ニュース 2023.12.12. 08:00

ロッテ・坂本光士郎「すごく充実したシーズン」目標の50登板をクリアし自己最多の51登板!

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ロッテ・坂本光士郎 (C) Kyodo News
 「すごく充実したシーズンだったと思います」。

 ロッテ・坂本光士郎は移籍2年目の今季、貴重な左のリリーフとして、目標に掲げた50登板を上回るシーズン自己最多の51試合に登板し、1勝16ホールド、防御率3.21と飛躍の1年になった。

 ロッテが近年課題にしていたのは、左のリリーフ。松永昂大が長年ブルペンを支えてきたが、近年は一軍に右投手のみという時期があるなど、なかなか左のリリーフが定着できていなかった。その中で、坂本は「左なので左バッターを抑えるのが僕たちのいちばんの仕事だと思っている。左バッターを抑えることを意識していきたい」と、オープン戦では5回・4回1/3を投げて被安打0に抑え、左打者に対しても8打数0安打と完璧に封じ込み、開幕一軍を掴んだ。

 「緊張しましたけど、開幕戦に投げられたのは良かったと思います」。3月31日のソフトバンクとの開幕戦、0-4の8回に登板すると、中村晃に3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角のストレートは、佐藤都志也の構えたミットに吸い込まれた。「キャッチャーが構えたところに2ストライクから決められたというのは、良かったのと思います」。4月2日のソフトバンク戦でも、0-4の5回二死走者なしで牧原大成に1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた148キロの外角ストレートも素晴らしかった。

 4月6日の日本ハム戦では、今季初めて3-2の8回、勝ち試合でマウンドに上がれば、4月13日の西武戦では0-2の6回二死満塁で危険球退場した西村天裕の後を受けて登板し、児玉亮涼を一邪飛に仕留め無失点で切り抜くと、「結構ピンチの場面で行って次の回というのは今まで、結構なんていうんですかね、打たれることが多かったんですけど、そこを抑えられることができたのはよかったです」とイニング跨ぎとなった7回も無失点に抑えた。

 4月終了時点で、8試合・7回1/3を投げ、2ホールド、防御率2.45。坂本は開幕から安定して結果を出せている要因に「1試合ずつ全力で行っている。大事に行こうという気持ちではなく、常に攻めるという気持ちで投げています」と挙げ、左打者に対しても「打たれているところはあるんですけど、大事な場面では左を抑えられているのかなというのはあります」と話した。

 5月に入ってからも、17日と18日のオリックス戦で2試合連続失点があったものの、21日の楽天戦から6月9日の広島戦にかけて7試合連続無失点。

 6月5日の阪神戦では、7-7の延長11回に登板し、「やっぱりゼロで繋いでいければ何かしらあると思っていたので、結果三者連続三振になりましたけど、絶対に抑えてやるという気持ちでやった結果がそういう結果になったのかなと思います」と、1番・近本光司から始まる打順を三者連続三振。6日の古巣・ヤクルト戦では「一軍で投げたことがなかった。(山田)哲人さんとかに投げられたので、そこはチームメイトだった選手と戦えたのは嬉しかったし、楽しかったです」と、3-4の7回一死一塁で登板し、長岡秀樹をスライダーで空振り三振、続く山田哲人を1ボール2ストライクから4球目の147キロストレートで見逃し三振に仕留めた。

 11日の広島戦で2失点すると、失点する登板が目立つようになり、6月9日終了時点で1.83だった防御率も、7月2日には防御率3.46まで跳ね上がった。7月3日に一軍登録を抹消された。

 7月15日に一軍再登録されると、22日のソフトバンク戦では5-1の7回に登板し、「ストレートだけでどんどん押していける時はすごくいいのかなと感じます」と、オールストレート、わずか4球で三者凡退に片付ける。

 「ストレートが強い時は確かに抑えている確率は高いかなと思いますし、ダメな時にどう抑えていかなければいけないのか考えていかないといけない」。

 自身の投球については「いい時と悪い時の差が激しすぎる。ここから大事な試合ばかりになってくるので、そういう差を埋めていけたらなと思います」と気を引き締めた。

 8月22日のソフトバンク戦で、シーズン自己最多となる37試合登板を達成すると、8月24日のソフトバンク戦では4-4の7回に1回を無失点に抑え、直後の7回裏に石川慎吾が勝ち越し適時打を放ち、移籍後初勝利を手にした。

 9月2日の楽天戦では、3-1の6回一死一、二塁で先発・種市の後を受けて登板。「あそこでダブルプレー取れたというのがすごく良かったですし、狙ったじゃないですけど、あそこでしっかり低めに取れたのはすごく自分の中でも勉強になりました。いい経験になりました」と、岡島を二併に仕留め火消し。

 9月30日の西武戦では、4-4の9回一死満塁、鈴木将平に2ボール0ストライクという場面で守護神・益田直也の後を受けて登板。「すごく大事な場面だったので、どうにかゼロに抑えられたらなと思っていました」。リリーフカーに乗る坂本から絶対にこの場面を抑えてやるという覚悟が伝わってきた。「どんな場面でもいつも行く時は一緒なので、それがランナーがいたというだけであって、いつもと変わらない感じで投げました」。鈴木に対し初球のストレートが外れ3ボール0ストライクとなるも、ここからストレートで見逃し、ボール気味のストレートでファウルにさせ3ボール2ストライクにする。最後は151キロのストレートで空振り三振に仕留めた。続く外崎修汰も2ボール2ストライクからインコースのカットボールで空振り三振、満塁のピンチを二者連続三振で切り抜けた。

 10月6日のオリックス戦で「個人的な目標としてはすごく嬉しかったんですけど、やっとだなという感じでしたね」と、目標に掲げていたシーズン50試合登板を達成。

 「トレーナーの方に親身になって治療してもらいましたし、個人的にもお休みの日とかは治療、体に時間を費やすようにしていたので、そこが今回50試合につながったのかなと思います」と感謝し、体力的には「夏場だったり、前半戦の終わりらへんとか体的にはきつかったな感じがあります」と振り返った。

 最終的にはシーズン51試合に登板し、開幕前から“左打者を抑えるのが仕事”と話していた左打者に対しても、「ストレートで基本的に押せていけて、そこでカウントを取れたというのが被打率に繋がっているのかなと思います」と、被打率.194と抑え込んだ。その一方で、「打率だけ見ると抑えていますけど、左に対して四球が多かった」と反省した。

 ストレートに関しては、シーズン通して強い球を投げていた印象だ。「常に自分の体をベストに近い状態でとずっと思っていたので、それができて良かったと思います」。

 登録抹消された時期もあったが、シーズン通してほぼ一軍で過ごした。「本当に今まで経験したことのない場面で使ってくれたりというのはすごく嬉しかったですし、やっぱりまだダメな失敗というのもあったので、そこは来年にどう繋げるか、かなと思います」

 ダメな失敗については「四球であったり、甘く入って打たれるというのもあったので、甘くならないように投げないといけないところで甘く入ったりというのがあった。来シーズンに向けてやっていかないといけないかなと思います」と自己分析した。

 来季は「今年50試合投げさせてもらって、個人的な目標になりますけど、そこは50試合以上投げたいというのは自分の目標においています。チームとしてもファイナルまで行きましたけど、最後負けてしまって悔しい結果になったので、来年は本当にシーズンでリーグ優勝して日本一を目標に頑張りたいと思います」と意気込んだ。

取材・文=岩下雄太

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