不安定なロッテ先発陣の中で、高野脩汰は先発で存在感を高めている。
昨季は先発ローテーション入りを目指し、春季キャンプから過ごしてきたが、シーズンが開幕してからはロングリリーフを中心に投げ、徐々に序列を上げていき最終的には勝ち試合の8回を担当した。今季も開幕からロングリリーフを中心に投げてきたが、7月9日に一軍登録抹消された後は、ファームで3試合先発登板を経験した。
リリーフの時はフォーク、ストレートを中心で投げていたが、ファームで先発していた時は「多く練習するという目的もあって落ちてきたので、そこをいろんなカウントで試すという意味では多投している理由ではあります」と、スライダーを磨いてきた。
7月21日のオリックス戦、0-0の3回無死走者なしで三方陽登を2ストライクから127キロのスライダーで見逃し三振、同日のオリックス戦、0-1の4回二死一、二塁で三方陽登を2ボール2ストライクから7球目の126キロスライダーで空振り三振、8月5日の中日二軍戦、2-0の2回先頭の鵜飼航丞を2ストライクから空振り三振に仕留めるなど、右打者のスライダーが良かった。
8月11日の取材では「左バッターに外にスライダーを空振りは印象的なんですけど、右にあんまり取れたことが学生野球時代以来なくて、そこを思ったら右バッターにしっかりズレたスイングをさせられたのは大きいことかなと思います」と振り返っている。
バンテリンドームで先発した8月5日の中日二軍戦では、立ち上がりからテンポの良い投球で7回・73球を投げ、2被安打、6奪三振、0与四球、無失点に抑える投球を見せた。
「色々やりたいことを多く試すには長いイニングを投げられたほうがいいですし、自分の適性としてもリリーフでも先発でもいけるよというところを見せることにも繋がる。長い回を投げられたことはシンプルに嬉しいですし、試せたところでも良かったです」
気になるのは、先発登板時の過ごし方。リリーフでは「試合始まった時に球場を見る。とりあえずお客さんの入り、盛り上がりとか、圧というか迫力をブルペンに行く前のところで、確認することで自分がいざマウンドに上がった時にビビらないようにというのもありますし、そこで声出して応援することで気合が入ることもある。そこを一番、ルーティンとして取り組んでいます。ビジターだったら1回裏にブルペンに行くことが多いので、マリンだったら試合に始まる前のチアが踊られている時とかに会場の雰囲気を感じながらやることを意識しています」と、初回にベンチに入って球場の雰囲気を味わい、そこからブルペンに向かっていた。先発の時は試合前にどう過ごしているのだろうかーー。
「先発は割と試合前時間があるので、味方のノック中にマウンドに上がらせてもらったりとか、そういうことはできるのでやらせてもらっていました」(8月11日取材時)
8月11日のロッテ浦和での取材で「どっちでもいけるよというところは今後も見せていきたいですし、どっちやりたいとかはないので、必要とされたポジションで一番に頭に入れてもらえるように準備したいです」と話していた中で、翌日に一軍昇格。昇格後は3試合リリーフ登板し、9月1日の西武戦から2試合連続で先発している。
9月1日の西武戦は7回・98球を投げ、2被安打、8奪三振、3与四死球、無失点で先発初勝利を手にすると、9月10日の楽天戦は7回・101球を投げ6被安打、6奪三振、0与四球、1失点で今季3勝目を挙げた。
リリーフの時は投球の割合はストレートよりもフォークの方が多かったが、先発転向後はストレートが多くなっている。
「変化球で長いイニング交わすのは難しいと言うか、まっすぐを通していかないと長い回はいけないと言うのもありますし、僕と言えばフォークの印象が強いと思う。そこは裏をかいた配球とかも含めてですね」
9月1日の西武戦、1-0の2回一死走者なしで渡部聖弥を1ボール2ストライクから高めの147キロストレートで空振り三振、1-0の3回二死一塁でカナリオを2ボール2ストライクから高めの146キロストレートで空振り三振に打ち取るなど、相手打者が追い込まれてからフォークを意識する中でストレートでも三振が奪えている。
「落ち球警戒のスイングというか、すごいポイント近くしてファウルで粘るバッターが多い印象なので、まっすぐ、そこでゾーンに強い球を投げたら少々甘くても空振りしてくれるだろうなというのもあって、キチキチを狙うことなく、腕を振ったまっすぐを投げて、たまたまいい結果が続いているのかなと思います」
ファームの時に練習していたスライダーも、9月10日の楽天戦、4-1の4回二死一塁で太田光を2ストライクからインコース124キロのスライダーで見逃し三振に仕留めた。
「まっすぐフォークの印象がある中で、曲がり球は張ってこないと思うので、そこでどう通せるかというのもありますし、ちょっと大きな曲がりをする時が多いんですけど、目線が変わって次の変化球、まっすぐに影響してくれるかなという感じで、長い回を投げるところでも曲がり球の選択が大事になってくるので、そこはやっています」
初回の入りについては一軍に上がってから、「気負うことなくというか、先発をやらせてもらってまだ間もないので、全てチャレンジャー精神というか、全部吸収するつもりでやっています。自分で抑えないと、変に気負うというよりは、ダメだったらすぐ代えてもらってという気持ちでやっています」と明かした。
今季はリリーフで開幕し、ファームで先発調整し昇格した後は、3試合リリーフで投げ、9月に入ってから先発と、難しい役割ながら自身のパフォーマンスを発揮している。
「チーム事情というのもありますし、幸いどっちもやらせてもらっている経験があるので、どっちかの気持ちでいるとかはないんですけど、先発でもし雨が降って流れたらリリーフに戻る可能性も考えて行動しています。どっちになってもそんなに変に考えすぎることなく、目の前のバッターを1人1人抑えていきたいと思います」。
先発、リリーフ、両方で安定した投球を見せる左腕が、シーズン最後までチームのために腕を振る。
取材・文=岩下雄太