コラム 2022.08.04. 06:59

京都外大西・西村瑠伊斗がプロから大注目を集める理由とは…?

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京都外大西・西村瑠伊斗選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

高校通算54発の大砲候補


 いよいよ8月6日に開幕する『第104回全国高等学校野球選手権大会』。

 7月31日には全49地区の代表校が出揃い、今年も甲子園の夏がやってくる。




 高校生のドラフト候補にとっては、この地方大会から甲子園というのが秋のドラフトに向けた最後のアピールの場となる。

 ここでは、残念ながら甲子園出場は叶わなかったものの、地方大会で良いアピールを見せた選手たちを紹介していきたい。

 今回取り上げたいのが、近畿地区の野手で強烈なインパクトを残した選手のひとり、高校通算54発を誇る京都外大西・西村瑠伊斗だ。



▼ 西村瑠伊斗(京都外大西)
・外野手
・178センチ/75キロ
・右投左打

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.02秒
二塁到達:8.22秒


今春からスカウト陣の間で話題に


 入学早々から外野の一角に定着した西村。その評判が広がる大きなきっかけとなったのが、昨年秋の京都府大会である。

 チームは準決勝で敗れたものの、5試合で5本塁打をマーク。しかも投手としても全試合に登板するなど、まさに“獅子奮迅”の活躍を見せたのだ。


 今春になると、近畿地区のスカウトやマスコミ関係者から西村の名前が頻繁に聞かれるようになった。

 春の京都府大会は初戦で敗れたため、残念ながら見る機会はなかったが、7月1日に滋賀学園と練習試合を行うとのことで、会場となったわかさスタジアム京都に足を運んだ。

 この試合、西村は練習試合の特別ルールとして「1番・指名打者」で出場。後で聞いた話では、前日まで体調不良で発熱があったという。

 だが、試合が始まると、そんな不安を全く感じさせないバッティングを披露。第1打席は相手バッテリーの警戒もあって一度もバットを振ることなくストレートの四球で出塁となったが、第2打席では外から入ってくる変化球をとらえてセンターオーバーの二塁打を放った。


 なにより凄かったのがその打球である。

 後退した相手のセンターが一度止まりかけながら、実際の打球はその遥か上を超えていったのだ。

 それだけ打球の伸びが素晴らしいのだが、外野手を困惑させた原因はバッティングフォームにもある。

 身長178センチ・体重75キロと、体つきはそれほど大きいわけではない。また、構えた時の姿勢はかなり前傾しており、一見しただけでは強打者のような印象は受けない。

 スイングも最近流行っている全身を使ったフルスイングというよりも、上手く力を抜いて合わせているように見える。

 ただ、それでも打球がこれだけ伸びるのは、ヘッドの走らせ方が上手い証拠と言える。

 加えて、そこまで力を入れなくても遠くへ飛ばせるというのは、それだけボールを上手にミートできているということだ。


10球団・20人以上のスカウト陣が集結


 さらに7回の第5打席では、速いストレートを完璧に弾き返して左中間を深々と破るこの日2本目の二塁打を放ち、最終の第6打席でも緩い変化球を合わせてレフト前への安打。対応力の高さを十分に見せつけた。

 第2打席は一ゴロ、第3打席も遊ゴロに倒れたが、打球自体は鋭く、一塁到達タイムも4.07秒と4.02秒をそれぞれマークするなど脚力も発揮した。

 この日は守備につくことはなかったが、ピッチングで145キロを超えるスピードがあり、当然ながら肩の強さも持ち合わせている。


 この練習試合には10球団・20人以上のスカウトが集結していたが、やはり西村のプレーを称賛する声は多かった。

 残念ながら、この夏の京都大会では準決勝で龍谷大平安に敗れ、甲子園出場は逃した。

 その一方で、西村は6試合で4本塁打(大会タイ記録)を放ち、打率は6割を超え、11安打のうち8本が長打という圧倒的な結果を残している。

 プロから注目を集める選手ほど、最後の夏は厳しいマークに苦しむことも多い一方で、これだけの数字を残した西村は見事だ。

 前述したように、体つきはまだそれほど大きくないだけに、しっかり鍛えて筋力がつけば、さらに怖い打者になる可能性がある。

 夏の大会後にはプロ志望を明言したが、果たしてどの球団がどんな順位で指名するのだろうか。今秋のドラフト会議に向けて、期待が高まる。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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