍戦、唐川は3回を投げ9つのアウトのうち5つをフライアウトに仕留めた。ただ「前回のヤクルト戦はバッターに捉えられてのアウトがあったのでそこは物足りないところではあったんですけど、僕が目指しているフライアウトとは違うかなと思いますね」と話したこともあった。
「もうちょっと高く上がるポップフライ。バッターがとらえたと思ってフライアウトになるのが一番」と、理想のフライアウトについて教えてくれた。
◆ 捕手陣にも感謝
カットボールを中心にした投球を支えた裏に捕手陣の存在もある。唐川を取材していると捕手に感謝することも多かった。
代表例で言えば昨年9月23日の西武戦、7回を無失点に抑え勝利投手になった唐川はヒーローインタビューで「なんとか、植田にいい景色を見せたいなと思って、2人で(お立ち台に)立てているので嬉しいです」と話したように、24年9月21日の取材では好調の要因について「佐藤都志也にしても田村にしてもコミュニケーションをとってくれるので普段から話はしやすいので、そこら辺が要因かなと思います。どちらかといったらキャッチャーの要因かなと思います」と、捕手の存在を挙げている。
その佐藤都は唐川の現役引退にあたり、「基礎となるところを(唐川)侑己さんに教えてもらいましたし、配球のことだったり、一緒に組む中でも侑己さんだけじゃないですけど、ピッチャーの会話、良し悪し、今日はどうだろう、ああだろうという会話するきっかけになったのも侑己さんが話してくれたのがある」と感謝した。
唐川の代名詞ともなったカットボール。そのカットボールで打者をねじ伏せる姿が見られなくなるのは寂しくなる。
取材・文=岩下雄太