ロッテは26日、種市篤暉投手が25日に熊本市内の病院で診察を行い、左アキレス腱断裂と診断されたと発表した。
種市は昨季オールスター明け、10試合・74回1/3を投げ、6勝2敗、94奪三振、防御率は驚異の1.45をマーク。9・10月度はリーグトップの4勝、48奪三振をマークし、自身初となる9・10月度の『大樹生命月間MVP賞』パ・リーグ投手部門を受賞した。
今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に選出され、リリーフで3試合に登板し、力強いストレートと落差の大きいフォークを武器に、世界の強打者をねじ伏せ、“TANEICHI”の名を轟かせた。
「一番は自信を持ってマウンドに上がれるようになったのが、そこが一番大きいんじゃないかなと思っています。野球人生で初めてワクワクしながら投げられているので、マウンド上で。いい緊張感の中で、投げられているんじゃないかなと思います」(26年4月23日取材)
WBCで掴んだ自信を胸に今季は、シーズン通して“圧倒的な投球”を期待した中でのアクシデント。本人にとっても、チームにとっても、そしてマリーンズを応援するファンにとっても悔しい故障による離脱になった。
◆ 進化を続ける男
種市は20年9月にも『右肘内側側副靭帯再建術の手術』をし、長期離脱の経験がある。長いリハビリを経て、一軍本格復帰を目指していた23年の石垣島春季キャンプで、「過去の自分の成績、技術を越えたいなと思っています。なので昔みたいな感覚に戻りたい、19年、20年みたいに戻りたいなというのは思っていないです」と決意し、同年自身初の10勝、翌24年に自身初の規定投球回に到達、そして昨季は2年連続規定投球回到達、シーズン自己最多の161奪三振、特にオールスター明けは支配的な投球で、日本を代表する投手の1人に成長した。
種市はプロ入りから変わらぬ向上心と探究心で、常に“進化”を続けてきた。何度も記事でも紹介しているが、2019年当時キャッチボールパートナーだった有吉優樹投手(現ロッテデータ戦略G)から「スライダーが捕りにくいと思いましたし、できるだけまっすぐと思われるようなスライダーを投げたいと思っていたので、有吉さんに(登板)前々日ぐらいにスライダーを教えてくださいと言って、教えてもらいました」と、教わった直後の同年4月5日のソフトバンク戦で“有吉さんスライダー”を初めて投げたこともあった。
昨季は春先苦しんだ中で、夏場以降に活躍できたのも、「日々投球のヒントを練習で見つけるようにしています。毎日1つか2つ終わった後にテーマを決めて、次の日にやってそれをまた良かった、悪かったで、改善していく。それがシーズン中は楽しかったですね」と、日々どうやったら上手くなるかを考えて過ごしていたからこそ。
圧倒的なピッチャーになりたい、1番の投手になりたいと若手時代から何度も口にし、自身が目指す投手像になるための努力を怠ることなく、コツコツと積み上げ、そこに近い位置まで登りつめた。それだけに、今回の故障は相当悔しいはず。
現状に満足することなく、常に上を目指す高いプロ意識を持つ。“復帰”に向けて、険しい道のりになるが、この時間で様々なことを考え、パワーアップするための期間に充ててくるはずだ。
種市のワクワクするようなストレート、ストンと落ちるフォークをしばらく見られないのはものすごく寂しいが、マリーンズファンは種市が一軍のマウンドで躍動する姿を楽しみに待っている。
取材・文=岩下雄太