「去年までは三振にこだわりはあったんですけど、そこに執着しすぎるとカウントを苦しめることが多かったので、今はアウトの取り方にこだわっています」。

 福田光輝とのトレードで日本ハムから開幕前に加入した西村天裕の入団会見で、“奪三振へのこだわり”について質問したときに、上記のような言葉が返ってきた。

 西村は昨季までの5年間で全てのシーズンでイニング数を上回る奪三振数を記録し、プロ5年間での通算奪三振率は10.23をマーク。昨季も21回2/3を投げて、奪三振数は25だった。

▼ プロ入り後からのイニング数、奪三振、奪三振率
18年:26試 23回 振25 率9.78
19年:35試 44回2/3 振55 率11.08
20年:16試 25回2/3 振29 率10.17
21年:27試 31回 振32 率9.29
22年:18試 21回2/3 振25 率10.38

 入団会見で口にしていた“アウトの取り方”に注目しながら、オープン戦から西村の投球を見ていると、やはり奪三振数が少なく、少ない球数でアウトを取っている。プロ入りからの1イニングあたりの球数を見ても、日本ハム時代は15球以内のシーズンが1度もなかったが、今季は3試合・4イニングと登板数、イニング数が少ないとはいえ、13.8球だ。

 本人も「球数少なかったり、最初は球数を費やせずにいい感じに抑えられていた。この間の登板(6日の日本ハム戦)はフルカウントまでいってしまいましたけど、アウトになっている。いいかなと思います」と、ここまでは納得のいく投球ができている。

 アウトの取り方にこだわるようになったきっかけについて詳しく訊いてみると、帝京大時代にチームメイトで昨季セ・リーグ投手三冠に輝いた阪神・青柳晃洋が関係している。

 「阪神の青柳と自主トレを一緒にやっていて、三振狙いにいって力んでフルカウントになって自分で苦しくなるんだったら、簡単にアウトを1個ずつ取っていって簡単に終わった方がいい、中継ぎだったら何日も連続で(登板が)続く。“球数少なく終えられるといいよね”という話から始まって、球数できるだけ少なく、ここぞという場面で三振が取れればベストだなという感じですね」。

 西村の役割はリリーフ。“連投”やシーズン通して投げるには、できるだけ“球数”を少なく抑えていった方がいいという考えになったという。基本的に球数少なく投げたいが、場面によって三振が狙える時は狙いにいったりするのだろうかーー。

 そこに関しては「狙いに行くというよりは、結果ゼロに抑えるためにどうするかですね」とのこと。

 アウトの取り方でいえば、今季はストレートの割合が非常に多い。特に6-1の9回にマウンドに上がり、三者凡退に抑えた4月6日の日本ハム戦は昨季の首位打者・松本剛に1球フォークを投げただけで、15球中14球がストレートだった。

 「変化球も状態を見ながらですが、今は真っ直ぐの状態がいいので、真っ直ぐでアウトを取れるという判断でしっかりいけているのかなという感じです」。

 現在はビハインドの場面や点差の開いた勝ちゲームでの登板がメインだが、もちろん“勝ちパターン”で投げたいという想いはある。「誰しもあると思うので、まずは自分の今の立場を与えられた場所でしっかり抑えて、そこに食い込めたら一番いいですよね」。考え方をこれまでとガラッと変えた西村は、新天地のロッテで大輪の花を咲かすことができるか注目だ。

取材・文=岩下雄太

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