オリックスの東山玲士投手が、トミー・ジョン(TJ)手術から1年後の5月中旬にライブ打撃登板を目指している。
「長かったですね。本当に手術をしていいのか葛藤があったのですが、野球を長くやるための決断だったので、悔いはありませんでした」。あと6日で手術から1年目を迎える5月13日、東山が静かな口調で前を見据えた。
東山は丸亀高(香川県)、同志社大、ENEOSから2024年ドラフト5位でオリックスに入団した。ショートアームから繰り出す最速151kmのホップ成分の高いストレートが武器で、即戦力として期待された。
しかし、1年目のオープン戦登板2試合目の巨人戦(京セラドーム)でひじを痛めてしまった。一度は快方に向かったが、痛みは消えず保存療法かTJ手術かを迫られた。まだ、何の実績も残していない新人。球団に対する申し訳なさで一杯で、なかなか決断することはできなかったが、25度目の誕生日を迎えた5月5日、手術することを決めた。
プロ入りの際に目標にしたのは、守護神としてチームを支えてきたベテランの平野佳寿投手。「トレーナーさんたちのお話を聞いて、保存療法でいって数年後に大きなけがをしてしまうのなら、今のうちに不安を取り除いて1年でも長く野球をした方がいいと思うようになったのです」。ファンに親しまれる息の長い選手という平野の存在が、重い決断の背中を押してくれた。
リハビリは、TJ手術の先輩が支えてくれた。2014年に手術をした山田修義投手から術後から復帰するまでのリハビリ方法を教わったり、小木田敦也投手や宇田川優希投手、吉田輝星投手ら同時期に手術を受けた“先輩”とウエートトレーニングで汗を流したりすることで、焦りを抑えることができたという。
ひじに負担がかからないようなフォームも取り入れた。「胸を使って投げることを意識しています。ひじより体幹の方がパワーが大きいので、胸が張れていないとひじで外旋しようとして負担がかかってしまいます。そうならないように、胸郭を柔らかくし胸からの反動で投げる意識でやっています」と東山。
「最初は、キャッチボールでも痛かったり張りがあったりしていたのですが、だんだん落ち着いてきました。張りやひじへの衝撃はすごく減ってきたという感覚があります」という東山が参考にしているのが、宇田川のフォーム。「上からたたき下ろす投げ方が似ていて、『ここを意識した方が胸郭を使えるよ』などとすごく教えてくださるのです。胸郭を柔らかくするストレッチやどういう胸の使い方をした時がひじへの負担が少ないかなどをよく聞いています」
現在の球速は142km。「出力を上げていかないといけないですね。自然には上がらないと思います。ひじの痛みはないのですが、頭の中でブレーキをかけているというか、リミッターが働いてしまう感じがしています。それを取っ払おうとしている状況です」。打者と対するライブ打撃に登板することで、リミッターも外れることだろう。救援投手として、平野を目指す術後の第一歩が、間もなく訪れる。
取材・文=北野正樹