今年も2月1日に12球団が一斉に春季キャンプに入る。このオフは半数近い5球団で監督が交代するなど、キャンプでの動向も見どころ満載だ。
そこで今季のプロ野球で熾烈を極めそうな“レギュラー争い”を独断と偏見で3つ選んだ。
5年ぶりに三木肇監督が指揮を執る楽天は、遊撃のレギュラー争いが熱い。昨季は村林一輝が高卒9年目で待望のレギュラー奪取に成功。出場試合数を23年の98試合から一気に139試合に伸ばし、規定打席数もクリアした。
打率は前年の.256から.241に下げたが、6本塁打を放ち意外性のあるところを見せた。11月には侍ジャパンにも選出され、年俸も大幅アップ。充実の1年を過ごしたが、レギュラー定着はそう簡単ではない。
村林の前に立ちはだかるのは、昨秋のドラフト会議で5球団が1位指名した宗山塁である。
広島の名門・広陵→明治大と渡り歩いた宗山はゴールデンルーキーと呼ぶにふさわしい実力の持ち主だ。大学では1年春に遊撃のレギュラーを勝ち取り、2年春には首位打者を獲得。大学通算70試合に出場し、打率.348、8本塁打を記録した。シュアな打撃が最大の魅力だが、走力・守備力も即プロで通用するレベル。左打ちながらサウスポーも苦にしない。
ただ、開幕スタメンを勝ち取れるかはオープン戦の結果次第だろう。レギュラー奪取の目安は、オープン戦で打率2割後半を残せるかどうか。もしいきなり天性の才能を発揮できれば、チームは村林を三塁に回す可能性も出てきそうだ。
藤川球児新監督の下、新たなスタートを切る阪神だが、やはり最大の課題が打線である。昨季はチーム打率、本塁打数ともにセ・リーグでワースト2位だった。それでもリーグ3位の得点を叩き出せたのは、主力打者の得点圏打率が高かったため。全体的に底上げを図らなければ昨季のように効率良く得点はできないだろう。
注目は左翼のレギュラー争い。昨季116試合に出場した前川右京が最も近い位置にいるが、362打席で規定打席には届かなかった。また、打率こそ.269と上々の数字を残したが、本塁打は4本だけ。盗塁もゼロに終わった。智弁学園時代はパワーヒッターとしても知られたが、プロではその能力を出し切れていない。不動のレギュラーを奪うためには、少なくともシーズン2桁本塁打は期待したいところだろう。
パワー面で前川を上回るのが2歳年上の井上広大だ。189センチ、100キロの巨体を生かしたフルスイングは相手投手にとって脅威。実際に昨季は一軍で55打席のみだったにもかかわらず3本塁打を放っている。もし打席数が前川と同じなら19本塁打となる計算である。
ただ、昨季の打率は.212と低く、三振の数も20個に達した。確実性の向上がなければ、レギュラーどころか一軍定着も危うい立場だ。それでも昨季は二軍で打率.308を残し、ウエスタン・リーグの首位打者に輝いた。もし一軍で.250に打率を引き上げることができれば、レギュラーも見えてくる。
最後はセ・リーグ連覇を狙う巨人の守護神争い。投手なのでレギュラー争いと呼べるかは微妙だが、12球団を見渡しても最も熾烈な競争になりそう。
ルーキーイヤーの22年に37セーブを挙げ新人王に輝いた大勢は、23年に14セーブ、昨季も29セーブと守護神として最終回のマウンドに立ち続けてきた。あと20セーブで通算100セーブにも手が届くが、今季中の達成は難しいかもしれない。
22年、24年と2度セーブ王に輝いたマルティネスが4年総額50億円超えの大型契約で中日から移籍してきた。マルティネスが来日したのは20歳の時。中日と育成契約を結び、今季が日本での9年目だ。
昨季は奪三振率をやや下げたが、防御率は1.09と引き続き高水準。制球力を含めた安定感も大勢を上回っており、よほどのことがない限り、8回大勢、9回マルティネスという器用法になるだろう。
今回挙げた3つ以外にも虎視眈々とレギュラー奪取を狙っている選手は少なくない。むしろプロ野球選手である以上、試合に出てこそ。各球団、各ポジションで激しいチーム内の競争に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
