「同期の絆」がオリックス・渡部遼人のスーパープレーを支えている(写真=北野正樹)

 オリックスの渡部遼人外野手が、進境著しい打撃とともに俊足を生かした広い守備範囲でチームを救っている。

 「ゴロをいくら捕ってもヒットなんで。フライを捕らないとアウトになりませんから、まずはノーバウンドで捕りに行くようにしています。たまたま、球際のプレーが多いのですが、球際のプレーは苦ではありませんし」。渡部がいつものように静かな口調で、チームに勝利をもたらせたスーパーキャッチを説明してくれた。

 5月19日のソフトバンク戦(京セラドーム)。2‐1で迎えた5回2死から左中間へ飛んだ正木智也選手の打球を、渡部がダイビングキャッチ。走者はなかったが、試合の結果を左右するスーパープレーだった。「バッターが正木だったので、ヒットの打ち方もイメージしやすかったので、一歩目がスムーズに出たと思います」と振り返った渡部。相手打者の打球方向などのデータに加え、バッテリーの配球などによって守備位置を変えるが、思い描いた打球に体が反応し落下点まで一直線に走れた。

 まさにプロの技。中継映像に捉えられた正木の表情は、悔しさより守備をたたえるように笑みが浮かんだようにみえた。二人は慶応大の同期生。4年春の大学野球選手権では、MVPの正木、首位打者の渡部が34年ぶり4回目の優勝に大きく貢献した。3年冬に正木からインサイドアウトの打撃を教わってから打撃開眼した渡部にとって恩人のような存在だ。

 「笑ってましたね、こっちを見て。先日、正木と一緒に食事に行って『センターに打ってきたら、俺、反応しちゃうからな』みたいなことを話していたんです。そしたら打ってきたんで、捕れてよかったですね」。2021年ドラフト2位でソフトバンクに入団した正木が3年目には1軍で活躍したのに対し、同年のドラフト4位でオリックス入りした渡部は守備と代走で重用されたが、定位置確保には至らなかった。それだけに、「敵同士」であってもレギュラーとして同じグラウンドでプレーをすることができるのは、二人にとって何物にも代えがたいものなのだ。
 
 この日の試合では、1点差を4人の救援陣でつないで競り勝ち、チームの連敗を「4」で食い止めた。その中で同期の椋木蓮投手も8回を3人で仕留める好投をみせた。同期二人が、守りでチームの勝利に貢献し「同期が一緒に試合に出るというのが一番、うれしいですね」と渡部は笑顔を見せた。

 椋木は「ハルト(渡部)は同期愛がすごく強いんです」という。昨年の試合でKOされ試合後もベンチから動けなかった椋木にそっと寄り添ったのも、渡部だった。「僕らの同期は、1軍にはいても(レギュラーを獲得するほどの)結果が出ていません。全員、悔しい思いを持っています」と渡部が話したのは昨年8月のこと。「(横山)楓さんや小木田(敦也)さん、大里もいますし、池田(陵真)も。いつか同期で(一緒に試合に)という意識は、みんなが持っていると思います」。同期の絆が、渡部の戦う心の支えになっている。

取材・文=北野正樹

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