◆ 白球つれづれ2026・第41回
巨人の2026年シーズンが終わった。
クライマックスシリーズのファーストステージで3位のDeNAと激突したが結果は2連敗。シーズン終了のあいさつをする選手たちに一部のG党からは容赦ないブーイングが浴びせられた。
「終戦巨人 FA補強 森下、床田調査」(スポーツ報知)
「巨人次期監督 由伸氏有力候補 橋上代行は退団濃厚」
「阿部前監督に編成部門で復帰要請」(日刊スポーツ)
「阿部前監督巨人復帰も 橋上監督代行退任へ」「森下獲得調査へ」
「新監督はOB中心に選定 松井氏、由伸氏候補」(スポーツニッポン)
これが終戦翌日、12日に報じられた主要スポーツ3紙の主な見出しだ。
共通しているのは、FAで広島から進路が注目される森下暢仁、床田寛樹両エース獲得を狙っていること。新監督には高橋由伸氏を中心に準備を進めていること。さらには今年の5月に長女への暴行事件を起こして辞任した阿部慎之助前監督がフロントの要職で復帰が濃厚と言うあたりか。
監督人事に触れていないスポーツ報知は読売系の系列紙である以上、観測記事は書きづらい事情もあるはずだ。
それにしてもクライマックスの戦いは巨人の“病巣”がはっきり表れたゲームだった。
初戦は相性の悪いDeNA・東克樹投手からチャンスは作るものの7度の得点圏を生かせず、最後は守護神のライデル・マルティネスが度会隆輝選手に一発を浴びて1-2の敗戦。
第2戦はまたも度会と牧秀悟選手に2戦連発を許して1-4の終戦。
この戦いを見るまでもなく2戦で2得点。チーム打率は.186だから「打てない」「固定できない」貧打線が改めてクローズアップされた。
今季のチームのテーマは「育成と勝利」。
主砲の岡本和真選手がメジャーに転出して、ぽっかりと空いた四番の座と、坂本勇人、丸佳浩両ベテラン選手の衰えによる部分を、いかに若手選手を育成してチーム力を底上げするか?が最大のポイントだった。
そうした中で俊足巧打の浦田俊輔選手が躍動したり“ポスト坂本”の期待を担う石塚裕惺選手が大器の片鱗をのぞかせたりはしたが、チームの大変革とはいかない。岡本の代わりにクリーンアップでの活躍を期待したボビー・ダルベックや、トレイ・キャベッジの外国人打者も弱点を暴露して打線に迫力を欠いた。
阪神なら佐藤輝明と森下翔太、DeNAなら牧秀悟と筒香嘉智など強豪チームには打線の「核」となる主砲がクリーンアップにでんと構える。こうした主役がいるから脇役ものびのび働ける。
今季の巨人のチーム成績を調べると投手部門のチーム防御率2.80はトップの阪神と僅差の2位。しかしチーム打率.234はリーグ4位で、同本塁打103本も4位に終わっている。
チャンスは作っても、ここで一本が出ない。長打力がないから破壊力もない。岡本の代役はおいそれと見つからない。つまり、FAに血眼になるなら森下や床田より、まずは大砲や四番を任せられる人材の獲得が最大の優先事項であるはずだ。
今年のFA戦線で打者の目玉と目されているのが広島の坂倉奨吾選手だ。カープの主軸打者に成長して捕手以外に三塁や一塁も守れるユーティリティープレーヤーで本人がFA行使を決断すればかなりの球団が獲得に手をあげるはず。巨人にとっても、喉から手が出るほどの人材である。
なりふり構わぬ補強を進める巨人にウルトラ策があるとしたら、ボストンレッドソックスの吉田正尚選手獲得に動くのでは、と言う見方もある。
現地では今オフの放出選手の候補に名を連ねている。5年契約は来季まで継続するが、レッドソックス側が年俸の一部を肩代わりしてもトレード市場に出すのではと言われている。
侍ジャパンの四番も務めた勝負強い打撃は健在なだけに、巨人が獲得の検討に入っても不思議ではない。
ドラフト、トレード、新外国人。ありとあらゆる手段でチームの底上げを図る巨人。「嵐のストーブ」に勝ち抜かない限り、名門復活の道は見えてこない。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)