この日はまず準備体操からスタートしたが、ただ普通にやるのではなく『ドレミの歌』の替え歌で楽しみながら体を動かす工夫が見られました。準備体操の次は選手と子どもたちで鬼ごっこがスタート。これも子どもが逃げるパターンと、選手が逃げてその腰から垂らしているビブスを子どもが取ろうとするパターンの二通りが行われていました。
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その後は投球、打撃、捕球に分かれての野球遊びが行われましたが、ここにも工夫がありました。打撃は普通の柔らかいボールだけでなく、新聞紙を丸めた大きいものも準備して初めてバットを振るような子どもにも当たりやすくしています。投球についてもストライクゾーンのマス目を分けたいわゆるストラックアウトだけでなく、バットを並べて立てて倒れるようにしているコーナーもありました。そして朝隈監督も感心していたのが捕球の遊びです。部員がバックスクリーン上から投げていたのはボールではなく折り紙で、ヒラヒラと舞いながら落ちてくるため、子どもたちも怖さがありません。またこの日は風が強かったこともあって、驚くほど遠くへ飛ぶケースもあり、それを笑いながら追いかける様子は非常に楽しそうなものでした。
最後は2チームに分かれてベースランニングリレーのタイム競争。これも単純に走るのではなく、途中で網をくぐるゾーンや、ケンケンなどで通るゾーンも設けられていました。終了後にはマネージャーから手作りのメダルもプレゼント。終始子どもたちも高校生も楽しそうな様子が印象的でした。
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今年のイベントは柳田楓斗くんと宮地優輝くんの2人がリーダーとなって企画したとのことでしたが、終了後に柳田くんに話を聞くと、反省点もあったそうです。
「折り紙キャッチはたまたま学校で遊んでいる子がいて、これは面白いなと思って取り入れました。最初はフライを捕球するのも難しいですが、これなら捕りやすいですし、怖さもないと思ったからです。あとバッティングもとにかくバットにボールが当たるようにということを考えて、大きい新聞紙のボールも用意しました。自分も子どもの時に野球を初めて、何が楽しかったかと考えると、やっぱりボールが打てたことだと思ったからです。ただ最後のリレーは見ている時間が長くて、少し盛り上がりに欠けたのが反省点です。同時スタートにして、もう少し競っているのが分かるようにした方が良かったなと思いました」
子どもたちのイベントということはもちろんですが、このような話を聞くと野球部員にとっても得るものは大きいのではないでしょうか。年々このような高校の野球部による野球振興は増えていますが、まだまだ話題になることは多くありません。市立松戸の取り組みを知って、こういった活動を行う野球部が増えてくれることを期待したいですね。(取材・写真/西尾典文)