そこで今季のプロ野球で熾烈を極めそうな“レギュラー争い”を独断と偏見で3つ選んだ。
①楽天『遊撃手』 村林一輝 vs. 宗山塁
打率は前年の.256から.241に下げたが、6本塁打を放ち意外性のあるところを見せた。11月には侍ジャパンにも選出され、年俸も大幅アップ。充実の1年を過ごしたが、レギュラー定着はそう簡単ではない。
村林の前に立ちはだかるのは、昨秋のドラフト会議で5球団が1位指名した宗山塁である。
広島の名門・広陵→明治大と渡り歩いた宗山はゴールデンルーキーと呼ぶにふさわしい実力の持ち主だ。大学では1年春に遊撃のレギュラーを勝ち取り、2年春には首位打者を獲得。大学通算70試合に出場し、打率.348、8本塁打を記録した。シュアな打撃が最大の魅力だが、走力・守備力も即プロで通用するレベル。左打ちながらサウスポーも苦にしない。
ただ、開幕スタメンを勝ち取れるかはオープン戦の結果次第だろう。レギュラー奪取の目安は、オープン戦で打率2割後半を残せるかどうか。もしいきなり天性の才能を発揮できれば、チームは村林を三塁に回す可能性も出てきそうだ。
②阪神『左翼手』 前川右京 vs. 井上広大
藤川球児新監督の下、新たなスタートを切る阪神だが、やはり最大の課題が打線である。昨季はチーム打率、本塁打数ともにセ・リーグでワースト2位だった。それでもリーグ3位の得点を叩き出せたのは、主力打者の得点圏打率が高かったため。全体的に底上げを図らなければ昨季のように効率良く得点はできないだろう。
注目は左翼のレギュラー争い。昨季116試合に出場した前川右京が最も近い位置にいるが、362打席で規定打席には届かなかった。また、打率こそ.269と上々の数字を残したが、本塁打は4本だけ。盗塁もゼロに終わった。智弁学園時代はパワーヒッターとしても知られたが、プロではその能力を出し切れていない。不動のレギュラーを奪うためには、少なくともシーズン2桁本塁打は期待したいところだろう。
パワー面で前川を上回るのが2歳年上の井上広大だ。189センチ、100キロの巨体を生かしたフルスイングは相手投手にとって脅威。実際に昨季は一軍で55打席のみだったにもかかわらず3本塁打を放っている。もし打席数が前川と同じなら19本塁打となる計算である。
ただ、昨季の打率は.212と低く、三振の数も20個に達した。確実性の向上がなければ、レギュラーどころか一軍定着も危うい立場だ。それでも昨季は二軍で打率.308を残し、ウエスタン・リーグの首位打者に輝いた。もし一軍で.250に打率を引き上げることができれば、レギュラーも見えてくる。
③巨人『守護神』 大勢 vs. マルティネス
最後はセ・リーグ連覇を狙う巨人の守護神争い。投手なのでレギュラー争いと呼べるかは微妙だが、12球団を見渡しても最も熾烈な競争になりそう。
ルーキーイヤーの22年に37セーブを挙げ新人王に輝いた大勢は、23年に14セーブ、昨季も29セーブと守護神として最終回のマウンドに立ち続けてきた。あと20セーブで通算100セーブにも手が届くが、今季中の達成は難しいかもしれない。
22年、24年と2度セーブ王に輝いたマルティネスが4年総額50億円超えの大型契約で中日から移籍してきた。マルティネスが来日したのは20歳の時。中日と育成契約を結び、今季が日本での9年目だ。
昨季は奪三振率をやや下げたが、防御率は1.09と引き続き高水準。制球力を含めた安定感も大勢を上回っており、よほどのことがない限り、8回大勢、9回マルティネスという器用法になるだろう。
今回挙げた3つ以外にも虎視眈々とレギュラー奪取を狙っている選手は少なくない。むしろプロ野球選手である以上、試合に出てこそ。各球団、各ポジションで激しいチーム内の競争に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)